WRC(世界ラリー選手権)というと、最新鋭のラリーマシンが走行するイメージがあるが、実はクラス分けによってさまざまなマシンが走行している。
それを可能にしているのは、ラリーが1台ずつ走行するタイムトライアル競技で、基本的に他のマシンを抜くことがないからだ。
今回はまるで軽自動車のようなルノー4がラリーコースで見せた雄姿を振り返る。
文・写真/佐久間健
■軽自動車を思わせる小型のラリーマシン
WRCを取材していると、最新鋭のマシンに交じってあまりラリー向きでないクルマや旧車が走行していることがある。これは国内ラリーが併催されていたり、賞典外のオープンクラスが設けられたりするためだ。
サーキットで混走となれば危険かもしれないが、1台ずつ走行するラリーだからできることといえるだろう。
今回は2000年のラリー・ド・ポルトガルと、ラリー・カタルーニャに出場したルノー4(キャトル)をとりあげよう。
ルノー4はかなり昔の車なので、知らない人も多いかもしれないが、1961年から1992年まで製造された大衆車である。
クルマのサイズはほぼほぼ日本の軽自動車で、全長が30cmほど長く、車重は600kgから700kgくらい。エンジンは700ccから1100ccが設定されていた。形は見ての通り、背の高い5ドアハッチバックで、この辺りも軽自動車のようだ。
■いいタイムが出るわけもなく……
当然WRCを走るのに向いているはずもないが、WRCに出ているということはホモロゲーションもあるのだろう。
そういえばシトロエン2CVやルノー4のワンメイクレースを、取材中にフランスの雑誌か何かで見たことがある。
このマシンに乗っていたのはポルトガル人のコンビで、SS中に、このクルマが来ると笑いと拍手が起こっていた。
あまりに遅いので、しばしば最後に走行してラリーコースをチェックするスイーパー(追上車)に追いまわされることも……。こういうシーンもWRCの楽しみの一つだといえるのだろう。
ちなみにこのポルトガルのウイナーはスバルのリチャード・バーンズ、カタルーニャはフォードフォーカスのコリン・マクレーだった。
●解説●
2000年のWRCに日本から参戦したのは三菱のランサーエボリューションIV(マキネン、ロイクス)とスバルのインプレッサWRC(バーンズ、カンクネン)。トヨタはF1参戦のため、前年でワークス活動を休止していた。
他にはプジョー、フォード、シュコダ、セアト、ヒュンダイ(ヒョンデ)が参戦。各チーム有力ドライバーを擁して挑んだが、プジョー206WRCが強力であった。 年間チャンピオンはプジョーのグロンホルムが獲得し、マニュファクチャラーもプジョーチームが獲得した。
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