何度も空振り続けてきた「新型シルビア」の現在地 一縷の望みありか??

何度も空振り続けてきた「新型シルビア」の現在地 一縷の望みありか??

 FRレイアウトのスペシャルティカーだった日産シルビア。最終の7代目S15型は2002年8月、スポーツカー市場の低迷や平成12年排ガス規制の影響でR34スカイラインGT-Rとともに生産終了となった。

 これまで幾度となくシルビア復活の話が出てきたが、S15型生産終了から18年経った今、次期シルビア復活の話はあるのか、改めて調べてみた!

文/宇井弘明(元ベストカー編集局長)
写真/ベストカー編集部 日産自動車
CGイラスト/ベストカー編集部

【画像ギャラリー】ぜひ復活してほしい! 美しい歴代シルビアとIDxの詳細写真


幾度となく復活説が出てすぐに消えた

2002年に生産が終了したS15型シルビア。若者が買えるお手頃な価格のFRスペシャルティとして人気を博した。86&BRZの2代目も開発中という状況のなか、日産は次期シルビアの開発はしているのか?
2002年に生産が終了したS15型シルビア。若者が買えるお手頃な価格のFRスペシャルティとして人気を博した。86&BRZの2代目も開発中という状況のなか、日産は次期シルビアの開発はしているのか?

 若者にとって手に入れやすい価格とサイズ感で、そしてFRという操る楽しさを多くのクルマ好きに伝えてきた日産シルビアは2002年に生産が終了した。

 1999年7月にルノー傘下となった日産は、C・ゴーン体制となり、採算の悪いスポーツカーから撤退すると思われたが、ご存じのようにGT-RとフェアエディZが存続されるなか、7代にわたって愛されてきたシルビアは継続しないという選択をしたのはご存じの通り。

 しかし、水面下では実際に開発が行われており、ベストカーでは日産関係者から詳細な証言を手に入れており、その時点では開発が行われていたのは間違いないところだ。

 2005年の東京モーターショーでは「フォーリア」。同年のデトロイトでは「アズィール」と2ドアクーぺのコンセプトを立て続けに公開した。

2005年の東京ショーに登場したフォーリア。2ドアでNAエンジンなど次期シルビア像にピッタリの想定だった
2005年の東京ショーに登場したフォーリア。2ドアでNAエンジンなど次期シルビア像にピッタリの想定だった
2005年デトロイトショーに登場したアズィール。後に登場するセントラのデザインに採用された
2005年デトロイトショーに登場したアズィール。後に登場するセントラのデザインに採用された

 しかし2010年になり、大きな転換点を迎える。リーマンショックの影響を受けてFR、2Lサイズ(NA)で開発が進んでいた次期シルビアの開発プロジェクトは頓挫してしまったのだ。

 ベストカーは、当時の状況について「昨日までは開発続行と聞いていたのに、夜が明ければ開発中止の情報が入ってくるような状況」だったと言う。

 結果として日産はより大きなスカイラインクーペやフェアレディなどに資源を集中し、日産のFRスポーツは大型化していく。

2013年に発表されたIDxはシルビアではなかったのか?

新しい日産のFRコンパクトスポーツが誕生するかと会場もメディアも湧いた。こちらは標準仕様のIDxフリーフロー
新しい日産のFRコンパクトスポーツが誕生するかと会場もメディアも湧いた。こちらは標準仕様のIDxフリーフロー
IDxフリーフローのボディサイズは全長4100×全幅1700×全高1300mmというコンパクトなサイズ
IDxフリーフローのボディサイズは全長4100×全幅1700×全高1300mmというコンパクトなサイズ
1965年4月に発売された初代シルビア。クリスプカットといわれたボディラインのエッジ部分やシャープにカッティングされたセミハンドメイドの継ぎ目のない流麗なクーペボディが特徴
1965年4月に発売された初代シルビア。クリスプカットといわれたボディラインのエッジ部分やシャープにカッティングされたセミハンドメイドの継ぎ目のない流麗なクーペボディが特徴

 こうして2010年のリーマンショックで次期シルビア開発計画は立ち消えたように思われた。ところがである。

 日産は2013年の東京モーターショーにIDxなるコンセプトカーを突如出展したのだ。

 かつての510ブルーバードやハコスカなどの日産のスポーツアイデンティティを盛り込み、コンパクトなクーペスタイルのIDXを見たファンからは、フロントデザインが初代シルビアに似ていたこともあり、これが「次期シルビアになるのではないか!?」と色めきだったのだ。

レーシングバージョンのIDx NISMO。2台は無理でも1台は市販したい、と意気込んでいたのにどちらも市販化されていない
レーシングバージョンのIDx NISMO。2台は無理でも1台は市販したい、と意気込んでいたのにどちらも市販化されていない
IDxニスモはIDxフリーフローよりも幅広く、よりロー&ワイドを強調するプロポーションを備えるとともに、エクステリアの随所にカーボンやサイド出しのマフラー、19インチホイールなどを採用したりしてレーシーなスタイリングに仕上げている。パワートレーンは1.6L、直噴ターボエンジンにCVT(6速マニュアルモード付き)を組み合わせている
IDxニスモはIDxフリーフローよりも幅広く、よりロー&ワイドを強調するプロポーションを備えるとともに、エクステリアの随所にカーボンやサイド出しのマフラー、19インチホイールなどを採用したりしてレーシーなスタイリングに仕上げている。パワートレーンは1.6L、直噴ターボエンジンにCVT(6速マニュアルモード付き)を組み合わせている

e-POWERでの復活の可能性はあるのか?

e-POWERを採用したスポーツモデルの予想CG(ベストカーが製作したもの)。シルビアサイズのFRプラットフォームの開発はコスト的に厳しいが、FFプラットフォームを採用してe-POWERで後輪駆動を採用できる可能性はある
e-POWERを採用したスポーツモデルの予想CG(ベストカーが製作したもの)。シルビアサイズのFRプラットフォームの開発はコスト的に厳しいが、FFプラットフォームを採用してe-POWERで後輪駆動を採用できる可能性はある

 しかし間もなくしてクルマ好きの間に広がったこの歓喜の渦が、幻だったことを知ることになった。日産専務執行役員チーフ・クリエイティブ・オフィサーの中村史郎氏(当時)が、とあるメディアにこう語ったのだ。

 「現在、ミドルサイズ以下のFRプラットフォームは開発されておらず、IDxのようなモデルを市販する計画はない」。この発言は熱していた次期シルビア待望論を一瞬にして冷ませてしまった。

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