2勝目ならずも年間8位は日本人歴代ベスト
予選が上位でもレースでマシントラブルに見舞われることが多かったため、琢磨が年間2勝目を実現することはできなかった。しかし、シーズンを通してトップ争いに加わり続けた彼は2017年シーズンをランキング8位で終えた。
シングルの年間ランキングは琢磨にとっての自己ベスト、そして、歴代日本人ベストとなる成績だ。
2015年からの3シーズンに渡り、インディカーではホンダとシボレーのエアロキットが使われて来たが、2018年シーズンからは出場全車が同一のエアロキットをまとって戦う。新型エアロの特性をいち早く見出し、セッティングをまとめ上げた者たちがアドバンテージを持ってシーズンを進めて行くことになる。
佐藤琢磨がインディ500をともに制したチームを去るワケ
そして、そのシーズンに向けて琢磨はチームを替える。アンドレッティオートスポートを離れ、2012年シーズンを共に戦ったレイホール・レターマンラニガンレーシングへと移籍するのだ。
インディ500で勝ったチームを離れるというのは珍しいケースだが、それはアンドレッティオートスポートが使用エンジンをホンダからシボレーに変更する動きを見せたためだった。
琢磨はホンダ契約ドライバーなので、ホンダを使うチームでしか走れない。そこで他チームとの交渉をスタートした。
アンドレッティは検討の末にホンダ陣営にとどまることにしたが、琢磨はその前にレイホールへの移籍の決意を固めていた。
琢磨が移籍するチームは期待できるのか?
アンドレッティは2003年設立で通算57勝。対するレイホールは1992年発足だが、2009~2011年はフルシーズン出場を休止したこともあり通算25勝。
この数字だけ見ればアンドレッティ残留が正解に思えるが、レイホールはこの3年ほどで急激に力を伸ばしており、さらなる実力アップが期待できる。
彼らのドライバーであるグレアム・レイホールは2015年がランキング4位、2016年が同5位、2017年が同6位。2015年と2016年はホンダ勢の最上位だった。
4台体制の強豪3チームに対抗し、1台体制でこれだけの成績を挙げたことは素晴らしいの一言だ。
アンドレッティは今年かなりよくなったが、アレクサンダー・ロッシのランキング7位がトップで、琢磨が8位、ライアン・ハンター-レイが9位とレイホールのほうが上位だった。
インディ500連覇、年間王座獲得へ。高まる期待
レイホールのチームが2台をフルシーズンにエントリーさせることになったら、しかも、その2台目に乗るのが琢磨だとしたら、チームのさらなる躍進がなるだろう。
プラクティス(練習走行)や予選で得られるデータ量は倍増し、琢磨のセッティング能力、フィードバック能力の高さがチームのさらなるレベルアップを促す。
2018年に全員が新型エアロ装着マシン使用という点も、琢磨のF1などでのマシン開発の経験が活かされるチャンス。グレアム・レイホールと琢磨のコンビは高い戦闘力を発揮するに違いない。
2018年の佐藤琢磨は、インディ500連覇、そしてシリーズチャンピオンと、大きな目標をふたつ掲げてシーズンを戦うことになる。
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