今年の夏は西日本では猛暑が続いたいっぽう、首都圏を含む東日本では長雨が続き、比較的気温の低い日が多かった。
特に東北地方の人にとっては、今年は夏がなかったなぁ……と感じている人も多いのではなかろうか!?
そんな今シーズンだが、そろそろ北海道から東北地方のドライバーにとってはスタッドレスタイヤへの交換を考える時期になってきた。
非降雪地域のドライバーにとっては、まだまだでしょ!? と感じるかもしれないが、北海道からは雪の便りも聞こえ、確実に季節は冬に向かっている。降ってからでは時すでに遅し。準備は早めに進めましょう!!
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
ベストカー2017年11月26日号「スタッドレスタイヤ特集」
■今季のスタッドレスは激戦が繰り広げられる!!
今シーズンはスタッドレスタイヤが激戦だ。国内メーカーではブリヂストンと横浜ゴムが相次いで主力スタッドレスタイヤをフルモデルチェンジして送り込んできた。
国内ワンツーシェアを誇る両社が同時にスタッドレスタイヤの新商品を投入するというのはこれまでにはなかったこと。キーワードはともにより高い氷上性能に加え、ロングライフ、ウエット性能、ドライ路での操安性能の向上である。
スタッドレスタイヤの開発競争は、各タイヤメーカーの技術力の現われとも言えるため、力が入った新商品となっている。
また東洋ゴムはミニバン専用スタッドレスタイヤ「WINTERトランパス」をモデルチェンジ。やはりアイス性能に加えてロングライフやドライ操安性をアピールする。
海外メーカーではミシュランが久しぶりに日本向けスタッドレスタイヤをフルモデルチェンジ。新開発トレッドゴムの採用により、高いアイス性能を実現。
グッドイヤーは「アイスナビ」をフルモデルチェンジして氷上ブレーキ性能の向上とともに転がり抵抗の低減をアピール。新製品を中心に、最新オススメスタッドレスタイヤをチェックしていこう!!
【ブリヂストン ブリザックVRX2 全109サイズ】
〜発砲ゴムの進化で氷上性能向上。さらにドライ路での操安性も引き上げる〜
■どんなタイヤ
発泡ゴムを採用し、アイス性能の進化でスタッドレスタイヤをリードしてきたブリヂストン「ブリザック」の最新作がVRX2である。
アイス性能のさらなる向上はもちろんのこと、ドライ路面での操安性能、静粛性の引き上げにも着目した、新世代のスタッドレスタイヤとして、トレッドパターン、ゴムともに一新したフルモデルチェンジで登場した。
キモになってくるのはもちろん発泡ゴムなのだが、VRXにも搭載されていた親水性の高いアクティブ発泡ゴムはそのままに、トレッドゴムのシリカをさらに増量することで低温時の柔軟性を高めているのがポイント。
これによりいっそう氷雪路に密着し、高いグリップを引き出すことが可能となる。トレッドパターンはブロック剛性を高めるデザインが技術的なポイント。
制動時などのGによりブロックが倒れ込み変形することで接地面が減少してグリップ力が低下する。サイプの形状や配置などを最適化することでブロック剛性をVRXに対して24%高めている。
これにより接地面の減少を抑制し、高いグリップ性能を安定して発揮させることができるのだ。
■乗ってどうだ!?
