水素はついにポータブルに突入!! でも日本仕様は「赤色じゃなきゃダメ」ってナゼ? 新技術に立ちはだかる経産省と国交省の管轄とはいったい

水素はついにポータブルに突入!! でも日本仕様は「赤色じゃなきゃダメ」ってナゼ? 新技術に立ちはだかる経産省と国交省の管轄とはいったい

 ジャパンモビリティショー2024・ビズウィークでトヨタは新たな水素の提案を行なった。なんと水素はついにカートリッジになるという。話を聞いてみると利便性もだが、今後の法整備の課題も見えてきたぞ!!

文/写真:ベストカーWeb編集部

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■世界一安全な水素カートリッジだろう

こちらが水素カートリッジ。国内使用は赤色を使うことが義務付けられている
こちらが水素カートリッジ。国内使用は赤色を使うことが義務付けられている

 今回トヨタが提案したのがカートリッジ式の水素タンク。こちらはトヨタの燃料電池自動車MIRAIが搭載する小型タンクの約1/5サイズで、言うまでもなく設計思想はMIRAIのそれからきている。

 3.3kWhを供給するカートリッジは自動車メディアからすればワクワクするものだが、やはり世間一般が気になるのがその安全性だろう。

 もちろんトヨタにとってもそこは最優先事項だ。現物を見るとカートリッジのタンクをカーボンや樹脂で覆っており見るからに固そう。

カートリッジの内部。隔壁に守られた構造だ
カートリッジの内部。隔壁に守られた構造だ

 もちろん落下試験などのテストもクリアしており、銃弾での攻撃にも耐えうるというから安全性はたしかなものであることはお伝えしておこう。ここまではMIRAIでもお馴染みの安全技術。

 さらに今回はポータブルなカートリッジということで、なんと火中に投げ込むテストも実施していると開発陣が明らかにした。急な温度上昇を感知しバルブが内部のガスを逃すことで爆発を防ぎ、容器内を安全な状態を維持する。すごいぞ。

■調理に車両に使い方は多様

このようにカートリッジを差し込んで使う。差し込みは手動だがノズルのセットは電動で行われ、確実な接続が行われる
このようにカートリッジを差し込んで使う。差し込みは手動だがノズルのセットは電動で行われ、確実な接続が行われる

 使い道が気になるが、ポータブルな水素ということでまず考えうるのが、現在プロパンガスで行っているような作業になる。例えばイベントでの出店やリゾート地など、インフラがない場所へのエネルギー供給は真っ先に考えつく。

 水素カートリッジを使えば小型の燃料電池への接続もでき、電力を得ることも可能だ。さらにはリンナイとコラボした調理器具も展示され、火力を供給することもできる。

 ちなみに水素カートリッジ1本でグリルバーナーで2時間半、一般的なコンロで1時間半を賄うことができる(どちらも最大火力)。

 またカートリッジのサイズは直径200mm、全長580mm、そして重量は8.5kgで女性でも持ち運びをすることは可能なほど小型。

 このサイズをもってすれば、前述のインフラ未整備の場所での使用に加えて、災害時の使用、最終的には小型モビリティのエネルギーとしても使うことが検討されているという。このサイズならたしかに使い道はたくさんありそうだ。

■立ちはだかる行政の壁

こちらが欧州仕様。かなりスタイリッシュなカラーリングだ
こちらが欧州仕様。かなりスタイリッシュなカラーリングだ

 ここまで書くとかなり画期的な水素カートリッジだが、実は課題もあるという。トヨタの技術者はこのように語ってくれた。

「例えば水素カートリッジは法的には”一般高圧ガス容器”となります。こちらは経済産業省の管轄で容器の1/2以上は赤色で、”水素”と”燃”という文字が必要になります。ヨーロッパではそのような規制がないのですが……」。

 たしかにヨーロッパ仕様のカートリッジはおしゃれなカラーリングだ。

 さらには保管場所も水素タンクは40℃以下の風通しのいい場所など決まりがあったり、物理的な耐久性や耐候性があっても法規制が厳しいというのも事実だという。

リンナイとコラボして調理器具も開発中。水素から炎が発生する時に水分が蒸発し、素材がふっくらと仕上がるという効果も
リンナイとコラボして調理器具も開発中。水素から炎が発生する時に水分が蒸発し、素材がふっくらと仕上がるという効果も

 ほぼ同じ技術のタンクを搭載するMIRAIは国土交通省管轄になるが、当然ながら50℃の炎天下でも駐車はできるし、風通しの悪い地下駐車場に駐車してもなんら問題はない。

 じゃあポータブル水素の規制ももう少し軽くてもいいんじゃないの……。この辺りはトヨタが今後関係省庁と調整していくだろう。もう少し柔軟な法運用があれば民間のアイデアもグッと飛躍するはずだ。

 今回の水素カートリッジでトヨタが描いている未来はトヨタディーラーで水素カートリッジを供給すること。2万店舗以上のディーラ網で水素カートリッジが供給できれば、社会インフラのゲームチェンジャーになる可能性を秘めている。

 今後はもっともっと水素の利用価値は上がるだろう。なんたって余剰な水素はまだまだあるのだから……。

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