トヨタにとって18年ぶりとなるWRCの初陣、ラリー・モンテカルロまであと1週間を切った! 2017年のWRCは大きく変わる。
12月13日に本戦仕様のヤリスWRCを公開するとともに、昨年までVWに所属していたラトバラの起用を発表したトヨタに勝算はあるのか。
文:国沢光宏/写真:TOYOTA、Citroen、Hyundai、M-Sport、ケニー中嶋ベストカー2017年2月10日号
2017年のWRカーは大幅馬力アップで驚速のマシンに!!
トヨタが18年ぶりに参戦するなど話題満載のWRCは、いよいよ1月19日にモンテカルロで開幕する。
2017年からレギュレーションが変わり、今まで320馬力程度だった最高出力は380馬力程度に向上。
大幅に制限されていた空力付加物も、サーキットを走るレーシングカーと見間違うほど大きくなる。
2016年シーズンより圧倒的に速く、迫力のある走りを見せてくれることだろう。実際、トヨタ・ヤリスの走行テストを見に行ったら、2016年のWRカーより速くて驚いた!!
気になるシーズンの展望。ラトバラ加入でトヨタは面白い展開に
2017年シーズンの展望だけれど、現時点ではまったく読めない状況。WRC関係者の皆さん、開発順調が伝えられるシトロエン優位と口を揃えて言う。
確かに2016年シーズン後半、今まで圧倒的に速かったフォルクスワーゲン(VW)を苦しめたほど。
同じくヒュンダイの2017年モデルのポテンシャルも高いらしい。そして、トヨタの2017年体制発表の前日、WRCを連覇してるセバスチャン・オジェがMスポーツ(フォード)への移籍を決めている(各メーカーの2017年モデルに試乗した結果決めたという)。
VWも出場する? 開発中だった2017年モデルや2016年モデルをプライベーターが走らせるというウワサも出ており、こうなるとVWだって無視できない存在になる。
開発の遅れが指摘されていた我らがトヨタは、ここにきて急速にクルマも仕上がってきており、さらにヤリ=マティ・ラトバラの加入でドライバーも文句なし。
簡単に上位進出とはいかないまでも、面白い展開になってきた。もはやどうなるのかまったく読めなくなってきました。
18年ぶりに復帰のトヨタ、ヤリスWRCのポテンシャルは?
そんななか、トヨタ・ヤリスの走行テストを見てきた。2016年9月のパリサロンで発表された車両とまったく違う。
車体前方から具体的に紹介すると、写真のとおり、パリサロン時は控えめなエアダムしかなかったフロントバンパー回りの空力付加物が、カナードなど追加して複雑になった。
これは風洞を使ってデータを取り、徐々に加えていったのだと予想される。ボディ側面も衝突時の衝撃を吸収するための緩衝材を入れたため(2017年の規定)、複雑な形状を持たせてきた。
圧倒的に違うのがリア形状。ラリー車の場合、ドリフトしながら走るシーンも多い。特にラトバラなんか150km/hで真横になって走ることすらある! そこで斜めから風を受けた時の風洞テストを徹底的に行ったのだろう。
横を向いた時に突如ダウンフォースを失わないよう、リアウイングは滑らかな形状になり、バンパー下のディフューザー効果もレーシングカーほど追求していないと思う。
いずれにしろ「予想を大きく超える仕上がりですね!」とWRC関係者は口を揃える。
TMG(ドイツにあるトヨタのモータースポーツ子会社)で開発されているエンジンに関して言えば「最高出力などライバルに遜色はありません」とのこと。
本当の実力は走ってみなければわからないけれど、テスト走行を終え、手応えがあったようだ。
現時点での課題は「ガンコなアンダーステアが出ています」。サスペンションなのかデフなのか原因追求中とのこと。
ちなみにダンパーは実績という点で予測が難しいフランスの『BOS』。果たしてヤリスWRカーのアドバンテージになるか?
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