【F1】プロスト以来5人目! ニコ・ロズベルグ、“王者のまま引退”で来年どうなる?

 悲願のF1ワールドチャンピオン獲得から僅か5日後。ニコ・ロズベルグが引退を発表した。チャンピオンを獲得し、そのまま引退したF1ドライバーはロズベルグで5人目。

 そして、それは同時にメルセデスという最強チームのシートに1つ空きが出るということも意味している。2017年シーズン、このシートに誰が座ることになるのか? 

 今後の動向も含めてF1を揺るがしたロズベルグの引退に迫る。

 文:WEBベストカー編集部/写真:Daimler、Williams、Honda


チャンピオンを獲って引退は1993年のプロスト以来

 これまでF1チャンピオンを獲得して、翌年のシーズンを戦うことなく引退したドライバーは“たった4人だけ”だった。

Silverstone, England, 10th - 12th july 1
1986年、1987年とチャンピオン争いに絡みながらタイトル奪取はならなかったマンセルは、1992年に39歳でチャンピオンを獲得した

 もっとも古い例はマイク・ホーソン(フェラーリ)で、彼は1958年にチャンピオンを獲得し、この年いっぱいでF1を引退した。また、ジャッキー・スチュワートは1973年に自身3度目のチャンピオンを獲得し、その年かぎりで引退。

 そして、1992年には“無冠の帝王”と呼ばれたナイジェル・マンセルが、ウィリアムズで悲願の自身初チャンピオンを獲得したものの、その年かぎりで引退している。

 翌1993年は、マンセルの代わりにウィリアムズに復帰したアラン・プロストが自身4度目のチャンピオンを獲得し、そのまま引退した。それから2015年まで「チャンピオンがそのまま引退」という例は1度もなかった。

引退の背景にあった愛する家族の存在

チャンピオンを決めたアブダビGPにて。喜びを分かち合うロズベルグ(左)と妻のヴィヴィアン氏(右)
チャンピオンを決めたアブダビGPにて。喜びを分かち合うロズベルグ(左)と妻のヴィヴィアン氏(右)

 このように最新のチャンピオンが、翌年のシーズンを戦わずして引退することは極めて珍しいことだ。では、なぜロズベルグは歴代の多くのチャンピオン達とは異なる決断をしたのか?

 12月2日、ロズベルグは自身の引退を発表したコメントのなかで、引退に至った理由を、次のように語っている。

 「(今シーズンは王者になるため)あらゆる面で、気が狂ったようにプッシュしてきた。そして、私の目的を果たすため、愛する家族も犠牲を払ってくれた。

 妻のヴィヴィアンには言葉にできないくらい感謝している。どのレースの間も、妻は毎晩娘の世話をしながら、私が(次のレースに備え)完璧に回復するための空間を整えてくれた」(ニコ・ロズベルグ)

 幼い頃から目標としていたF1ワールドチャンピオンの称号を得たいま、家族とともにもっと時を過ごしたい。それが1度しかない人生のなかで、彼がF1引退という決断を下した大きな理由のひとつだ。

 才能を持ち、努力を積み重ねた人間が、すべての犠牲を払っても王座を獲れるかどうかはわからない。F1チャンピオンになることが如何に難しく、過酷なことかが、彼の決断から読み取れる。

気になるロズベルグの後釜候補。3つの選択肢から考える最有力

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※移=移籍、新=新人を示しています

 ロズベルグの引退発表から5日後の12月7日、F1を管轄するFIAが、2017年の暫定エントリーリストを公開した。

 ロズベルグの引退で穴が空いたメルセデスの1席を除いて、現状シートに空きがあるのはザウバーの1席、そしてマノーの2席だけ。

 つまり、来年の有力チーム・ドライバーの動向はほとんど決まっている状態なのだ。

 ならばロズベルグの後釜は誰に? ここからはいくつかのパターンごとに有力候補の可能性を検討していく。

1.コスト&若手を優先

 このパターンで最有力となるのは、今年マノーに所属していたパスカル・ウェーレインだ。

 現在22歳のウェーレインは、元DTMチャンピオンであり、2014年にはメルセデスF1のリザーブドライバーも務めている。しかも、出身地はドイツ。

 メルセデスが育てた有望な若手ドライバーで、2017年のレギュラーシートも決まっていないとなれば、コストの面でもすでに他チームと契約が決まっている大物を引き抜くより、圧倒的に割安。最も現実的な候補といえる。

2.実績と契約の自由度……バランスを取るならバトン!?

 2016年シーズンをマクラーレン・ホンダで走ったジェンソン・バトンは、同年いっぱいでF1から“一旦”引退。

 2017年も契約上は“リザーブドライバー”としてマクラーレンに残るものの、全戦にレギュラードライバーとして参戦する大物ドライバーを起用することと比べれば、バトン起用のハードルは低いだろう。

 加えて、かつてルイス・ハミルトンとチームメートとして比較的良好な関係を築いていたこともプラス要素。2009年F1ワールドチャンピオンのバトンは実績面でも申し分ない。

3.ドライバーの力量最優先なら2回王者のアロンソも!?

 現役ドライバーでは、セバスチャン・ベッテルとルイス・ハミルトンに勝るとも劣らないといわれる名手、フェルナンド・アロンソ。2017年も引き続きマクラーレンに所属することが発表されているが、何があるかわからないのがF1だ。

 過去には、アロンソ自身が3年契約で移籍したマクラーレンを1年で去り、今回引退したロズベルグも2017年の契約を締結していながら引退した。契約どおりに事が運ばないことはF1では決して珍しいことではない。

 メルセデスにとって、アロンソの契約を買い取るのに多額のコストがかかることは間違いない。

 しかし、2度チャンピオンを獲得した後、フェラーリで3度ランキング2位を経験しているアロンソにとって、2006年以来、3度目のチャンピオンを獲るには願ってもないチャンス。

 メルセデスが4年連続チャンピオンを成し遂げるための“最適解”は、アロンソ獲得かもしれない。そうなれば、2017年シーズンは、今年以上に熾烈なチャンピオン争いが見られるかも!?

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2016年はともにマクラーレン・ホンダに所属したバトン(左)とアロンソ(右)。アロンソ移籍なら大打撃だが、2017年のバトンはリザーブドライバー契約。ならばメルセデスでその勇姿を見たいというファンも多い?

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