80スープラ 相場400万円の世界 あの頃の憧れを手に入れるには?

 トヨタが生んだスポーツカーのなかで、今もなおカリスマ的な人気を誇るJZA80型スープラ(略称:80スープラ)。

 1993年5月に登場した後、平成12年度自動車排出ガス規制をクリアできず、惜しまれつつも2002年8月に生産終了となった。

 2001年に公開された映画『ワイルド・スピード』で主人公のブライアン・オコナーがスープラ・エアロトップ仕様に乗ったことで一気に有名になった。

 そして、アメリカでの日本車ブームを受けて国外流出する80スープラが続出。現在も相変わらず、中古車相場が高騰しており、その人気は衰えることをしらない。

 そこで、実際に80スープラが欲しいという人のために、中古車相場や購入チェックポイント、部品はあるのかなど、詳細にわたって専門店に徹底取材! 中古車事情に詳しい伊達軍曹がレポートする!


文/伊達軍曹
写真/伊達軍曹 ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 トヨタ

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80スープラはいまだに人気なのか?

1993年5月~2002年8月まで生産されたJZA80型スープラ

 中古車事情を解説する前に、まずは「80スープラ」というクルマ自体について、ごく簡単にだが紹介しておこう。

 80スープラことA80型先代トヨタスープラが発売されたのは1993年5月のこと。グローバルでは「4代目のスープラ」ということになるが、日本国内のスープラとしては初代A70型に続く「2代目のスープラ」である。

 キャッチフレーズは「THE SPORTS OF TOYOTA」。4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用する車台は同世代のソアラと共用だが、全長はソアラより大幅に短く、そして広く低いという本格的なスポーツカーとしてのパッケージングを採用。

 このため、燃料タンクの搭載位置はソアラのリアシート背後からトランク下へと移設されている。

 駆動方式はオーソドックスなFRで、搭載エンジンは3L、直6ツインターボと、同じく3L、直6のNA(自然吸気)となる。

280psを発生する2JZ-GTEエンジンを積んだスープラRZ

 ターボの2JZ-GTE型エンジンは、最高出力こそ自主規制値だった280psに抑えられたが、最大トルクは三菱GTOやユーノスコスモを上回る44.0kgmを発生。

 また3L、NAのほうも最高出力225ps/最大トルク29.0kgmという、十分以上のパワー&トルクだった。

 トランスミッションは、ターボの2JZ-GTEにはゲトラグ製6速MTまたは電子制御式の4速ATで、自然吸気の2JZ-GEには5速MTまたは電子制御式の4速ATが組み合わされた。

 グレードは、ツインターボエンジン搭載グレードが「RZ」と「GZ」で、NAエンジンを搭載したのが「SZ」。

 1994年8月にはマイナーチェンジが行われ、17インチタイヤや大容量ブレーキをオプション設定するとともに、NAエンジン搭載のスポーツグレード「SZ-R」を追加。

 また1995年5月にはツインターボエンジンのベーシックグレード「RZ-S」も設定した。

 1996年4月と1997年8月にもマイナーチェンジを行い、そのほかにも細かな改良を年々重ねていった80スープラだったが、世の中は徐々に「スポーツカー不遇の時代」へと変わっていき、そして平成12年度自動車排出ガス規制に対応できなかったということもあり、2002年8月に惜しまれながら販売終了となった。

 そんな80スープラは、ひと昔前、いやふた昔前ぐらいまでは200万円も見ておけば、ごく普通に中古車を探すことができた。

 だが映画『ワイルド・スピード』の主人公が劇中で80スープラを愛車としていたことからアメリカ国内でカルト的な人気が高まり、相場はかなりの上昇傾向に。

 そして2018年には80スープラの初期モデルがアメリカの「25年ルール(右ハンドル車の輸入はできないアメリカだが、製造から25年以上が経過したクルマは例外として輸入可能になるルール)」の適用対象となったことで、さらなる国外流出と相場高騰に拍車がかかった……というのが、ここ最近の流れ。

 ちなみに国内における現在の中古車相場は、おおむね260万〜1100万円となっている。

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80スープラ専門店に徹底取材!

