初代三菱ディアマンテ
販売期間:1990~1995年
評価が低い理由:BMWに似ている以外特徴のないFFセダン
初代ディアマンテもアコードインスパイア&ビガーと同様にマークⅡのマーケットに参入したモデルである。
初代ディアマンテ自体は当時の三菱車らしいハイテク装備が目立ったものの、それ以外はごく普通のエンジン横置きのFF車で、一部自動車メディアではBMWによく似たスタイルに対する批判もあった。
しかし初代ディアマンテがそれまでの上級小型車と違ったのは、平成に入って自動車税と任意保険料が改正され、2.5L級の3ナンバーボディのクルマが庶民にも買いやすくなる可能性があった点に着目した点である。
これは賭けでもあったが、改正は無事行われ、ちょうどそのタイミングで登場したディアマンテはクルマ自体よりも商品力の高さで大ヒット車となり、巧妙な商品企画も含め歴史に名を残した。
ホンダ初代アコードインスパイア&3代目ビガー
販売期間:1989~1995年
評価が低い理由:FFなのに運転席の足元が狭い、トラクション不足
平成に入るまでホンダはレジェンドこそあったものの、当時マークⅡ三兄弟が国民車的存在になるほど売れていた上級小型車といういかにも日本的なジャンルに参入することが悲願であった。
そこにアコードの上級車として投入したのがアコードインスパイアと3代目ビガーである。
このジャンルはFR車とするのが常套手段であるが、残念ながら当時のホンダにFR車を作るのは生産設備などの関係で実現できなかった。
ではどうしたかというと、「FF車でFRのようなフロントオーバーハングの短いスタイルにしたい」という目的もあり、FFミッドシップと呼ばれる直列5気筒エンジンを縦に積んだ後方にトランスミッションを置き、動力はトランスミッション前方に移動したデファレンシャルを介して駆動するという構造が誕生した。
FFミッドシップは前述したスタイルとFF車ながらタイヤの切れ角が大きくFR車のように小回りが利くというメリットはあった。
しかしそれ以外はエンジン搭載位置の関係でトラクション(駆動力)が弱い、FFなのに車内にトランスミッションが張り出し前席足元が狭いといったデメリットも目立った。
そのため自動車メディアでは「素直にFRにすればいいのに」という評価も多く、お世辞にも正しいとか理論的とは言えない構造だった。
しかしアコードインスパイア&ビガーは大成功を納めた。成功の最大の要因はスタイルと、木目パネルに革、モケット、当時出始めたアルカンターラ(人工スウェード)を巧みに組み合わせた魅力的なインテリアに尽き、クルマにとってカッコよさの大事さを痛感する。
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クルマも人と同じように総合力はそれほど高くなくとも、成功する場合がある。それだけに人もクルマも器用さも重要だが、飛び抜けた魅力を持つことで道が開けることがあるのもこういったクルマたちを見るとよくわかる。
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