どうしてこんなにクロスオーバーSUVばかりなのだろうか? しかもオフロード走行が可能な本物のクロスオーバーSUVばかりではなく、アンダーガードやバンパー、フェンダーアーチ、ルーフレールなどを装着した、いわば“形”だけのクロスオーバーSUVが大増殖中だ。
そうした外観だけクロスオーバースタイルにしたクルマを本WEBでは「なんちゃってクロスオーバーSUV」と名付けた(少々大げさだが)。
前回、本WEBで展開した、軽のなんちゃってクロスオーバー車の真実に続いて、今回は登録車(小型車、普通車)のなんちゃってクロスオーバー車を紹介していこう。
やはり、クロスオーバーSUV人気を裏付けるように、2019年10月23日から始まった東京モーターショーで世界初公開されたフィットにも、発売と同時に、クロスオーバースタイルのフィットクロスターが用意されている。
さて、現在販売されている、なんちゃってクロスオーバー車は、どれほど本物のクロスオーバー車に近いのか? 最低地上高、価格は標準車に比べて、どれほど違うのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
前回記事 ハスラー ekWワゴン…軽クロスオーバー車の真実 どのクルマが本物に近い?
【画像ギャラリー】フィット&フリードクロスター アクアクロスオーバー詳細
クロスオーバーSUVとは?
現在、RAV4、C-HR、ヴェゼル、XVのようなSUVが人気を集めている。カテゴリー別の国内販売台数はミニバンと同等で、軽自動車とコンパクトカーの次に多い。
SUVは「スポーツユーティリティビークル」の略称とされる。遊びに出かけた時などに便利に使えるクルマといった意味だが、4ドアセダンのような明確な定義はない。
一般的なSUVは、ボディの上側がワゴンに準じた形状で、居住性や積載性が優れ、ボディの下側は大径タイヤの装着などで力強いデザインに仕上げている。
最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)に余裕を持たせれば、悪路の走破力も高まる。つまりSUVは、実用性とカッコ良さを両立させて人気を得た。
そしてSUVのなかでも、特に車種を増やしているのがクロスオーバーと呼ばれるタイプだ。クロスオーバーとは、さまざまなカテゴリーの融合という意味だから、SUVのニュアンスにも近い。SUVの一種がクロスオーバーと考えればよい。
クロスオーバーのイメージや区分も曖昧だが、SUVのなかでも乗用車に近い車種を示すことが多い。
既存のボディを使ったアクアクロスオーバー、ノートシーギアなどがクロスオーバー車だ。最低地上高やサスペンションの設定はベース車と同じで、外観やホイールをSUV風にドレスアップしている。
古くは1995年に発売されたレガシィグランドワゴン(アメリカ名はアウトバックで1994年発売)が、クロスオーバーSUVのルーツであったように思う。レガシィの最低地上高を200mmに高めてSUV風のスタイルに仕立てていた。その後継車となる、現行アウトバックは誰が見ても本物のクロスオーバーSUVなので今回は外した。
クロスオーバーの投入は直近でも活発で、フリードは2019年10月18日のマイナーチェンジで、クロスターと呼ばれるグレードをNAエンジンとハイブリッドの両方に用意した。
アクア/シエンタ/ポルテ/スペイドは、同じく2019年10月4日、各車種に特別仕様車のグランパーを設定した。
この4台の特別仕様車は、クロスオーバーとは表現していないが、 「グランピングをはじめ、カジュアルなアウトドアの雰囲気に合う特別仕様車」 としている。フロントグリル、ドアミラー、ホイールキャップをブラックに塗装するなど、外観をそれらしくアレンジしている。
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