■トヨタセリカ:未来的なデザインのFFスポーツ 中古車平均価格62.6万円
ネオクラシックの相場高騰から置いてきぼりを食らっているといえば、1999~2006年まだT230型こと最終型のトヨタセリカもそれに該当する。
T200型までと違って「GT-FOUR」の設定はない前輪駆動専用設計で、エンジンも、それまでより0.2Lダウンサイジングした1.8Lの自然吸気のみ。
トップグレードSS-IIが積んだ2ZZ-GE型エンジンは、可変バルブタイミング・リフト機構「VVTL-i」の採用などで最高出力190psを発生したが、エントリーグレードのSS-Iは実用エンジンの1ZZ-FEで、最高出力は145psだった。
そういった性能面での低下(?)に加えて、そもそもスペシャルティクーペというものがまったく売れなくなった1999年から2000年代初頭という時代性もあり、人気薄なまま廃番となった最終型セリカだが、中古車市場でもその人気薄っぷりは続いている。
参考までにセリカのSS-IIとある意味似たスペックとなるホンダインテグラタイプRの中古車相場が「DC2=160万~890万円(平均価格244.2万円)/DC5=100~360万円(平均価格160.4万円)」。
これに対し、ST230型セリカは20万~150万円で、平均価格は62.6万円でしかない。ちなみに全流通の7割以上がSS-IIなのに、この平均価格なのだ。
しかし最終型のセリカは、ここまで過小評価されるべきクルマではない。リアサスペンションはヴァイザッハアクスル式のダブルウィッシュボーンで、最高出力190psの2ZZ-GE型直4エンジンも、インテグラタイプRのそれほどではないにしても、なかなか悪くないエンジンだ。
そして約1100kgの軽量ボディ+6速MTと相まって、いわゆるライトウェイトスポーツ的な存在としてはけっこう魅力的である。
鬼のように高騰するタイプのクルマではないだろうが、こういったクルマ(小ぶりで軽量なFFクーペ)の希少価値が今よりも上昇する近未来においては、そこそこの高騰はする可能性がある。
■三菱FTO:日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したFFスポーツ 中古車平均価格90万円
1994年から2000年まで販売されたFFのスポーティクーペ「三菱FTO」も、なんだかんだいって過小評価され続けているクルマだ。
1990年代に(ある意味)一世を風靡した三菱GTOの弟分として登場したモデルで、搭載エンジンは最高出力170~200psの2L、V6DOHCと、同125psの1.8L、直4SOHC。トランスミッションは5速MTのほか、日本初の「学習機能」を組み込んだマニュアルモード付きATである「INVECS-II」を採用した。
この三菱FTOも、ホンダのインテグラ タイプRにそう大きく劣る部分はないFFクーペなのだが、インテグラ タイプRの相場が前述のとおり、爆騰しているのに対し、三菱FTOのそれは2021年7月現在、底値の個体が30万円ほどで、最高値の物件でも約200万円。平均価格は90.0万円という、若干寂しい数字だ。
しかし三菱FTOの抜群ともいえるボディ剛性などが生み出すシャープなハンドリング性能はインテグラタイプRに「勝るとも劣らず」といえるもので、高回転域まできっちり回るMIVECエンジンもなかなかのモノ。
現在、中古車の流通量は全国でわずか十数台と絶滅の危機にあるが、その希少性がブースターとなって、三菱FTOの平均価格を押し上げる可能性はあるだろう。
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