“上から目線”ではない新相棒と高まる期待値
トロロッソは初めて“ワークスパワーユニット”を手に入れた。
これはパワーユニットという「ハード」だけでなく、それに付随するあらゆる「サービス」をホンダから受けられ(これはトロロッソ史上経験のないサポート体制となる)、パワーユニットに関わる予算の全てはホンダが肩代わりし、トロロッソは予算の多くをそのまま車体開発に使うことができるのだ。
技術責任者のジェームス・キーは「この状況はエンジニア天国だ」とさえ言い切る。また「ワークスチームとしての責任」という言葉を使い、「お互いの向上がお互いの責任、片側だけの向上はあり得ない、双方の向上こそがお互いの責任」とその堅い協力関係を誓う。
これは昨年までのマクラーレンの上から目線で責任の全てをパートナーに押し付けるやり方、考え方と大きく異なる。
もちろん、トロロッソ・ホンダの新車は、2017年9月に急遽決まったホンダPU搭載により、短時間で換装をしなければならず、マシン的には昨年のSTR12(2017年仕様)のホンダ版、新規則対応型。
パフォーマンス的に大きな向上を期待するのは難しいが、STR13-HONDAがテストでいきなり見せた信頼性の高さ、ずば抜けた走行距離(10チーム中3位)、満足のゆくタイム、速い最高速(10チーム中4位)……若い2人のドライバーが語るように、中団の高い位置を戦う要素は充分に持っていると考えてもよさそうだ。
対照的に前途多難なマクラーレン
では、今シーズンから宿敵となったマクラーレンはどうだろう。
マクラーレン・ルノー「MCL33」は、極めて見た目の良いスタイルをしている。しかし、スマートで実にコンパクトではあるが、あくまでもマクラーレンとルノーとの関わりは、マクラーレン史上初で、ルノーのパワーユニットは(他チームと)同じでも決してワークスサポートを受けられるわけではないはずだ。
だからこそ、エントリダクトやインテークなど、そのサイズに若干の問題がありそうな気がする。今シーズンは、どのチームも極端に「低く、狭く、コンパクト」という空力三原則を守り、かなりタイトなサイドポッドがトレンド。
その裏にはシーズン3基までのパワーユニット使用制限があり、レースを有利に展開するにはペナルティを避け、耐久性確保への大きな安全マージンが必要という事情がある。内容的には見た目ほどシビアに設計を攻めてはいないのだ。
その証拠がどのチームもサイドポッドの入り口を絞ったぶん、ロールフープ(ドライバー頭上の空気取り入れ口)等のインテークを拡大していることに表われている。冷却空気流の動線をしっかり確保しているわけだ、マクラーレン以外。
それでも流石マクラーレン、テストではしっかりとしたタイムを出してはいるが、どう見ても前途多難を感じさせてしまう。
さてこんなマクラーレンに、トロロッソ・ホンダはどこまでリベンジが果たせるだろうか……ファンとしては最も興味深い今シーズンの見どころということになる。
■2018年 F1グランプリ日程■
- 第1戦 オーストラリア 3月25日決勝
- 第2戦 バーレーン 4月8日決勝
- 第3戦 中国 4月15日決勝
- 第4戦 アゼルバイジャン 4月29日決勝
- 第5戦 スペイン 5月13日決勝
- 第6戦 モナコ 5月27日決勝
- 第7戦 カナダ 6月10日決勝
- 第8戦 フランス 6月24日決勝
- 第9戦 オーストリア 7月1日決勝
- 第10戦 イギリス 7月8日決勝
- 第11戦 ドイツ 7月22日決勝
- 第12戦 ハンガリー 7月29日決勝
- 第13戦 ベルギー 8月26日決勝
- 第14戦 イタリア 9月2日決勝
- 第15戦 シンガポール 9月16日決勝
- 第16戦 ロシア 9月30日決勝
- 第17戦 日本 10月7日決勝
- 第18戦 アメリカ 10月21日決勝
- 第19戦 メキシコ 10月28日決勝
- 第20戦 ブラジル 11月11日決勝
- 第21戦 アブダビ 11月25日決勝
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