2016年のスーパーGTは劇的な結末を迎えた。GT500はレクサスによる終盤の逆転劇、GT300はプライベーターの戴冠と、両クラスともにシーズン序盤には予想できなかったチャンピオンが誕生したのだ。
ちなみに両クラスのチャンピオンともに、2015年シーズンは年間ランキング10位以下に終わっている。
スケジュールも変則的だった。第3戦のオートポリス(大分県)が地震の影響で中止。
当初から最終戦、第8戦を開催予定だったツインリンクもてぎで、第3戦の代替レースと第8戦を2日連続で行う異例のかたちでチャンピオン決定戦が行われた。
史上初の2連戦決戦で決したチャンピオン争い、その舞台裏をスーパーGTレポーターの高橋二朗氏が紐解く。
文:高橋二朗、WEBベストカー編集部/写真:折原弘之
ベストカー2016年12月26日号
【GT500】NISMO 3連覇を阻んだレクサスRC Fの改良エンジン
もてぎ2連戦本番の前日、金曜日の練習走行は雨。すべてがぶっつけ本番となった土曜日の第3戦は、タイヤ無交換作戦の近藤真彦氏率いるフォーラムエンジニアリングGT-Rが勝った。
しかし、その背後にはサードチームのデンソーRC F(平手晃平/ヘイキ・コバライネン)が迫っていて薄氷の勝利。そして、翌日曜日の予選からRC Fのパフォーマンスが炸裂した。
日曜日の最終第8戦は予選トップ4、グリッドの2列目までをRC Fが独占。ポールポジションは土曜日に引き続いてデンソーRC Fとなった。もてぎに向けてRC Fの車両開発を担当するTRD(トヨタレーシングデベロップメント)がエンジンの出力をなんと30馬力アップさせていた。
そして、RC Fの大半(5台中4台)が装着するブリヂストンタイヤが、他メーカーに対して、土曜予選でも、その後のドライコンディションでも優位性を発揮。
いっぽうランキングトップで乗り込んだNISMOのモチュールGT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ=ミシュラン)は、土曜日の予選から四苦八苦。
チャンピオン3連覇という前人未到の大記録へ万全の体制を整えてきたものの、RC Fの速さの前ではセッションが進むにつれて黄色信号から赤信号が点って行った。
そして、最終戦の決勝ではフォーラムエンジニアリングGT-Rと同じタイヤ無交換作戦を選択したけれど、これも不発に終わった。
ポールポジションからスタートしたデンソーRC Fは、第3戦の2位フィニッシュでランキングトップへ躍り出て、第8戦の予選でポールポイント1を加算。決勝でも2016年ファイナルランでトップを快走した。
そして、その背後にルマンチームのワコーズRC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ)が迫った。
もてぎを得意とするルマンドライバーの大嶋和也はヘイキ・コバライネンをけん制したが、RC Fの最終レース(2017年からはLC500へスイッチ)で無用なアクシデントは避けた。
息詰まるRC F 2台のバトルに見えたが、そこはレクサスドライバーたちのあうんの呼吸があった。デンソーRC Fが優勝&チャンピオン獲得。トップ5もRC Fの独占で今年の幕を閉じた。
※表中、BSはブリヂストン、YHはヨコハマ、MIはミシュランの略
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