【深刻化してから約5年】新古車の現状と購入時の心得

【深刻化してから約5年】新古車の現状と購入時の心得

 販売合戦のため自社登録が横行して大きな問題になっていたが、現在、人気モデルの自社登録車はどうなっているのか? これは中古マーケットに大きな影響を及ぼす問題で、クルマを買うユーザーサイドからは見逃せないポイントだ。

 中古車のスペシャリスト、萩原文博氏が未使用車ではないがそれに近い中古車を購入した自らの経験を交えながら、自社登録によって生まれる未使用車、新古車を買うメリットとデメリットについて考察する。

文:萩原文博/写真:SUZUKI、DAIHATSU、HONDA、NISSAN、TOYOTA


登録(届出)済未使用車とは?

 以前、スズキとダイハツが軽自動車の新車販売台数No.1の称号を獲得するため、激しい販売競争が繰り広げられていた時期があった。その競争によって大量に発生したものを、鈴木修会長が「行儀の悪いこと」と語ったことがある、それが今回のテーマ、自社登録車だ。 

 自社登録車は「新古車」や「未使用車」と言われて新車なのか、中古車なのわかりづらいというユーザーの声を受けて、自動車公正取引協議会の指導により、広告で掲載する場合は「登録(軽自動車は届出)済未使用車」という表示するルールとなっているのだ。

昔から自社登録はあるが、2014年にダイハツとスズキが軽自動車販売ナンバーワンの座をかけて自社登録が激増し問題化。両メーカーのシェア合計が70%を超えた
ダイハツはムーヴ、写真のタントの自社登録を増強してスズキに対抗。2014年から引き続き2015年3月も激しい争いが繰り広げられた末にダイハツがトップ死守

 したがって、ここでは未使用車や新古車という言葉は使用しない(タイトルと矛盾するが……)。

 そもそも「登録(届出)済未使用車」とは何かというと、初度登録(届出)された車両で、 使用または運行に供されていない車両となっており、正真正銘の中古車なのだ。ただ、走行距離が非常に少なく、コンディションは限りなく新車に近いクルマということになる。

 この「登録(届出)済未使用車」にはメリットとデメリットがあるので紹介しよう。

登録(届出)済未使用車は安いが制約もある

 まずはメリットから。

 この「登録(届出)済未使用車」の最大のメリットは走行距離が少なく、高コンディションながら新車と比べて価格が安いことにつきる。しかも人気のオプションが装着されていることもあり、その場合数十万円も安いということもある。

 筆者は実際過去に未使用車ではないが、試乗車だった走行距離の少ない、V35型の日産スカイラインクーペを購入したことがあり、そのクルマは新車で購入した場合の総支払額より100万円以上お得に手に入れることができた。

萩原氏はV35スカイラインクーペの試乗車を購入したというが、スポーツ系、スペシャルティクーペなどで未使用車、試乗車が出てくるのは珍しいケース

 しかし、「登録(届出)済未使用車」はメリットだけでなく、デメリットもあることを覚えておきたい。

 デメリットとしてまず、挙げたいのが新車に比べて車検期間が短いということだ。新車購入してから登録となるので、最初の車検まで丸3年となるが、「登録(届出)済未使用車」の場合、すでに登録されているので、車検期間は短くなる。

 筆者が購入したスカイラインクーペも登録から半年後に中古車として市場に出回ったため、残車検期間は約2年だった。

 続いてはグレードの選択幅が少ないということ。多くの車種は売れ筋グレードもしくはエントリーグレードを大量に製造するため、登録(届出)済未使用車」はグレードそして駆動方式の選択肢が少ないことが挙げられる。

 また、ボディカラーの選択肢も限られる。定番カラーの白(パール)、黒、シルバーそしてカタログに使用されるイメージカラーはそれなりに台数があるが、珍しいボディカラーは流通していないことが多い。

エクストレイルのブルー系ボディカラーは珍しく、 登録(届出)済未使用車 では出てこない可能性が高い。価格を優先すれば妥協点も増えてしまう

 そして最後はメーカーオプションが装着できないことだ。ナビゲーションなどはディーラーオプションなので、後付けできるがサンルーフや本革シート、先進安全装備などは後付けできないため、装着した物件を探すことになるのだ。

 すなわち、「登録(届出)済未使用車」は価格の安さというメリットはあるが、ユーザー自身の好みの車種、グレード、ボディカラー、装備のクルマが見つかるかどうかという難しさがあるのだ。

 その結果クルマへのこだわりが強いマニアックなクルマは少なく、こだわりが少なく、販売台数の多い軽自動車などに多く「登録(届出)済未使用車」が存在するのだ。

カーナビのようにディーラーオプションにも設定されているものはいつでも装着できるが、本革シートなどのメーカーオプション品は後付けできない

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