2018年6月20日、歴代で5代目となるフォレスターの新型がついに発売だ! フォレスターが誕生したのは、現在のようなSUVブームが訪れる前夜の1998年。当時、先に登場していたトヨタのRAV4やホンダのCR-Vは、現在一時的に日本市場から消え、同クラスで販売好調のマツダ CX-5や日産 エクストレイルは、フォレスターより後発モデル。気がつけば、フォレスターは日本で20年続いた唯一のミドルSUVとして老舗ブランドの地位を固めつつある。なぜ、フォレスターは、安定した人気を維持し続けられるのだろうか。
文:片岡英明/写真:編集部、SUBARU
フォレスターの誕生は“ひょうたんから駒”だった!
1997年春に登場し、20年間レガシィ、インプレッサとともにスバルの屋台骨を支えてきたのがフォレスターだ。
今や海外では兄貴たちを凌ぐほど知名度が高い。世界中に熱狂的なファンを持っているから、生産と販売も好調に推移している。
このフォレスターの誕生は、“ひょうたんから駒”だった。最初はインプレッサのモデルチェンジを画策していたが、意見がまとまらず難航したのである。そこで白紙に戻し、企画を練り直した。
視点を変えて開発したのが初代フォレスターだ。メカニズムは初代インプレッサのものを用い、低予算で卓越した走行性能を誇る異色の「クロスオーバーSUV」を生み出そうとしたのである。
狙ったのは、SUVのタフな走りに加え、ワゴン感覚の軽快な走りだ。この手のSUVの多くは、悪路や雪道で非凡な走りをみせるものの、オンロードではセダンほど快適ではなかった。また、高速道路やワインディングロードでは安心感も薄い。
これに対しフォレスターはオールマイティだ。WRC(世界ラリー選手権)でシリーズチャンピオンに輝いたインプレッサのメカニズムを移植しているのだから、他のクロスオーバーカーとは資質が違う。
重心の低い水平対向エンジンとシンメトリカルAWD(フルタイム四駆)の相乗効果により、路面にかかわらず安定した走りを見せつけた。つづら折りのワインディングロードでも意のままの気持ちいい走りを見せる。
フォレスターの魅力のひとつは、素性のいいパワートレインだ。デビューしたときは、驚いたことに2LのDOHCインタークーラー付きターボだけの設定だった。
インプレッサWRX STIのEJ20型DOHCターボエンジンをディチューンして積んでいる。といっても250馬力もあったから驚速だ。シャシーとサスペンションも、パワフルなエンジンに負けないようにセットアップしていた。
4WDのメカニズムも実績を積んだ信頼性の高いものだ。しかもトランスミッションによってシステムを使い分けている。優れた耐久性は海外で高く評価され、ユーザーの信頼を生んだ。
RAV4やCR-Vが消えても売り続けられたフォレスター
軽快な走りに加え、快適性が高く、運転しやすいフォレスターは、クロスオーバーSUVの懐の深さと今までにない走りの楽しさを世間に認めさせた。
ひと足先に登場したトヨタのRAV4とホンダのCR-Vとともに、クロスオーバーSUV旋風を巻き起こしている。21世紀になると、この潮流が世界に広まり、一大ブームとなるのだ。
RAV4とCR-Vは、2代目からボリュームゾーンの北米市場を強く意識するようになった。
そのためアメリカでは好調な販売を記録したが、日本では個性を失って販売が低迷。ついには販売を休止している。
フォレスターも大ヒットにはならなかったが、キープコンセプトの2代目、そして3代目も安定して売れた。オールラウンドで高い実力を誇ることに加え、ライバルにはないターボエンジンを頂点に据えたことも功を奏したのだ。
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