ここに来てヴォクシーの延命説が有力情報としてトヨタ販売店筋に流れている。ノア/ヴォクシー/エスクァイアの3兄弟のなかで、ヴォクシーの売れ行きが加速状態にあるためだ。
トヨタは2020年4月の一部改良で3兄弟の商品ラインナップを再編し、ノアは従来通り5ナンバーサイズの標準車と3ナンバーサイズの上級&スポーツバージョン、特別仕様車のW×Bを継続設定とした。
これに対してヴォクシーは3ナンバーサイズで上級&スポーツバージョンの「ZS」と特別仕様車の「ZS煌III」に絞り、5ナンバー車を廃止した。豪華バージョンのエスクァイアは、上級グレードの「Gi」特別仕様車の「Giプレミアムパッケージ」に再編した。
すなわち、これは何を意味しているのか? この3兄弟を2022年1月のフルモデルチェンジする新型ノアに1本化し、ヴォクシー/エスクァイアを廃止するための布石、と販売店筋は受けとめていた。
さて、当初の予定通り、3兄弟は新型ノアに1本化されるのか? それともヴォクシーが生き残り、ノア/ヴォクシーの2モデルのラインナップとなるのか、最新情報をお伝えしていこう。
文/遠藤徹
写真/ベストカー編集部 トヨタ
CGイラスト/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】岐路に立たされたノア/ヴォクシー 今後の運命は?
トヨタの目論見は外れ、ヴォクシーがダントツで売れている
この3兄弟は2020年5月にトヨタ全系列店扱いになるまではノアがカローラ店、ヴォクシーはネッツ店の各専売で、エスクァイアはトヨタ店とトヨペット店の併売態勢だった。
全系列店扱いになってどう変わったか? トヨタの目論見と大きく異なり、ヴォクシーの売れ行きがダントツのトップでノアは多少プラスでエスクァイアは予想通り(?)最も販売不振で推移している。
最近のデータで見ると、5月、1~5月累計と前年同月比、前年同期比はヴォクシーが5066台、48.2%増、3万4310台、18.3%増に対してノア3134台、55.8%増、2万993台、19.0%増、エスクァイアは863台、40.2%減、6212台、57.4%減となっている。これを見るとエスクァイアは大幅マイナスだから、消滅しても差し支えないといえる。
問題はヴォクシーである。月販台数で2000台近く、ノアよりも売れているわけだから、トヨタとしてもこの状況を無視できないと判断しているに違いない。
両モデルのコンセプトはボディパネル、パワートレイン、価格設定を同一にしながら、ヴォクシーはフロントマスクを中心に押し出しの良い若者向けのデザインで仕立てている。これに対してノアは一般受けのするおとなしめのデザインでファミリーユーザーをメインにしながらも幅広いユーザー向けの仕様として分けている。
ところが実際には、ヴォクシーは若者をメインとしながらも幅広いユーザーからも好まれているといったことが売れ行き加速の要因として上げられる。
ヴォクシーを無視できないのはリセールバリューの強さである。5年後の特別仕様車の売却価格を比較するとヴォクシーの方が10万円以上も高く売却できるケースが多い。したがってこのことがヴォクシーのほうが良く売れる要因にもなっている。
コメント
コメントの使い方