超名車R34スカイラインGT-R中古車高騰の事情と行方

超名車R34スカイラインGT-R中古車高騰の事情と行方

 アメリカではアメリカで販売されていない中古車の輸入に厳しい制限がある。右ハンドル車の輸入も認めていないため、アメリカに日本車の中古車を持ち込むのは難しい。

 しかし例外があって、生産後25年経過したクルマはクラシックカーとみなされさまざまな障壁がなくなり輸入することが可能になる。これがアメリカの25年ルールと呼ばれるもので日本のスポーツカーなども買いあさっているのだ。

 アメリカが買いあさることによりタマ数も減り価格が高騰する。現在その影響を受けているのが1990年代にデビューしたR32 GT-R、NSXをはじめとするジャパニーズスポーツカーで相場も大きく荒らされ高騰中だ。

 そのアメリカが現在虎視眈々と狙っているのがスカイラインGT-R(R34)だ。デビューが1999年だからあと5年でアメリカの25年ルールの適用となる。まさにカウントダウン状態にあるのだ。

 その俎上に上がっているR34GT-Rの中古車は買いなのかを萩原文博氏が検証する。

文:萩原文博/写真:NISSAN、ベストカー編集部


アメリカの25年ルールが5年に迫ったR34GT-R

日産スカイラインGT-R(R34)
販売期間:1999~2002年
販売台数:約1万2000台

【主要スペック】(1999年式Vスペック)
ボディサイズ:全長4600×全幅1785×全高1360mm
エンジン形式(型式):直6DOHCツインターボ(RB26DETT)
総排気量:2568cc
最高出力/280ps/6800rpm
最大トルク:40.0kgm/4400rpm
車両重量:1560kg
車両価格:559万8000円
参考価格:610万円(VスペックIIニュル)、630万円(Mスペックニュル)
    

 中古車はよく「一物一価(いちぶついっか)」と言われ、同じコンディションのクルマはほかに存在しないので、巡り逢った時が買い時と言われている。

 特に新車での生産が終了した絶版モデルは、すでに販売されたクルマが中古車として流通したタイミングのみ、手に入れることができるので、より見つけた時に素早いアクションが必要となる。

GT-R(R32)は 1989~1994年に約4万4000台が生産された。1994年式の一部を除きアメリカの25年ルールが適用されるのですでに中古車相場は高騰している

 昨今、国産車の中古車で世間を賑わせているのが、1990年代に登場したスポーツカーだ。 

 そのなかでも日産スカイラインGT-RやホンダNSXなばどはアメリカの25年ルールが適用され、クラシックカーと認定され厳しい排ガス検査などがなくなることで、国内からバンバン海外へと流出してしまったことはご存じだろうか。

 すでに1989年に登場したR32スカイラインGT-Rはこのルールが適用され、価格の安い中古車が大量に国外に流出。その結果、国内の中古車市場が高騰してしまったのだ。

 2020年1月には1995年に登場したR33GT-R。そして約5年後の2024年には1999年に登場したR34GT-Rがこの25年ルールが適用される。

 そこで、今回はすでに価格が高騰しているR34スカイラインの中古車は買いかどうかを検証したいと思う。

映画『ワイルドスピード』の主人公のポール・ウォーカーが乗っていたことでアメリカでも大人気のR34GT-Rゆえ、R32GT-Rを凌駕する争奪戦になること間違いなし

R34GT-Rの中古車相場は直近3カ月で60万円上昇!

 最初にも書いたように、中古車は一物一価なので、コレ!と思ったクルマを見つけた時が買い時だ。しかし、R34スカイラインGT-Rのようにすでに価格が高騰しているモデルは遅きに喫したと言えるかもしれない。

 直近3カ月の平均価格の推移を見てみると、3カ月前の時点で約835万円、しかし今月は約895万円とわずか3カ月で60万円も値上がりしているのだ。そして価格帯は約498万~約1600万円(応談を除く)となっている。

2002年2月に最終モデルとしてVスぺIIとMスぺIIを合わせて1000台の限定販売されたニュルは即日完売。写真は VスぺII ニュルで発売直後から現在までプレミアム価格で取引されている
ファイナルモデルのニュルはエンジン、エキマニなどがN1仕様となる。通常はエンジンのヘッドはレッドだが、ニュルはゴールドとなる

 また、流通台数は3カ月前の時点では約48台あったのだが、ここに来て減少し、約33台まで減少。R32~R34の第2世代GT-Rの中で最も中古車の流通台数が少なくなってしまった。

 平均価格の上昇とリンクしているのは走行距離で、3カ月前の約4.8万kmから約3.8万kmと1万kmも中古車の走行距離が減ってしまっている。すなわち、走行距離の延びた比較的価格の安い物件はもの凄いスピードで中古車市場から姿を消しているというのが現状だ。

2001年に乗り心地の向上、上質感を追求したMスペックを追加。足回りは専用のセッティングで、手縫いの本皮シートも採用。ニュルもVスぺIIより高額だった

なぜここまで急速に高騰したのか?

 どうして、ここまでR34スカイラインGT-Rの中古車が高騰してしまったのか、少し過去を振り返りたいと思う。

 R34スカイラインGT-Rは1999年~2002年に販売されたモデルで、総生産台数は約1万2000台と第2世代スカイラインGT-Rの中で最も少ないのだ。生産終了から約9年後の2011年6月のR34スカイラインGT-Rの中古車相場の数字がここにある。

 現在から8年前だが、流通台数は約73台と現在の倍以上流通していた。そして価格帯は驚くなかれ、約189万~約1600万円!

 最終の1000台限定モデルのVスペックIIニュル、Mスペックニュルは、すでに車両本体価格の倍となる1600万円というプレミア価格となっていたのだ。しかし、現在はもっと高額な中古車は応談となっているだろうが、高額車はもう8年前から変わっていないのだ。

1999年1月デビューのR34GT-Rは2000年10月にマイナーチェンジを受けた。これ以降のモデルが後期モデルとなる。デビュー時のVスペックはVスペックIIに変更(写真は前期型の標準グレード)

 大きく変わったのは相場の下限だ。現在は498万が最も安い中古車となっているが、2011年当時はナンと200万円を切る約189万円でR34スカイラインGT-Rが販売されていたのだ。

 そして中古車の平均価格は434万円。現在の半分以下で、現在の最安値物件よりも低くなっている。この数字を見ても、価格の安いクルマが市場から無くなり、ドンドン高騰しているというのがわかる。

 誰もがタイムマシンがあれば、戻って買いたい!と思うはずだ。

次ページは : 中古車の平均相場が1000万円になるのも時間の問題

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