■次期型ハイエースの可能性
日本のビジネス環境では、駐車スペースや倉庫の広さに制約があり、海外版ハイエースのようなボンネットを備えた大柄な商用バンは使いにくい。そうなると次期ハイエースもワンボックスボディを踏襲して、外観の変化は小さく留まる。
その代わり機能は大幅に進化する。プロボックスに続いて、商用車ながら新開発されたハイブリッドを採用する可能性もある。ハイエースは後輪駆動を基本にした商用バンだから、床を高い位置まで持ち上げて平らに仕上げた。そのために駆動用電池の収納スペースを床下に捻出しやすい。
そしてハイエースは大量に販売され、1台当たりの走行距離も長い。1年間に2万km以上を走る使い方も当たり前だ。ハイブリッド化すれば、二酸化炭素の排出量を効果的に抑えられる。
また1年間に走る距離が長ければ、ハイブリッドの価格上昇分を燃料代の節約で取り戻すまでの期間を短く抑えられる。耐久性を確保できれば、ハイエースとハイブリッドの親和性は高い。
このほかボディの基本骨格の見直しにより、衝突安全性も向上させる。衝突被害軽減ブレーキは、右左折時に直進車や横断歩道上の歩行者を検知するなど、新たな機能を盛り込む。
そして考え方を少し飛躍させると、ハイエースの4WDをベースに、GRスポーツを加えるかも知れない。先に述べた通りハイエースはトランスポーターのニーズも高い。そこで悪路向けの4WD風に(あるいは以前のデリカスターワゴンのように)、車高を持ち上げて最低地上高に余裕を持たせるチューニングも成り立つ。実際にそのような改造も行われている。ハイエースGRスポーツを用意して、車内の防水加工なども多彩にオプション設定すれば、新しいハイエースの使われ方、さらに新たなクルマとの出会いも生まれるだろう。
峠道を86で攻めたり、豪華なアルファードで高速道路や街中をクルージングするのも良いが、クルマにはもっといろいろな楽しみ方がある。ハイエースはそのニーズにも的確に応えて、クルマの世界を広げてくれると思う。
ハイエースの行く末は、クルマ好きにとっても大いに気になる。
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