今回は従来品となるブリザックVRXとの比較試乗が氷上テスト路で可能だった。30km/hからの制動テストでは、体感的には大きな差異を感じ取ることはできなかったものの停止距離は数回のテストを繰り返しても平均して1.5m程度VRX2が手前で停止することが確認できた。
体感的に大きな進化を感じたのは氷上旋回路での操縦性。操舵に対してクルマの反応の『手応え感』がダイレクトでクルマを動かしやすいのだ。
定常円旋回の限界速度もVRXでは20km/hだったものが23km/hに高まっているし、アクセルの微妙な踏み込みや戻しに対するクルマの反応がわかりやすいので安心して限界点を探ることができる。これがブロック剛性が高まったことによる大きな効果のひとつなのだ。
圧雪ハンドリング路を走ると、VRXでは若干操舵に対するクルマの反応の遅れ、とくにS字の切り返しやレーンチェンジのような動きをした際にタイヤがよれてワンテンポ遅れて挙動が発生するような場面があったが、VRX2ではそうしたネガティブな印象を感じることはなく、積極的にスノードライブを楽しむ余裕がある。
また今回はテストコース周辺の一般道を試乗することもできたのだが、除雪されたドライの国道を走ると、直進性のよさ、ワダチ乗り越え時の安定性などが格段に高まっており、一般的なスタッドレスタイヤで感じる「やわさ」がなくとても安心感がある。
【横浜ゴム アイスガード6 全95サイズ】
〜さらに進化したコンパウンドとパターンで氷上性能とともにウエット性能も向上〜
■どんなタイヤだ!?
2012年、先代アイスガード5のパターンはそのままに吸水密着性を高めた新開発コンパウンドを搭載して登場したアイスガード5プラス。
氷上性能が大幅に高められたことを実感したものだが、今回の『アイスガード6』はその名が示すようにフルモデルチェンジの最新作で、新デザインのパターン、新開発コンパウンドを採用する。
「アイス性能はもちろんですが、ユーザーからの要望の高いウエット性能を大きく引き上げました」と横浜ゴム開発陣は言う。新開発トレッドデザインは左右非対称。
イン側は主にアイス性能を追求するため、サイプ密度を高め、接地面積を拡大している。いっぽうアウト側は雪上性能のために溝面積を拡大するとともにブロック剛性を高めている。
『クワトロピラミッドディンプルサイプ』はサイプ内部を立体的4つ折りにすることで荷重がかかった際の倒れ込みを抑制。『ダブルマイクログルーブ』が排水性を高めるとともに横方向へのエッジ効果を高めている。
ゴムはシリカを採用するとともにオレンジオイルSを配合し低温時の柔軟性を高め密着効果を増大。これが氷上だけではなくウエット性能にも大きく効いてくるとのこと。
ヨコハマ独自の新マイクロ吸水バルーンが効果的に氷上の水膜を吸水するとともに露出したバルーンの断面が引っ掻き効果を発生し、より強力なアイスグリップを発揮するのである。
■乗ってどうだ!?
試乗当日は2月の北海道にしては異例ともいえる高温で日中はプラス気温。スタッドレスタイヤの性能を確認するには非常に厳しいコンディションだった。
そのため、氷盤路面での試乗はキャンセルされ、半年後の6月に改めてアイススケートリンクの試乗で確認することとなったのだが、15%短縮されたという氷上ブレーキ性能、7%短縮されたという氷上旋回性能について、アイスガード5プラスとの比較でしっかりと確認することができた。
また、雪上性能については北海道での試乗で確認したのだが、水分を多く含んだ滑りやすいコンディションにもかかわらず、安定したトラクション、コーナリング性能を確認した。
スタッドレスタイヤは転がり抵抗が大きいイメージだが、実はこのアイスガード6、サマータイヤのECOS ES31と同等の性能を実現しているのだ。
【東洋ゴム WINTERトランパスTX 全31サイズ】
〜ミニバン専用設計のスタッドレス。大幅進化してアイスもドライも性能up!〜
■どんなタイヤだ!?
専用タイヤ発想のトーヨータイヤのミニバン用スタッドレスタイヤが『ウィンタートランパス』シリーズ。その最新作がTXだ。
アイス性能を追求することはもちろんだが、車高、重心が高いミニバンの特性にマッチさせた高剛性構造と専用デザインの非対称トレッドパターンを採用することでレーンチェンジ時などのふらつき感を大幅に抑制している。
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