クラウン情報が混迷極まっている。FRからFFへ、そしてSUVとして生まれ変わる、という衝撃のニュースが入ってきて以降、クルマファン、クラウンファンとしては衝撃を受け、また寂しさを覚えつつもそれらを受け入れてきたことと思う。そして紆余曲折ありつつも、その情報の基本的な部分は変わらなかった。
だがここに驚きの情報が連続して入ってきた。FFベースの新型は既報通り登場するが、FRも残る。そしてSUVは凍結になったという。
追いかけている方も混乱しそうになるのだから、伝えられる側は「ちょっと何言ってるか分からないです」状態かもしれない。とにかく今わかっていることをひとつずつお伝えしていこう。
※本稿は2022年5月のものです
文・予想CG/ベストカー編集部、写真/TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年6月10日号
■SUVは「凍結」!? FFベースの新型4ドアクーペは既報通り6月〜7月登場へ
そもそもの発端は2020年秋だった。
クラウンが縦置きエンジンのFRから横置きエンジンのFFになり、しかもSUVに生まれ変わるという情報が流れ、クルマ業界に衝撃が走った。
調査を続けるとその情報は事実で、思いのほか早く登場することもわかった。
ただし、SUVだけではなくセダンも残すが、そのセダンはスポーティな4ドアクーペデザインであることも判明。「まず4ドアクーペが登場し、1年ほど遅れてSUVが追加される」ことが確実となったのだ。
この情報はベストカーでも幾度となくお伝えしてきた。
発売時期は2022年6~7月頃で、まずは4ドアクーペが登場。ここまでは既報のとおり(半導体部品調達や工場ライン調整の関係で正式発表時期が明確になるのはあと数週間かかる模様)。
だがここに来て、驚くべき新情報が入ってくる。
なんと、SUVの開発凍結。さらに、現行型をベースにしたFRタイプの新型を急遽開発することになったというものだ。いったい何があったのか……?
結論から言うと、販売サイドの強い反対によるものだ。
メーカーは新型車を発売する前にディーラーに実車を見せ、開発の狙いや内容、ターゲットユーザーなどの説明をするものだが、その場でのディーラー側の反応が著しく悪かったのだという。
FFベースになる新型クラウンはボディサイズ、特に全幅が拡大し、現行型までのクラウンの不文律であった全幅1800mm以内を大きく超えている。
一説によると1850mm以上ということで、その時点ですでに販売店サイドは難色を示していたという。
それでも発売直前の4ドアクーペに関しては今さら変更は不可能。また、クラウンの新しい展開ということでの期待もあったというが、強硬な反対にあったのは遅れて追加する予定のSUV。
「クラウンブランドで、こんなに大きなのSUVなど売れるわけがない」という意見が続出したのだという。
メーカーにとって、ユーザーと実際にコミュニケーションを取る販売店の意向は重要。
「以前からクラウンのSUVには懐疑的な見方が強かった」(情報筋)という情報もあり、販売店の意見だけでなく、顧客の事前の反応もよくなかったことがうかがえる。
驚くべきは販売サイドのこの意見を聞き、トヨタがクラウンのSUVの開発凍結を決定したことだ。
来年夏頃の発売を予定していたとすれば、開発は8割方終わっていたと思われるが、それでも凍結。それだけ反対意見が多かったということだろうが、ベストカーも過去にあまり聞いたことがない対応だ。
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