トレッドパターンはアウト側には大型ショルダーブロックを採用することでコーナンリング時のしっかり感を高めている。
また、サイプを斜めに入れることで舵角を与えた際のブロック剛性を高めているのが特徴的。
いっぽうイン側は『3Dダブルウェーブグリップサイプ』と名付けられた立体的なサイプ構造を採用することで、前後方向に負荷がかかった際にサイプが倒れ込んで接地面を減少させてしまうことを抑制。
また、この時にサイプの間隔が押しつぶされて閉じてしまうことを抑制するデザインとすることで吸水性を高めている。
トレッドコンパウンドもイン/アウトで異なるものを搭載しており、イン側はアイス性能を追求したスーパーソフト、アウト側は剛性を確保するソフトコンパウンドとしている。
■乗ってどうだ!?
旧来品となるMK4αとの比較試乗をすると、7年間の技術進歩を実感。氷盤路での発進トラクションでまずは明確な差を体感。
アクセル開度に対する車速の伸びが圧倒的に違う。20km/hでスラロームを試すと、切り始めのグリップ感、クルマの反応がTXでは「じわり」と感じられるのに対しMK4αはスッと抜けてしまうのだ。
圧雪路面で50km/hからスラロームを比較したのだが、狙ったパイロンに対しより小さい舵角でスッスッと切り返すことができるTXに対しMK4αはクルマの反応がワンテンポ遅れ、パイロンから離れてしまう。
このあたり、ショルダー部のブロック剛性が大きく効いている印象だ。アイス路面で20km/hからのブレーキングを試すと、MK4αに対しTXは半車身分程度手前で停止できることが確認できた。
ブレーキペダルを踏んだ瞬間の接地感、減速感が大きく違い、これがアイス路面の走行で大きな安心感となる。
【ミシュラン X-ICE3+ 全15サイズ】
〜トレッドデザインはそのままだけど新素材「Mチップ」配合で減ってもよく効くアイス性能〜
■どんなタイヤだ!?
すでに発売開始から5年が経過している「X-ICE XI3」だが、いまだに高いアイス性能には定評があり、販売面でも大いに健闘しているという。とはいえ国内各タイヤメーカーのスタッドレスタイヤは順次モデルチェンジをしており、ミシュランもいよいよ新商品を投入することとなった。
パッと見た印象、従来品との差異を感じなかったのだが、それもそのはずで、トレッドパターンデザインはXI3を踏襲している。
マーケティングを担当する日本ミシュランの望月一郎氏は「パターンデザインはすでにベストなものができているのでそれを引き継ぎました。
今回は新開発ゴムの採用により、とくに摩耗が進んだ時のアイスブレーキ性能が高く維持されるようになったのがポイントです」と説明する。
XI3のトレッドパターンは40%摩耗時でも新品時と「顔」に変化はなく、トレッドパターンに由来するエッジ効果や接地面効果などは新品時と大きく変化しないというのがアピールポイント。
新商品最大のポイントとなる新開発「表面再生ゴム」なのだが、「Mチップ」と呼ばれるミシュラン独自の新素材が配合されており、トレッドゴムが摩耗するとMチップが溶け出し、トレッド表面に無数の微細な穴が出現する。
この穴が氷上面の水膜を除去し、タイヤが氷に密着すること高いグリップを発揮し、それが摩耗後にも維持されるのだ。
■乗ってどうだ!?
氷上ブレーキテスト(初速20km/h)ではX-ICE3+の新品とドライ路面で1万km実際に走った状態のものの比較テストを実施したのだが、結果は新品=6.81m、摩耗品=9.30mで、当初説明されていた8%よりも落ち幅は大きかったが、実は新品時の6.81mという結果が圧倒的に「いい」数字なのだ。
今回は新品時のテスト結果が期待値以上だった、ということ。
実際に試乗をすると、トラクション、ブレーキといった縦方向のグリップの高さが特に印象的。
立っていられないほどのツルツル状態の氷盤テスト路をリーフで全開加速をすると、トラクションコントロールを効かせながらギュギュギュ……と加速をしていく。
ブレーキングも同様で、ペダルを踏み込んだ瞬間の制動力の立ち上がりが心強い。圧雪路での印象は、横方向のグリップ力の高さ。
コーナリング中の操舵の切り増しに対する応答性の高さや滑り出しのグリップ感の感覚がドライバーに伝わりやすく、それが安心感につながるのだ。
【グッドイヤー アイスナビ7 全67サイズ】
〜日本の氷雪路に合わせて開発されたアイス性能&低転がり性能
■どんなタイヤだ!?
グッドイヤーのスタッドレスタイヤ「アイスナビ」シリーズが初めて日本で販売されたのが1997年のことだったので、今年は20周年にあたる年。その今年6月に発表されたのが新開発スタッドレスタイヤ「アイスナビ7」だ。
ユーザーがスタッドレスタイヤに求める性能は、昔も今も変わらず、氷上グリップ性能が圧倒的に高いのだが、時代とともに氷上性能が飛躍的に高まってくると、今度は乗り心地だとかドライ路面での操安性能、低燃費性能など、氷雪路性能以外にも要求が広がってきた。
アイスナビ7は、日本の氷雪面にマッチするよう開発されており、新開発トレッドデザイン、最新のゴム配合技術などを満載し、従来製品の「アイスナビ6」のドライ性能、ライフ性能を維持しながら、氷上ブレーキ性能を7%高めるとともに、転がり抵抗を4%低減するなど、最新のスペックで登場した。
トレッドデザインでは雪中剪断力を高めるジグザグに配置されたラグ溝「バイティング・スノー・デザイン」、排水性能を高めるアクアスプラッシュグルーブ(ウエットブレーキ2%向上)、ショルダーブロックに採用される「エキストラ・マルチプル・サイプ&ウルトラNAVIブレード」(エッジ成分が13%向上し、氷上グリップ向上)などがポイント。
トレッドゴムでは低温下で柔軟性を維持するシリカを微細粒子化し、高密度に分散廃合する「エキストラ・コンタクト・コンパウンド」を新開発。これらにより氷上ブレーキ性能は7%向上した。
■乗ってどうだ!?
試乗はアイススケートリンクの特設ステージで実施されたのだが、旧来品となる「アイスナビ6」との比較試乗により、アイス性能の向上が体感できた。
特にブレーキングは、15km/hからの制動でプリウス半車身分手前で停止することを確認。ブレーキペダルべた踏みでABSを作動させながらの減速となるのだが、初期の食い付きがよく、ポンと踏んだ瞬間にグッと減速感を感じられるため安心感が高い。
また、横方向のグリップも、特に切り始めの反応、切り込んで行ったあとの追従性に明確に差異を感じた。今回はスケートリンクでの試乗だったので雪上性能やドライ性能は確認できなかったが、一番のキモとなるアイス性能は大きな進化を感じた。
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