2017年10月3日にトヨタがオーストラリアでの現地生産を終了してから約1カ月が経過。
オーストラリア国内で現地生産を行う自動車メーカーは消滅したが、1963年から54年間に渡る歴史のなかで、トヨタは、日本ではお目にかかれない珍しい車を産みだしていた!!
文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA
豪州シェアナンバーワンはトヨタ!
トヨタが54年に渡る生産を終了したオーストラリアでは、どんな車が売れているのか? 2017年自動車販売シェアベスト5は次のとおり。
■豪州 自動車販売台数【2017年 1-9月期】
1位 トヨタ/16万2845台(18.3%)
2位 マツダ/8万9863台(10.1%)
3位 ヒュンダイ/7万3250台(8.2%)
4位 ホールデン/6万2446台(7.0%)
5位 三菱/5万9407台(6.7%)
(オーストラリア連邦自動車産業会議所データより作成)
データを見てもわかるとおり、トヨタはオーストラリアでナンバー1ブランドの地位を確立しています。
そのトヨタに次いで、オーストラリア唯一の独自ブランドであったホールデン(GM傘下)が、2017年10月20日に現地での生産を終了。これでオーストラリア国内で自動車生産を行うメーカーは消滅しました。
では、トヨタはなぜ、売れているのに現地生産をやめてしまうのでしょうか。筆者がオーストラリアを訪れた際、現地のツアーコンダクターが、こんな事を言っていました。
「オーストラリアは日本に比べて物価が高い。でも、スーパーの店員さん等でも、時給20豪ドルくらいもらっているので、お給料もその分高いんです」
20豪ドルは日本円にすると1700円超。オーストラリアは人件費も物価も高い=車の製造コストも上がる。これが、各メーカーの現地生産撤退の一因となっています。
さて、現地生産をやめたトヨタですが、54年の間に日本では見慣れない個性的な車を、オーストラリアで生産してきました。
日本じゃお目にかかれない!? オージートヨタ製の珍名車
■クラウン ピックアップ【1965-1971年】
オーストラリアで生産された珍しいトヨタ車の筆頭は、「クラウン ピックアップ」。トヨペット クラウンとして販売された3代目に設定されたモデルです。
クラウンといえば現在はセダンのみ。過去に遡ると、ワゴンのエステートが販売されていたことはあったものの、ピックアップがオーストラリアで生産されていたとは!
■アバロン【2003-2006年】
続いては、大型FFセダンのアバロン。日本で発売されたアバロンは初代モデルで、1995年から1999年まで発売された後に絶版となりますが、主に北米向けとして、同車は2代目へモデルチェンジ。その2代目アバロンは、日本では「プロナード」という車名で売られました。
さて、写真を見て「日本で売ってたアバロンとデザインが違う?」と思われた方はご名答。
実は2代目アバロンが北米等で販売された後、初代ベースでオーストラリアオリジナルのアバロンが誕生。日本で売られていた初代モデルと若干、異なるデザインを与えられています。
このオーストラリアオリジナルのアバロンは、1代限りとなり、これまた日本ではお目にかかれない「オーリオン」に、引き継がれる形で生産終了。
■オーリオン【2006-2017】
そんなアバロンの後継モデルがオーリオン。同車はカムリベースのFFセダンで、フォード ファルコンやホールデン コモドアの対抗馬として誕生。
大排気量好きなオージー(ファルコンやコモドアはV8エンジンを搭載)の需要に応えるべく3.5L、V6エンジンを搭載し、こちらは日本未発売モデルとなりました。
基本はカムリながら、ドアやウインドウ等以外は独自デザインで、見た目もカムリとはかなり異なる印象に。オーリオンは、オーストラリア以外に、中国などでも生産が行われ、2012年に2代目にフルモデルチェンジ。
その2代目は2017年7月に生産を終了。11年間で18万4180台を販売し、オーストラリア生産のモデルとしては、カムリ、コロナに次ぐ3番目の販売台数を残しました。
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トヨタは、今後オーストラリアの現地工場を閉鎖し、2018年からは現地法人を販売会社に転換します。
オーストラリアと言えば、日本人観光客にも人気が高い国。現地を訪れたら、こうした歴史に思いを馳せながら、街中で多く見かけるトヨタ車を眺めてみてほしい。
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