2023年6月15日〜18日まで東京ビッグサイトで開催された「東京国際消防防災展2023」。消防車メーカーの帝国繊維はオーストリア製EV消防車を参考出品した。世界各国で納入が進むEV消防車とはどんなクルマなのか? 日本初公開された実車をレポートした。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
これが世界各国で納入が進む最新EV消防車だ!!
帝国繊維が参考出品したEV消防車は、オーストリアの大手消防車メーカー、ローゼンバウアー社の「RT」というモデル。2020年9月に発表されたもので、日本では今のところ未発売だが、アメリカやヨーロッパ、アジアの国々で納入も始まっているという。
シャシーは車両総重量18トン級の2軸車で、容量66kWのバッテリー2基を床下に搭載。走行用モーターは前軸と後軸に連続出力133kWh(約180PS)/最高出力180kWh(約245PS)のものを1基ずつ搭載。これら電動コンポーネントはボルボ・トラック製だ。足回りは総輪エアサスに加えて後軸ステア機能付きとなっている。
さらに、車体後部には発電用ディーゼルエンジン(約305PS)を搭載。バッテリー残量が少なくなったら、同エンジンを回して補充電することで、航続距離や稼働時間を伸ばすことも可能だ。このレンジエクステンダーEVシステムはBMW製とのことである。
車体寸法は全長約7600mm×全幅約2350mm×全高約2900mmでホイールベースは4100mm。消火水タンクは1000〜4000リットル、泡消火剤タンクは50〜400リットルが搭載可能で、それらの残量はキャブ側面のLEDインジケータから確認できるようになっている。
特徴的な外装デザインは2016年発表の「コンセプト・ファイアトラック」を踏襲したもの。運転席はドライバー1名+8名(キャブ前2名+横向き4名+後ろ3名)で、運転席と助手席のほかボディ前方左右にも乗降用ドアを装備。
内装はセンターコンソールに大型モニター、左右ピラーにデジタルミラーを搭載するスタイリッシュなもので、消火作業のデジタル化やネットワーク化を図るシステムも備わる。
価格はビックリ3億円。これは同クラスの国産ディーゼル消防車の約10倍というから驚きだ。なお、同車両は搭載するポンプ等の各装置が日本の消防車の規格に適合していないため、現時点では日本での運用は不可能。今のところ販売予定もないという。
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