華々しくデビューを飾った新型スープラ。その型式はA90だが、これは当然先代スープラのA80からの続き番号となる。
最近になって80スープラ(1993年~2002年販売)の高騰にますます拍車がかかり、ターボモデルはひと声400万円なんてものがザラになってきている。
たしかに80の評価はレーシングドライバーからも高いのだが、2002年委製造中止になった際にスカイラインGT-Rほどの大きな騒ぎになっていなかったように思う。
歴史からスッと消えた印象のある80スープラがなぜいまになって高騰しているのか。そして90スープラよりも80が「買い」なのか??
スポーツカー好きジャーナリスト、岡本幸一郎氏が迫ります。
文:岡本幸一郎/写真:編集部、AdobeStock
■かつてのイメージはそこまで高くなかったように思う80スープラ
あらかじめ筆者のスタンスをお伝えしておくと、もともとGTカーよりのスポーツカーが好きで、これまで25台の愛車歴のうち7台がトヨタ車。
60セリカXX、70スープラ2台を乗り継いだものの、80スープラにはあまり魅力を感じず、FD3S型RX-7に心変わりした。
セリカXXや70スープラのあの雰囲気が好きだった筆者にとって、80スープラは、なんだかぜんぜん違うクルマになったように思えて、同じスープラの車名を受け継ぐことに違和感を覚えるほどだった。
そんなことはないという人ももちろんいるだろうが、筆者のそうした感覚をご理解いただける人も少なくないことと思う。
思えば2002年8月、スカイラインGT-R、シルビア、RX-7とともにモデルライフの終焉を迎えた。
最後の直6となるGT-Rやドリフト車ベースとして人気のシルビア、ロータリーピュアスポーツとして名をはせたFD3Sに対し、スープラはどちらかというとあまり惜しむ声が聞かれなかったように思う。
さらに思い起こせば1990年台前半、筆者はベストカーの兄弟媒体だったベストモータリングという、筑波バトルで知られるビデオマガジンの編集部に在籍していたのだが、パワフルでストレートでは速くても、トラクションが低いのでタイムにつながらないスープラがあまりよい評価を得た記憶がない。
恐れながら国産280ps勢の中では、GT-R、NSX、RX-7あたりがプロ野球等でいうAクラスだったのに対し、スープラはZ、GTO、ユーノスコスモらとともにBクラスだったのは否めないように思う。
ひいては当時、トヨタはスポーツカーが得意でないイメージが、そうしたところからも定着していってしまったように思えてならない。
モータースポーツではJGTCで4度もタイトルを獲得しているが、往年のGT-Rのように印象的な勝ち方をして伝説になれる時代でもなく、それがスープラの価値を高めた印象もあまりない。
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