WRC2024シーズンがモンテカルロで開幕。雪こそ少ないが日陰は凍ったり、インカットで泥や砂利がかき出されるなど、難しいコンディションのなか、ヒョンデのヌービルがトヨタのオジエを振り切って2020年以来2度目のモンテカルロ優勝。彼にとってWRC通算20勝目となった。
文:ベストカーWeb編集部 写真Red Bull、TOYOTA GAZOO Racing
■ヌービルとオジエ、3.3秒差で迎えた最終日
初日、2日目と昨シーズン後半の勢いそのままに好調な走りを見せ、トップに立ったトヨタのエバンスだったが、3日目突如ハイブリッドシステムのブーストを得られないトラブルで、タイムを失い3位に後退。
3日目に3位からトップに立ったのはヒョンデのヌービル、今シーズンこそ悲願の初タイトル奪取に燃える男がその実力を発揮。トップ、エバンスとの差16秒1を逆転した。ヌービルは通算19勝しているが、なぜかこれまでチャンピオンを獲れなかった。今シーズン、ヒョンデがトヨタに勝つためには、この男の活躍が欠かせない。
2日目まで2位のオジエは、さすが9回目このラリーを勝っているだけに、ラリーの進め方を熟知しているかのよう。3日目一時3位に後退するが、その後700回目のステージ優勝を記録するなど挽回し、ヌービルとの差を3.3秒に詰めた。
セレモニアルスタート前に、オジエにモンテカルロラリーの難しさはどこにあるのか? と聞いたところ、「雪がないからといって簡単ではない。朝晩気象条件が変わり、朝は凍った路面があるので注意が必要だし、ドライ路面でも滑りやすいところがあって、油断はできない」と話していたがその通り。ハイスピードで攻めたところに、氷やインカットでかき出された泥や砂が浮くトリッキーな路面は選手を悩ませ続けた。
■ヌービルが突き放しモンテカルロ2度目の制覇
最終日はヌービルと地元のオジエとの一騎打ち。オジエの逆転を信じて最終日3本のSSに地元のラリーファンは固唾を飲んで見守った。
期待を背負ったオジエに対し、終始冷静かつ攻めの走りを見せたのがヌービル。SS15、SS16とオジエを突き放し、パワーステージとなる最終SS17を前に13.5秒差まで広げた。そして最終パワーステージも圧巻の走りでトップタイムを記録。オジエも最終ステージは恐れることなく攻めたが、波に乗ったヌービルの前にお手上げといったところで16秒1差の2位に終わった。
ヌービルはパワーステージも制しフルマークの30点を獲得し、悲願のチャンピオンへ好スタートを切る結果となった。なお、17のSSのうちヒョンデのヌービルが8つ、トヨタのオジエが6つ、残りはトヨタのエバンスが2つ、ヒョンデのタナックが1つトップタイムを記録。
結果ヒョンデの9勝に対してトヨタは8勝とヒョンデが上回った。トヨタが昨年まで3年連続チャンピオンになっているが、今シーズンはヌービル、そしてヒョンデがパワーアップしていることを印象づける結果となった。
3位はエバンス、4位はヒョンデに復帰したタナックとなった。期待された勝田貴元は2日目最初のSSで氷の路面にコントロールを失い、コースオフ。19位まで順位を落とし、3日目以降追い上げたが7位が精一杯だった。
それでも最終日にプッシュし、パワーステージはヌービル、オジエに次ぐ3位に食い込んだ。今シーズンから始まった7位の4ポイントに加え、パワーステージ3位の3ポイント、今シーズンから始まった日曜日の順位、6位の2ポイントを加え9ポイントを獲得し、ランキング6位で長いシーズンの初戦を終えた。
マニュファクチャラーズポイントはトヨタが46ポイントでヒョンデが45ポイント。数字通りトヨタとヒョンデの差がわずかであることがわかったモンテカルロの戦い。次戦、雪のラリー・スウェーデンではどんな戦いが繰り広げられるのか? オジエに代わって走るロバンペラに注目。そして勝田の巻き返しにも期待したい。
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