今や日本はコンパクトカー&ミニバン大国。家族構成によってはコンパクトカーも乗れるが、人と荷物をしっかり乗せることを考えれば、車選びのリスト最上位にくるのは、やはりミニバンだ。
実用性が至上命題のミニバンにも、近年走りを重視したモデルが設定されてきている。その筆頭が日産のセレナNISMOとトヨタのノア/ヴォクシーGR。走りのミニバンとして実力が上なのはどちらのモデルか。
文:橋本洋平/写真:編集部
ベストカー2018年1月26日号『ガチすぎる対決の行方』
バケットシートまで設定 漢のミニバン、セレナNISMO
ベースモデルだと家族のことを考えた妥協案だけど、NISMOやGRだとオトーサンのことも考えている1台になる! それがセレナNISMOとノア/ヴォクシーGRだ。
ともにローダウンを施し、補強パーツを車体下部に備え、最後にエアロパーツとでっかいホイールを備えて一丁上がりのスポーツミニバンなわけだが、よくよく見てみると性格は違う。
NISMOはどちらかといえばモータースポーツイメージを色濃く感じさせる仕上がりであり、装着タイヤはブリヂストンのポテンザ・アドレナリン。
足回りもそれなりに引き締められた印象がありフラットな乗り味だけでなく、コーナリングにおけるハンドリングのキビキビ感やロールの減少などを狙った仕上げ。
それに耐えられるように、ミニバンにもかかわらずバケットシートをオプションで選べるようになっているから驚きだ。その場合、2列目のテーブルやUSBがなくなってしまうという、家族を顧みない姿勢があったりするからかなりの漢!
セレナ自慢のプロパイロット介入時でも直進安定性が増したことは関心事だったが、それよりもこの車の売りはやはりスポーツ性。走り屋出身のパパにはうってつけの一台だ。
快適性も重視する大人のミニバン、ノア/ヴォクシーGR
いっぽうのノア/ヴォクシーGRは、どちらかといえばコンフォート性を重視しており、それを現わすかのように装着タイヤはBSの中でも上質な乗り味を展開するポテンザRE050A。足回りもロールやピッチングを、ある程度は許容して作られている感覚がある。
けれども、操舵の自然な感覚やリニアリティはなかなかの仕上げ。程よくホールドしてくれるセミバケットシートが標準装備となり、しっとりと包み込んでくれる。
総じて言えることは、かなりオトナな作り込みなのだ。見た目も内装もシックな仕上げだが、中身もNISMOとは方向が違う。
よって家族のことを考える気持ちが強いならノア/ヴォクシーGRのほうが無難な気もしてくる。エアロを装着しているが、大人しめにまとめられたカラーリングもご近所を気にするならよさそう。
だが、走り屋出身の僕からすれば、どうせスポーツミニバンを買うならNISMOがいい。バケットシートもオプション装着して、家族にわがままを言える漢になりたいものである。
■セレナNISMO
- 全長×全幅×全高:4805×1740×1850mm
- 車重:1720kg
- エンジン:直4DOHC+モーター、1997cc
- 最高出力:150ps/6000rpm
- 最大トルク:20.4kgm/4400rpm
- 価格:341万9280円
■ヴォクシーGR
- 全長×全幅×全高:4795×1735×1810mm
- 車重:1620kg
- エンジン:直4DOHC、1986cc
- 最高出力:152ps/6100rpm
- 最大トルク:19.7kgm/3800rpm
- 価格:325万7280円
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