M-TECが手掛けるブランドの無限
一方の無限は、正式な会社名はM-TECと言い無限はブランド名となっている。かつてホンダがF1から撤退した後に、無限がエンジンを開発していた関係性から資本関係があるように思われる。しかし全く資本関係はなく、M-TECは独立した会社でホンダのカスタマイズブランドなのだ。
さらに、M-TECはモータースポーツ用のエンジンの開発や販売、ホンダ車のスポーツ走行用エンジン、シャシー並びに各種部品の開発、販売。加えて、ホンダのクルマとオートバイを中心としたチューニングーアーツ、アクセサリーの開発、販売とよりレースに特化したパーツ開発をしているのだ。
この会社のキャラクターの違いはこれまで販売したコンプリートカーにも如実に表れている。ホンダアクセスがコンプリートカー、モデューロXを設定したのは、初代N-BOXを皮切りに、初代N-ONE、現行型ステップワゴン、現行型フリード、現行型S660となっており、ミニバンや軽スーパーハイトワゴンといった売れ筋のクルマが目立つ。
一方の無限が手がけたコンプリートカーはシビックタイプR、CR-ZそしてS660とスポーツモデルが中心だ。ベース車のキャラクターが異なるように各ブランドの味付けもかなり異なっている。それでは、ホンダアクセス、M-TECが手がけたコンプリートカーを中古車相場も含めて紹介する。
ホンダシビックMUGEN RR 2007年6月/限定300台
まずは、M-TECが手がけたコンプリートカーから。同社初のコンプリートカーとして、2007年6月に300台限定で販売したのが、ホンダシビックMUGEN RRだ。
3代目シビックタイプRをベースとしたMUGEN RRは1台1台手作業で架装され、究極のFFスポーツパフォーマンス、すなわちエンジン性能、空力性能、そして運動性能の向上が目標のモデル。その卓越した性能によって、サーキット走行はもとより公道でのドライビングプレジャーを提供する。
搭載するエンジンは、専用のカムプロフィールを採用し、ラム圧をかせぐダクトレイアウトと大容量エアボックスを備えたインテークシステム、レイアウト最適化を狙ったエキゾーストマニホールドと低排圧を達成するデュアルエキゾーストシステムを採用することで最高出力15ps向上。
サスペンションには、コーナリング性能を高める減衰力5段調整式ダンパーを採用、パフォーマンス追求のみならず、乗り心地などの快適性を両立した。
ブレーキは、ブレンボキャリパーの性能をさらに引き出す逆ベンチ構造のブレーキローター(フロント)やスリット構造(フロント/リア)ローター、スポーツブレーキパッドを採用。またダイレクトフィールな低膨張率のブレーキホースをも装着することで、高まったエンジンパワーに対応するとともにコントローラブルな性能を追求している。
そして、外観はカーボンコンポジットやアルミニウムを積極投入し空力性能と軽量化を高次元で追求し、ベース車に比べて15kgの軽量化と前後マイナスリフトバランスを実現。
インテリアは、レカロと共同開発した専用セミバケットシートをフロントシートに採用している。ボディカラーは専用色のミラノレッドのみで、新車時価格は477万7500円だった。
現在、無限RRの中古車は約3台流通していて、約999万~約1249万円で、最も高額なシビックタイプRとなっている。
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