市販車をベースに独自のデザインを与えたカスタマイズカーを少量生産している光岡自動車。その最新作となるSUV「バディ」(2020年11月発表)が大きな話題となり、昨今の光岡自動車の知名度の高まりを感じる。
個性的かつ趣味性の高い光岡車だが、世の中に最も衝撃を与え、その名を轟かせたのは、やはりスーパーカーライクなスタイルを持つ「大蛇(オロチ)」だろう。
そこでオロチの中古車を調べてみると、どれも新車時と大差のない1000万円ほどのプライスが掲げられている。ひょっとしてオロチの人気が高まっている? その実態を調査した。
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※本稿は2021年1月のものです。本企画中に掲載の中古車価格は2020年12月22日取材時のものです。売約がある場合もあります
文/大音安弘、写真/光岡自動車、ベストカー編集部、取材協力/光岡自動車・東京ショールーム
初出:『ベストカー』 2021年2月10日号
■12年落ちオロチの中古車が1098万円! 再評価されるオロチ
オロチは、型式認定車となる光岡自動車の完全オリジナル車だ。
独自開発のシャシーに、トヨタ製3.3Lエンジンをミドシップに搭載。日本神話のヤマタノオロチにインスピレートを受けた個性的なスタイルを与えたスペシャルティカーだ。
2006年に市販モデルが発表され、2007年から市販(発売時1050万円)。2014年に全生産を終了している(生産台数は非公表)。
最新事情を知るべく、新車と中古車の販売を手掛ける光岡自動車・東京ショールームの藤谷陽一店長に話を伺った。
藤谷店長によれば、現在のオロチの市場評価は非常に高いという。その最大の理由として、市販仕様の発表から約15年を迎えても、そのユニークで飽きのこないスタイリングを挙げる。
新車当時は、一部クルマ好きから、スタイルとスペックが伴わないなどの批判的な声もあったが、今も昔もオロチに惚れ込んで購入する人ばかりなので、ユーザー満足度は高いようだ。
光岡自動車で取り扱う中古のオロチは、1000万円前後と新車の価格に近い。また中古車市場全体としても、価格は高値安定傾向にあるようだ。
一時、価格が落ちた時期もあったそうだが、時間の経過による状態のいい個体の減少も高値の要因のひとつではないかとのこと。
オロチは、トヨタの大排気量エンジンとATを備えることから、扱いやすく、故障も少ない。そのため、日常的に愛用される人も多いそう。その反面、メンテナンスが行き届いていないものもみられるという。
つまりオロチなら高いという訳ではないが、一方でコンディションのいいものならば、今後も値上がりしていくと見ているそうだ。
積極的に買い取りを行う東京ショールームでも、オロチの入庫は1年に1台か2台だという。そこから、厳選したオロチのみを販売する。
現在は2台が店頭に並ぶが、これはかなり珍しいケース。比較できる今が、まさに買い時といえるかもしれない。
同店にいいものが集まるのは、専門店ならではの高価買い取りにあるという。「状態のいい光岡車なら、他所には価格で負けません」と藤谷店長も自信を見せる。
オロチの維持費についても伺うと、特別に費用がかかることはなく、国産の3.3L車と変わらないそう。
ただボディとシャシーが特殊なので、事故修理では費用がかさむ。車両保険への加入は、お薦めしたいとアドバイスしてくれた。またオーナー共通の声として、乗っているとよく話しかけられるという。
そこは少量生産のオロチらしい楽しみといえそうだ。
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