2025年5月31日、スーパー耐久富士24時間レースが開催されている富士スピードウェイで、ENEOSと自動車メーカー各社が記者会見を開いた。「この富士24時間レースから低炭素ガソリン(エタノール20%今号)の開発実証を開始する」とのことで、トヨタ、スバル、NISMO、マツダ、ホンダレーシング各社の参戦車両へ提供する。2050年のカーボンニュートラル社会に向けて、既存の内燃機関車や街のガソリンスタンドを守ることに繋がる技術だ。
文・写真:ベストカーWeb
【画像ギャラリー】スーパー耐久富士24時間レース開幕でENEOSと自動車メーカー各社が会見(4枚)画像ギャラリー■内燃機関と街のスタンドを守る技術開発
2050年までにカーボンニュートラル社会を実現させるためには、BEVや水素を使ったFCEVを普及させるだけではとても実現できない。日本国内に約8300万台ある保有車両のほとんどが内燃機関を載せており、その保有車両をあと25年ですべてBEVやFCVに切り替えるとは現実的ではないからだ。
ではどうやって2050年にカーボンニュートラル社会、CO2排出量ゼロの社会を実現するかといえば、既存の液体ガソリンや軽油からCO2を排出する要素を減らしていけばよい。
今回発表されたのは、そうした「低炭素ガソリン」の普及に向けた第一歩といえる。
ENEOSはこのスーパー耐久シリーズ2025 第3戦NAPAC富士24時間レースから、エタノール20%混合ガソリン(「E20」)を、トヨタ、スバル、NISMO、マツダ、ホンダレーシングの各参戦車両へ供給する。
過酷な耐久レースで低炭素ガソリンを使用することで、一般市販車へ普及させるために開発を進めていく。
これまでスーパー耐久シリーズでは、WRCなどでも使用されているP1 Fuels製のカーボンニュートラル燃料を使っていたが、今回からENEOSが提供する「E20」を使うことで、より市販車の利用に近い状況でテストされ、開発が進むことになる。
記者会見にはトヨタ自動車の商品担当取締役・中嶋裕樹副社長や、スバルの取締役専務執行役員・藤貫哲郎CTO、マツダの専務執行役員・梅下隆一CTO、NISOMO・木賀新一総監督も登壇。低炭素ガソリンを使って(S耐富士24時間の)テストや予選を走ってみた感触を聞かれ、「通常の速度粋では、(これまで使っていた)P1 Fuels製燃料と変わらない。ただこれから本選に挑むにあたり、過酷な使用状況となることでいろいろと問題が出てくると思う。まあレースや開発ってそういうものですから。」(藤貫CTO)と語った。
低炭素(将来的にはカーボンニュートラル)ガソリンが普及すれば、既存の内燃機関車も、2050年を超えて使い続けることができるようになる。いま乗っている愛車に乗り続けることができるようになる。
燃料会社(ENEOS)と自動車メーカー(トヨタ、日産、スバル、マツダ、ホンダ)が一緒になって低炭素ガソリンの開発を進めることで、街のガソリンスタンド(地域のライフラインとして機能もしている)を守ることにもつながる。
近年、スーパー耐久シリーズは「サーキットを実験場として使うこと」に力を入れてきたが、このプロジェクトはまさに将来のカーボンニュートラル社会に向け、内燃機関車を守るための(そしてガソリンスタンドを守るための)重要な一石となるだろう。




コメント
コメントの使い方バイオ混合燃料はカーボンフリーを目指す段階としては選択肢であったはずなんですが、石油利権や政治的(税制的)な理由で潰されてきたと思います。今度こそ、実現してほしいところ。最近知りましたがフュエルリッドのラベルにE10対応(バイオ混合ガソリン)を書いてるメーカーあるんですね。