日本にピックアップ人気を再燃させた三菱トライトン。このクルマは、そのタフな個性をアピールすべく、日本や海外でラリーにも積極的に参加している。そこで実際にトライトンでラリーに挑んだ二人を直撃、その走らせ方、楽しみ方を聞いてみた!
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文:ベストカーWeb編集部/写真:茂呂幸正、三菱自動車
【画像ギャラリー】25度の坂道で牽引!? パジェロの血も流れてるトライトンのラリーマシンがこれ!(21枚)画像ギャラリー■三菱自動車社員としてラリーに挑む
最初に登場するのは、三菱の社員ドライバーとして東南アジアで行われたアジアクロスカントリーラリー(AXCR)2024に挑んだ小出一登さん。
小出さんは、篠塚健次郎さんや増岡浩さん(現AXCRチーム総監督)といった名ドライバーを生み出してきた伝統の「三菱社員ドライバー」に連なる一人として、他のトライトン3台の支援も担うクイックサポート役の137号車トライトンをドライブした。
Q:小出さんは普段、三菱自動車でどんなお仕事をされているのですか?
「今は増岡監督といっしょにテストドライバーの育成をしています。加えてこの(AXCRの)ラリープロジェクト専任で仕事をしています。三菱にはテストドライバーの有資格者が3000人くらいいるのですが、S級という一番上のライセンスが20人います。僕もその一人です」
Q:今年参戦したトライトンはトレッド拡大やシーケンシャルミッションなど進化がすごいです。小出さんがドライブした137号車も同じですか?
「私が乗ったトライトンは2023年のノンアップデート版です。ほぼ市販車のスペックに近い。エンジンパワーもサスペンション形式も変えていません。いわば一般ユーザーの方が乗るトライトンに一番近いクルマですね」
Q:初めてステアリングを握ったAXCRはいかがでしたか?
「もう驚きばっかりです。『本当にこんなとこ走るのかな』と。去年まではエンジニアとして帯同したのですが、ドライバーとして参加すると「もっとここはこうしたいああしたい」といった思いが生まれてすごくいい経験になりました」
■トライトンには1997年のパジェロの足回りデータが活きている!
Q:クイックサポートという役割も担っていたわけですが、実際に助ける場面はありましたか?
「レグ4でスタックした130号車を引っ張った経験が印象的でした。25度くらいあるガレ場の強烈な上り坂なんですが、130号車はフロントのドライブシャフトが折れてFR状態だったんです。2トン近いクルマを引っ張って上り切ったときは達成感がありました。上り切れずに休んでいたバイクの参加者が立ち上がって拍手してくれたことを覚えています」
「それには秘密があって、他の3台のトライトンがレース用ミッションだったのに対し、僕のクルマだけは4WDモードに市販車と同じ『4LLc(センターデフロック&ローギア直結4WD)』が付いていたからできたんです。このときは改めて『トライトンってすごいなあ』と感じましたね」
Q:単純な排気量でいえば、トライトンはAXCRでのライバルたち(トヨタハイラックスREVOやいすゞD-MAX)に劣っています。トライトンの強みはなんだったのでしょうか。
「そうですね。絶対パワーでいえばライバルたちには勝てない。まっすぐな道だとすごく速いんですよ。なのでうちはハンドリングと軽量化で勝負します。曲がりくねったところで取り戻す感じですね」
Q:三菱のモータースポーツといえばパジェロやランエボが思い浮かびますが、そういった歴史の継承というのは行われているのですか?
「社内にはパジェロの活躍を知る世代がぎりぎり残っている状況です。そういった方たちからフィードバックするような取り組みを進めています。実際トライトンの2024年モデルには、1997年にパリダカを戦ったパジェロの足回りのセッティングデータを活用しました。実際走ってみると、足がよく動いて実に乗りやすいんです」
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