千葉県浦安市にあるキングバイヤー浦安店に取材に訪れた

キングバイヤー浦安店のホームページ

 そんな80スープラをもしもこれから買うとしたら、どんな年式やグレードを、どういった点に注意しながら買えばいいのだろうか? 

 20年以上前から80スープラを販売し続けているスポーツカー専門店『キングバイヤー浦安店』店長の刈谷康史さんに、80スープラの中古車に関する“正味のところ”を教えてもらった。

――ということで刈谷店長、最近の80スープラの相場はどうですか?

刈谷店長 相変わらず高いですね。もちろん最初の『ワイルド・スピード』のあたりからずっと高いわけですが、アメリカの25年ルールが初期年式に適用されるようになって以来、さらに相場が上がってしまいました。

 弊社も以前は常時20台から30台ぐらいの80スープラを在庫できていましたが、直近では残念ながら4〜5台しか置けていません。とにかくモノが少ないんですよ。

――全体的な相場としては、やはり「ターボが高くて、NA(自然吸気)が比較的安い」と思っていいんでしょうか?

刈谷店長 まぁそうですね。やはり「一番高いのはターボのMTで、安めなのはNAのAT」という傾向は確実にあります。しかし最近は、ターボとNAの価格差はやや小さくなってきています。

――ほう。それはどういった理由で?

刈谷店長 購入されるお客様の年齢層が変わってきてるんですよね。昔は、スポーツカーが大好きな若い方がお客様の中心でした。

 ターボの中古車価格も昔はせいぜい150万円とか200万円ぐらいでしたから、お若い方でも普通に買うことができたというのもあったでしょう。

 しかし今やターボですと300万円を下る物件はまず出てきませんので、お若い方にとってはやや難しい価格帯になってしまったんですよね。

――ふむう。

刈谷店長 それに対して比較的ご年配の方が、「昔憧れていた80スープラを今こそ!」的なニュアンスで買われるケースが最近は増えています。

 で、そういったご年齢の方ですと「もう爆走する年でもないし、街中を流すだけだから、ATでいいんですよ。

 この80スープラのカタチでさえあれば、ターボのMTじゃなくてもぜんぜんオッケーです」とお考えになる人も多い。

 そういうこともあってターボ+MTとNA+ATとの価格差は、昔ほどではなくなってきてるんです。

走行距離の少なさよりも程度重視で選ぶ

キングバイヤー浦安店の在庫車、1994年式前期RZ、MT、426.8万円、走行18.4万km

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――なるほど。私もひとりの中高年として非常によくわかる話です。ちなみに80スープラの中古車には、似たような年式・似たような走行距離の同グレードであっても、中古車価格がずいぶん違う2台があったりします。あれって結局、何が価格を分けているのですか?

刈谷店長 カスタマイズの良し悪しや、あるいは逆に希少なフルノーマルかどうかなども価格を分けますが、結局は「全体としての車両コンディション」ですよね。

 80スープラの場合はもはや年式も走行距離も価格にはさほど関係なくて、あくまで「コンディションの良し悪しで価格が決まる」という世界になっています。

――普通、中古車の値付けには年式や走行距離などの「スペック」が密接に関係していると思うのですが?

刈谷店長 もちろん80スープラでもそういった傾向がないわけではないのではありません。しかし、もはや距離や年式だけを“物差し”にするのは無理な年式になってるんですよ。

――そういうものですか?

刈谷店長 はい。例えばですが、走行距離が極端に少ない個体って、一見かなりいいように思えるかもしれませんが、実際は動かしていなかった期間が長かったために、再度動かすようになると急にオイル漏れが始まったり、硬化していたゴムブッシュが切れたり、機械の回転する軸部分がサビてダメになっていることも多いんです。

――うむう。そう言われてみると、確かにそうなのかもしれませんね。

刈谷店長 逆に通勤などで定期的に乗られていて、メンテナンスもマメに行われていた個体は、走行20万km超とかであっても非常に調子が良かったりします。

 また、以前は「後期のVVT-i((可変バルブタイミングリフト機構)化された年式じゃないとダメ!」みたいなこだわりをお持ちのお客様が多かったのですが、最近はそこにこだわるお客様はずいぶん減りました。

――それって「VVT-iが付いてトルクが46.0kgmになったけど“ボロい後期”より、多少トルクが低くても、しっかり整備されている“良質な前期”のほうがウケる」ということですよね?

