“クルコン”は設定した速度をキープするだけのもの?
いいえ、今や先行車に合わせて自動で加減速し、車線を見てハンドル制御までするのが“最新の追従型クルコン”です。ドライバーの自由を奪う? と思われがちなこの機能、実際に使ってみると「こんなに凄いのか!!」と驚かされる、まさに自動運転の一歩手前といえる技術に成長しています。
この追従型クルコンはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロールの略)とも呼ばれ、同じクルコンながらメーカーによって、その特長がまったく異なるのが面白いところ。
アイサイトを代表とする追従型クルコンを、技術論ではなく、実際に試してわかった違いなどからレポートしていきます。
文:国沢光宏/写真:平野学
ベストカー2016年4月26日号
そもそも“アダプティブ・クルコン”って何?
一昔前なら高速道路は交通量も多すぎず、比較的好きな速度で走れた。けれど近年、平均速度がメッキリ低くなり、運転を楽しむという状況じゃなくなっている。
こういった時に絶大な威力を発揮するのが、追従型クルコンのACCだ。基本的な使い方は、好みの速度にセットしておき、遅い先行車がいたら安全車間をキープして追随するというもの。
しかし、最近になって先行車が停止したら停止してくれる機能も普及してきた。これを「全車速対応ACC」と呼ぶ。こうなると、クルマ好きだって楽しくない渋滞時に、アクセルやブレーキ操作しないで済むようになるからありがたい。
私など全車速対応ACCなしのクルマで渋滞を走るのはキビシイ修行のように思えてきてしまったほど。すばらしい装備だ。
ベンツCは30㎞/h以下で操作不要、ブレーキも違和感なし!
現在世界で最も優れた機能を持つベンツのACCから紹介してみたい。Cクラスのハンドルを握り、渋滞のノロノロ走行に出くわしたと思っていただきましょう。
運転手はハンドルコラムの左下にあるACCのスイッチを入れるのみ。その瞬間から、あらまぁ不思議! 30㎞/h以下であれば何の操作も不要になってしまう。
例えば80㎞/hにACCをセットしたとしよう。先行車がいなければ80㎞/hで走る。前方で渋滞始まると、ミリ波レーダーにより先行車との距離や先行車の速度を判定。自動でブレーキかけながら徐々に減速。
一定車間になると、ステレオカメラも使い先行車をロックオン。先行車との車間距離や、先行車の位置(左右方向)が判明するため、先行車が走った場所をトレース可能。こうなると、ドライバーはすべての操作から解放されるのだ。
つまり、アクセルとブレーキで速度を制御し、先行車を追随しながら車線をハンドルでキープしてくれるという寸法。そうなったら手を離せるじゃないかって?
そのとおりでございます。手を離しても30㎞/h以下の速度域なら時間の制限なく、連続的に自動追尾してくれるのだった。ただハンドルから手を大きく離してしまうとイザというときに危険。
そんなことから現在はヒザの上か、ハンドルから少し手を離した位置でないと安全運転義務違反になるからご注意を。ということでCクラスのACCは追尾のアクセルやブレーキもまったく違和感なし。ハンドルまで操作してくれる。文頭に書いたとおり、世界最良のACCだと評価しておく。
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