加速騒音は国際基準調和を目指す
これまでは近接排気騒音について考察してきたが、現在クルマ界を震撼とさせているのが加速走行騒音の規制だ。これまで加速走行騒音については国内独自基準で規制してきたが、国際基準調和にシフトして強烈に厳しくなっていく。
四輪車については、UN R51-03規制と呼ばれていて、規制はフェイズ1、フェイズ2、フェイズ3の3段階が予定されている。
国際基準調和の観点で2016年10月1日以降に生産された新型車についてはフェイズ1が適用されていて(継続生産車などは2022年9月1日以降)、乗用車の場合、市街地での加速騒音は車両規定により72~75 dBに規制されていているがほとんどは72~73 dBだ。
そして2020年10月1日以降に生産されるクルマについては、さらに厳しくなったフェイズ2規制が適用される。規制値は70~74 dB(ほとんどは70~71 dB)。
わずか1~2 dBと思うかもしれないが、フェイズ1でもかなり厳しいなか、クリアすべきハードルはかなり高い。モーターなどを組み合わせるなどして音を小さくしなければ克服できないレベルで、もちろんタイヤの走行音もシビアでさらなる研究開発が必要になる。
スーパースポーツカーは全滅!?
ちなみにフェイズ3については、68~72 dBという規制値は現在電気自動車でもクリアするのが不可能という状態で、技術的なめどが立っていないとも言われているほど厳しい。
導入時期についても未定で、フェイズ2導入後に国連の検討をもとに進めていくという。
クルマ界は電動化に向かっていて欧州メーカーなども積極的に電化を進めているが、フェイズ3が適用されればエンジン単独のクルマが走行することはほぼ不可能。
クルマの出す騒音は傍からすれば迷惑以外の何物でもない。そのため静かなほうがいいのは当然だが、EVやハイブリッドで歩行者がクルマの接近に気づかないことによる事故問題など、いいことばかりではない。
クルマの走行時の騒音で大きなウェイトを占めているのがタイヤなのだが、当然タイヤが太くなれば走行音も大きくなる。タイヤが細くてもゴムの硬さによって音は大きく変わってくる。
スーパースポーツカーが排出ガスなどの対環境性能で電動化、ハイブリッド化などにより生き残る手段を見つけたように思えたが、騒音問題で全滅する可能性もある。
スーパースポーツカーだけでなく、スポーツカー、スポーティカーにとっても厳しい時代が訪れ、クルマ好きにとっては暗黒時代となるかもしれない。
自動車メーカー、タイヤメーカーがどう対処するのか、期待感しかない!!
コメント
コメントの使い方