昨年までトップカテゴリーでの優勝すら縁遠かった若手が、国内レースの頂点、スーパーフォーミュラでシリーズチャンピオンを獲得した。彼の名は国本雄資。
26歳の若手ドライバーはなぜ、今年覚醒したのか? その裏には、確実に、彼のなかで“大きな変化”があった。
文:WEBベストカー編集部/写真:TOYOTA
最高峰ではなかなか結果が出なかった国本雄資のキャリア
1990年9月12日生まれの26歳、神奈川県横浜市出身。幼い頃はアルペンスキー競技にいそしみ、カートを始めたのは12歳の頃という。
10歳以下でカートを始めるドライバーも多いなかで、国本雄資がカートを始めたのはそれほど早くなかった。ちなみに彼の兄は同じくレーシングドライバーで、スーパーGTなどの参戦経験も持つ国本京佑である。
2007年にはF3より下の入門フォーミュラといえるフォーミュラチャレンジジャパン(FCJ)で史上最年少優勝を達成。翌2008年には、中嶋一貴や小林可夢偉も輩出したトヨタ系の若手ドライバー育成プログラム、「トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム(TDP)」でスカラシップを獲得した。
そして2010年に参戦2年目で全日本F3チャンピオンに輝き、スーパーGTにも参戦するなど順調にステップアップ。翌2011年、ついに国内最高峰のスーパーフォーミュラへ参戦を開始した。
こうして、国内最高峰のカテゴリーへ登り詰めた国本だったが、それ以降はなかなかブレイクするまでに至らなかった。スーパーGTでは、2012年にGT500へ昇格し、2013年にはチーム・ルマンに移籍、最終戦でGT500自身初優勝を果たしたものの、以降昨年まで優勝はなし。
そして、スーパーフォーミュラでも参戦4年目の2014年に表彰台(2位と3位を1度ずつ)を獲得したものの、昨年まで1度も優勝を挙げることはできなかった。
未勝利でシリーズ9位からシリーズチャンピオンへ
しかし今年、国本は大きく飛躍した。昨年シリーズ9位、未勝利に終わったスーパーフォーミュラでは開幕戦の鈴鹿でいきなり2位表彰台に上がると、2レースを行った第5戦岡山では、1レース目で2位、そして2レース目で悲願のスーパーフォーミュラ初優勝を達成。
ポイントランキングでもトップに躍り出た。さらにスーパーGT GT500でも先月行われた第7戦タイで、約3年ぶりに優勝をおさめている。
迎えたスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿。岡山と同じく、2レースが開催される最終戦の1レース目で見事優勝を飾り、2レース目を残した段階でチャンピオン争いは国本、関口雄飛、アンドレ・ロッテラー、昨年チャンピオンの石浦宏明の4人に絞られた。
そして10月30日、最終戦鈴鹿の2レース目。国本雄資は手堅く6位入賞を果たした。と同時に、スーパーフォーミュラ参戦6年目にして、自身初のシリーズチャンピオンに輝いたのだ。
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