GT-Rも“海外流出”!? 今、狙われる国産スポーツ車と買っておくべきモデル

GT-Rも“海外流出”!? 今、狙われる国産スポーツ車と買っておくべきモデル

 今、スカイラインGT-R(R32型)、スープラ(A80型)、シルビア(S14型)といった1980~1990年代の名車たちが日本から次々と姿を消している。

 その行く先はアメリカだ。購入しているのは主にジェネレーションX(1965~1980年生まれ)とジェネレーションY(1981~2000年生まれ)と呼ばれる世代だ。

 なぜ、国産スポーツ車がもてはやされるようになったのか? 背景を探ると、“今買っておいた方が良い”国産スポーツはかなり多いことがわかってきた。

文:桃田健史、編集部
ベストカー2018年2月26日号


国産スポーツ流出を加速させる「25年ルール」

 1980~1990年代の国産スポーツは最近、めっきり街中で目にする機会が減ってきている。それもそのはず、2009年に始まったエコカー補助金導入による廃車手続きの増加が背景にあるからだ。

 その時に所有していた車を廃車にすることで補助金を手にできる制度だったが、これで多くの1980~1090年代国産スポーツが消えていったことは想像に難くない。

 そして、米国やカナダへの流出だ。そもそも米国もカナダも右側走行の国であり、右ハンドル車の走行は原則認められていない。右ハンドル車の危険性に加え、他国からの車に対する関税的な意味合いもある。

 しかし、米国には通称「25年ルール」が存在する。自国に正規輸入されなかったモデルは製造から25年(カナダの場合は15年)が経過すれば、米国内に輸入することが可能になるのだ。

 この規制緩和、単に右ハンドルというだけでなく、排ガス検査などもノーチェックとなる。ただし、米国内でも州によっては25年ルールでOKだったものが、独自のチェック項目を設定しているところもあり、この場合は州の決まりが上位となるようだ。

 また、カナダは15年ルールとなるため、2003年以前の車までが対象となっている。ということはR34スカイラインGT-R、S15シルビアに加え、S2000などもターゲットとなっている。

 では、なぜ北米では国産スポーツが人気を集めているのか? より詳しい事情を自動車ジャーナリストの桃田健史氏が解説する。

西海岸で起こった日本車ブームの背景

6代目シビッククーペ。大径ホイールでローダウン仕様が当時のトレンド
6代目シビッククーペ。大径ホイールでローダウン仕様が当時のトレンド

 時代は、今から20年ほど前の1998~2000年のアメリカだ。その当時、西海岸を中心として改造した日本車のブームが巻き起こった。当時LA在住だった筆者はその内幕を目の当たりにした。

 ブームの発端は、東洋系マフィアたちの遊びだった。彼らは、彼らの親が1980年代に購入したシビックやアキュラRSX(インテグラ)などホンダ車を払い下げしてもらい、シャコタンやマフラー改造などを始めた。

 そして、そうした改造やドレスアップを仲間内で見せ合う「ショー」を企画。未成年女子が水着姿でダンスをしたり、“怪しい薬”の売買が行われたりというアングラなプレイグランドになった。

 さらに、1960年代のアメリカングラフィティを真似たストリートドラッグレースが夜な夜な開催され、警察とのいざこざが増加した。

 こうしたブームに日本の改造部品メーカーや自動車雑誌が便乗し、日本でのチューニング文化をアメリカに持ち込んだ。改造日本車ブームはアメリカ西海岸を発信源として全米各地に広がり、東洋系のみならず、白人やヒスパニック系を含めた若者層に影響を与えた。

 このような時代背景を描いたのが、映画『ザ・ファースト・アンド・フューリアス』。日本では松竹が邦題『ワイルドスピード』として公開するなど、世界的に大ヒット。筆者は同作品の撮影現場などで制作の一部に携わった。

 製作スタッフも俳優陣も無名の若手が多く、彼ら自身もまさかこれほどのヒット作になるとは、まったく予想していなかった。

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