刈谷店長 おっしゃるとおりです。VVT-iなどの細かい部分にこだわるのがナンセンスな年式になった……ということですね。

――改造についてはどうですか? 私は実はどちらかといえば輸入車系の仕事が専門で、輸入車だと、カスタマイズされた車両は低評価となるケースが多かったりするのですが?

刈谷店長 80スープラの場合は、適当ではないしっかりしたカスタマイズであれば、プラス評価になる場合が多いですね。

 ただアメリカでは、「純正部品がほとんど手に入らないから」という理由で、ノーマル車の人気が高いようですが。しかし日本国内では非ノーマル車であっても、ちゃんとしたモノでさえあればプラス評価です。

80スープラの部品調達は大丈夫なのか?

キングバイヤー浦安店の在庫車。1998年式後期RZ-S。ATからMTに換装、公認取得済み。入荷間もないため価格未定だが400万円台後半になる予定

――ちなみに国内では、トヨタの純正部品ってまだまだ出るんですか?

刈谷店長 いや、もはや出ない部品が多いですね。弊社の場合は部品取り車を大量にストックしていますのでほぼ問題ないのですが……。

 笑い話としては、たまにトヨタのディーラーさんから「80スープラの○×という部品、ないですか?」という問い合わせが弊社に入るぐらい(笑)、純正部品の供給は厳しい状況です。

――そんななか、これから80スープラを購入し、そして維持していくためにはどんな点に注意すればいいのでしょうか?

刈谷店長 80スープラというクルマは基本設計が良かったせいなのか、昔は「壊れる」ということがあまりないクルマのひとつでした。

 しかし今や最終年式でも18年落ちですから、予期せぬところ……、例えば、これまではあまり気にする必要がなかった電気関係の部位などがいきなり壊れるケースも増えてきています。

 まずはそういった事実を頭に入れ、というか覚悟のうえで、80スープラのご購入を検討していただきたいですね。

――18年落ちといえば旧車と呼ぶにはまだ早いでしょうが、「ちょっとした旧車」であることは間違いないですからね。ほかには?

刈谷店長 今、80スープラの相場が上がってるじゃないですか? 例えばですが、ひと昔前は200万円ぐらいで買えたターボのMTが、今の相場だと400万円ぐらいに変わっています。

……そうするとですね、つまり200万円だったモノが400万円になるとですね、人って往々にして「値段が高くなったぶんだけ、モノも良くなってるに違いない」という錯覚をしがちなんです。でも実際は、そんなことないんですよ。

――そりゃそうですよね! 200万円だったのが仮に4年前だったとすれば、4年ぶんの経年劣化が基本的には進行するわけですから。

刈谷店長 そうなんですよ。ですから、こういった年式のクルマに長くお乗りになりたいのであれば、別に弊社でなくても構いませんので、とにかくしっかりとした知識と経験を持っている、ユーザーの話をちゃんと聞いてくれる販売店で、80スープラを買っていただきたいんです。

――うむ!

刈谷店長 全店ではないですが、トヨタさんのディーラーでも「直せない」「部品がない」と言われてしまうことが多い80スープラですから、直すだけの知識を持っていない販売店や、そもそも直す気がない「売りっぱなしのお店」で買ってしまうと、購入後はちょっと大変なことにもなりかねません。

 ですから、繰り返しになりますが、弊社じゃなくても構いませんので、とにかく「知識がある販売店」で購入し、そのお店と長くしっかり付き合っていくというのが、基本的にはもっとも重要ではないかと考えています。

――確かにそうですよね……。『ワイルド・スピード』のイメージだけで買って、何も整備しないでもあんな感じでビュンビュン快調に走り続けると思ったら大間違いの年式ですからね。

 押忍、本日はお忙しいところありがとうございました!

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■トヨタスープラRZ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4520×1810×1275mm
●ホイールベース:2550mm
●重量:1510kg
●エンジン:2JZ-GTE型直6ツインターボ
●排気量:2997㏄
●最高出力:280ps/5600rpm
●最大トルク:46.0kgm/3600rpm
●トランスミッション:6速MT
●タイヤサイズ:フロント235/45ZR17、リア255/40ZR17
●価格:448万円

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