■目指すは「和製ランドローバー」?
では次世代のパジェロはどう計画されているのか? そこを説明していこう。
まず候補として挙がったのがトライトンをベースに開発するという方法。
3代目の最新モデルが登場したばかりのトライトンは、ラダーフレームを使う悪路走破性に優れたピックアップトラックで、確かにパジェロが必要とする性能を確保できる。最新のクリーンディーゼルエンジンもパジェロのイメージに合う。
さらに付け加えるなら、このラダーフレームは電動化にも対応できる作りとなっている。
しかし、そのパジェロのイメージは昭和〜平成時代のもので、次世代のパジェロとは異なるというのが開発陣の出した結論。特に乗り心地の面で、次世代パジェロの水準に達しないというのがわかったのだという。
つまり、次世代のパジェロはラグジュアリーなSUVを目指しているということだ。オンロードを高級車のように走れて、それでいて悪路走破性も世界トップレベルを確保する。どちらが欠けてもパジェロを名乗れない。
そんなクルマ、どこかにありましたよね? そう、かつて「砂漠のロールスロイス」の称号を欲しいままにしたレンジローバーだ。次世代パジェロが目指すのはズバリ、和製レンジローバーなのである。
そこで方針を転換。トライトンベースをやめて、次期アウトランダーPHEVのプラットフォームをベースに開発を進めることになったのだという。
■PHEVも設定の計画!?
現行型の3代目アウトランダーPHEVは2021年12月に発売開始となったモデルでまだ新しい。
プラットフォームはルノー・日産・三菱アライアンスで共同開発したCMF-C/Dで、日産ではエクストレイルやキャシュカイ、ルノーではメガーヌやコレオスなどに使われているアライアンスの主力プラットフォームである。
現行型から採用されたばかりで、次期型でも継続採用となること確実だが、改良を重ねてさらなる性能アップを実現。
2025年頃の実用化を目指して開発中のBEV専用プラットフォーム、CMF-EVの知見も数多く投入されるという。CMF-C/Dの名称は同じでも、別次元のプラットフォームに進化するということだ。
次世代のパジェロがこれを使うということは、パワーユニットがPHEVになることは確実。
搭載エンジンの詳細は不明だが、マルチシリンダーエンジンを新開発する可能性は極めて低く、現行アウトランダーPHEVの直4、2.4Lの改良型を使うか、あるいはまったく新しい視点で小排気量過給エンジンを用いる可能性もある。
大事なのはモーターのパワーで、エンジンは陰の主役というのが現代の電動パワーユニットなのだ。
もちろん、三菱独自の4WDシステム「S-AWC」も進化させ、オンロード、オフロードともに強さと高い安定性、さらに上質な走りを追求していくことになる。
■ビッグネームの復活に期待だ!!
三菱は今、従来以上に「利益率にこだわる経営」を推進している。
特に日本市場は台数やシェアよりも利幅を重視しており、登場させる新型車は少数精鋭をよしとしているのだ。選択と集中と言い換えてもいい。
また、クルマそのものだけでなく、生産から販売までのマネジメントも方法論が変化している。トライトンはタイで生産して日本に導入。昔のように、それに不安を覚えるユーザーもほとんどいなくなった。
次世代パジェロも海外生産を視野に入れているという。パジェロ復活の重要性は認識しながら、かつてのように日本で大ヒットするという甘い夢は見ていない。
海外で生産し、アジア諸国を中心に販路を広げ、その市場のひとつに日本もあるという感覚だ。そうした冷静な判断が持続可能性を高めてくれる。
2027年の正式デビューを目指し、動き始めた次世代パジェロプロジェクト。三菱伝統のビッグネームが満を持して復活する!
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