トヨタとマツダ、そしてデンソーが2017年9月28日、EVの開発を手がける新会社設立を発表した。トヨタとマツダは8月にも互いに500億円を出し合って資本提携を発表している。
この時点ですでにEVの共同開発などで合意していたが、新会社はトヨタが90%を出資し、マツダとデンソーが各5%を出資する。
このニュースの背景には、次期型ロータリーエンジンの開発と搭載車の候補がある……とベストカー本誌スクープ班のもとに情報が寄せられた。
以下、その情報を紹介するとともに、「ロータリー復活」までの道筋を追って見ていきたい。
文:ベストカー編集部
ベストカー2017年11月10日号「モーターショーに出なかった大物」より
■残念ながらスポーツカーへの搭載ではなく……
2017年はロータリーエンジン50周年だった(1967年にコスモスポーツが登場)。
多くのファンが「東京モーターショーに、次期ロータリーエンジンを搭載したスポーツカーがサプライズ出品されるのでは」と期待したものの、残念ながらロータリーエンジンについての発表はされなかった(とはいえ会場の話題をさらう美しいコンセプトカー2台を出品)。
マツダのロータリーエンジン開発は止まってしまったのか? 本記事ではその事情を探るため、いったん別の話にお付き合いいただきたい。
2017年8月4日、トヨタとマツダが業務提携を結ぶことを発表した。提携内容は「米国での完成車の生産合弁会社設立」、「電気自動車の共同技術開発」、「コネクティッド技術の共同開発」、「先進安全分野における技術連携」、および「商品補完の拡充」の推進。
それに続いて同年9月28日、上記2社にデンソーを加えた3社で電気自動車開発を推進する新会社(「EV C.A. Spirit 株式会社」)設立を発表。
トヨタとマツダの提携に、「インバーター」などの部品に強いデンソーも加わった新会社を設立することによって、EV開発が飛躍的に進むことが予想される。
しかし現状EVにはどうしても航続可能距離の短さという問題がつきまとう。
トヨタは2020年に量産EVを市場投入する計画があるが、その時点ではトヨタが現在、東京工業大と開発中の、航続可能距離が大きく伸び、さらに充電時間も短縮されるという高性能バッテリー、「全固体電池」の投入は難しい。
そこでクローズアップされるのが、発電用エンジンを搭載してモーターを駆動させる「レンジエクステンダー」であり、その「発電用エンジン」として俄然注目されるユニットこそ、コンパクトかつ低振動、低騒音を特徴とするロータリーエンジンだ。
トヨタとマツダはEV開発と同時進行的に、このシングルロータリーを発電に使用するレンジエクステンダーを開発。まずはこちらを先に市場に投入する、という情報が入ってきた。
(当記事製作にあたり、本紙スクープ班に「スポーツカーへの搭載、RXシリーズの復活……というシナリオはないのですか」と聞いたところ、「残念だけどそちらの方向の開発ニュースは入ってきていないね」とのことです。無念……)
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