GT‐Rが“神”と崇められたワケ
そんな新種の若者文化のなかで、“神”的な存在だったのが日産のGT-Rだ。当時LAにいた筆者の知人が日本からR32、R33、そしてR34のGT-Rを並行輸入していた。
その法的裏づけとして、複数車両をクラッシュテストさせるなど輸入するための大きなハードルがあった。同社はそうした手続きを正確に行っているはずだった。
ところが、さまざまな手続き上の違法行為が重なり、当局から法的な措置を受けて倒産した。こうした複雑な事情から、当時のアメリカの若者たちからGT-Rは希少な神的な存在として見られるようになった。
これと前後して、三菱自動車がランエボVIII、そしてスバルがWRX STIの正規販売を始めた。その後しばらくして、日産がR35型GT-Rの正規販売を決めた。
また、当時のアメリカ向けシルビアは直4、2.4LのK型エンジン(NA)だったため、SR型ターボを日本から輸入してエンジンスワップする動きもあった。
こうした改造日本車ブームは結果的に、短期間で広がった後、3年程度で急速に終わってしまった。それを受けて、邦題『ワイルドスピード』は4作目以降でそれまでの日本車色が一気に弱まっていくことになる。
いわゆるリーマンショック以降、アメリカ経済が順調に右肩上がり。トランプ政権になって株高も続いており、ジェネレーションXやジェネレーションYでは懐が暖かい人が増えている。
「若かった頃に憧れだったあの日本車を買いたい」という30~50代が今、アメリカで増えているのだ。
「今が買い」の80〜90年代国産スポーツ 5選
■ホンダ NSX/相場価格:546万円
北米ではアキュラNSXとして発売されていたが、日本仕様のほうが人気だとか。特に92年から3年間限定で発売されたタイプRは日本専売で人気。流通台数も比較的豊富だ。
■マツダ アンフィニRX-7/相場価格:194万円
歴代モデルと同時に北米でも発売されていたが、生産中止となった2002年当時は日本だけでなく、北米でもスポーツカー需要は低迷していた。逆にそれが幸いして人気になった?
■トヨタ スープラ(A80型)/相場価格:215万円
平均相場は値落ちし、流通台数も増えているため、今が買いのモデル。当時、北米仕様車も設定されていたが、280psの日本仕様ターボモデルも北米では人気を集めているのだという。
■日産 スカイラインGT-R(R32型)/相場価格:301万円
相場は高値安定傾向が続き、下がる気配がないため、買うなら早めが吉か。日本専売モデルのため、走行距離9万kmを超えた個体でも競売で500万円以上の値が付くという。
■ホンダ CR-X(2代目)/相場価格:98万円
流通台数そのものは減少しているが、平均相場は値落ちしているので買い。北米仕様はVTECモデル登場後も前期型と同じデザインだったこともあり、後期型が狙われている?
※各モデルの相場は自動車ライター、萩原文博氏の調査
写真/編集部、HONDA、TOYOTA、NISSAN
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