ラリージャパンの最終日、トヨタがまさかの大逆転でマニュファクチャラーズタイトル4連覇を決めたのには驚いたが、完全プライベーター新井大輝の9位もアンビリーバブルな快挙だった
文:ベストカーWeb編集部 /写真:Rally Japan、Red Bull Content Pool
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新井大輝は燃えていた。2024年の全日本ラリー選手権でチャンピオンに返り咲いたが、それは通過点、目標はラリージャパンだ。昨年FFのプジョー 208 Rally4で総合10位に食い込み、関係者を驚かせたが、今年の目標は「WRC2で優勝したい!」だった。
冗談めかして話してくれたが、その眼は真剣だった。そこにはこのクラスのドライバーと比べてもドライビングテクニックでは負けていないという自負があった。
トヨタのトップドライバーとなった勝田貴元選手とWRCチャレンジプログラムに参加し、切磋琢磨したことでWRCのレベルを体にしみ込ませてきた。新井選手が戦うラリー2カテゴリーはワークスと呼ばれるラリー1のひとつ下のクラス。お金があれば購入でき、欧州を中心に大人気のクラスだ。
ワークスではないと言いながら、新車を買い参戦するとなると、車両代やパーツ代、メンテナンス費用、チーム運営などを含めると年間1億円近くになることもある。
それだけにメーカーが支援しているチームも多く、資金面でも余裕があるチームがほとんどで新井選手のような完全なプライベートチーム(Ahead Japan Racing Team)は少ない。
ラリージャパンには強豪ラリー2車が18台エントリー。特にGRヤリスラリー2は8台もエントリーし、デビュー初年度ながらポテンシャルはナンバーワンの声が高い。さらに先のシュコダ・ファビアRS ラリー2やシトロエンC3 ラリー2、フォード・フィエスタラリー2も実績十分だ。
そのライバルたちにと比べると、シュコダ・ファビアR5は戦闘力的には物足りない。そもそもボディは3代目ファビアであり、2022年に現在の4代目ファビアをベースにした、ファビアRS ラリー2が誕生している。
新井選手のファビアR5と比べると、ボディもシャシーもエンジンも大きく進化している。しかも新井選手のファビアR5は中古なのだ。ランエボでいえばエボ8でエボ10と戦うくらいのハンデかもしれない。
しかし、新井大輝は「下剋上」を狙っていた。
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新井大輝のクルマは古いこともあって「完調」は望めない。しかし、プッシュするところとそこまでは攻めないところを分けながら、ファビアR5を自在に操っていく。絶対パワーがなくてもツイスティでパワーよりもブレーキングで勝負しながらタイムを削っていく。
「あのクルマであのタイムで走れるのは信じられない!」とラリー関係者が口を揃えるほど、林道ステージでは速さを見せる。 まさに人馬一体という感覚なのだろう。21のSSを走り切って見事9位、ラリー2では3位表彰台の快挙だ。
「クルマもタイヤも人間も限界でしたが、なんとか3番になれました」と満足そうな新井大輝。しかし、これも彼には通過点なのかもしれない。「やっぱりヨーロッパで真剣勝負がしたいですね」とあくまでも彼の目線は世界にあるようだ。
あっぱれ! 戦国ラリージャパン2024で見ごたえのある下剋上物語が完結した。
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