BMWから新たに発表されたR1300GSアドベンチャー。その特徴的なスタイリングや新機構が装備されたことで大きな話題となっているのは周知だろう。そんなR1300GSアドベンチャーをスペインで行われた試乗会で堪能してきた。
日本で主力となるであろうコンフォート仕様は身長165cmのライダーでも安心感抜群
アドベンチャー必須アイテムとなるラゲッジ類をフルで装着すると迫力はさらに倍増。トップケースも合わせるとトータルで140リットルの容積を誇る。サイドのアルミ製パニアケースも新作で簡単に着脱可能。R1300GSに対しより高い剛性を持つアルミ鍛造リヤフレームを持ち、欧州ではオプションとなるパニアケース用ステーも日本仕様は標準で装備される。
昨年10年ぶりのフルモデルチェンジがおこなわれたBMW伝統のボクサーエンジンを搭載するGS。1250から1300になって、走行性能は明らかに新世代のものとなったことは間違いない。しかし、そのスタイリングは好き嫌いが別れたように感じられた。いや。これはニューモデルが登場した際の慣例行事のようなものでもある。
それよりも、コンパクトさが推し進められたフィット感の良さに個人的には好印象をおぼえたのであるが、アドベンチャーの王者としての押しの強さが減少したことに違和感を覚えたライダーも少なくなかったようだ。
そんな声があがることを想定していたのだろうか。1300のアドベンチャーは「ちょっとやり過ぎじゃない?」と感じさせるほどの迫力をもって登場した。
スペイン・マラガ近郊で行われたプレス試乗会で用意されたマシンは欧州でのスタンダードといえるべき仕様。シート高は870mmとなるが、車高調整機構により停車時は30mm下がる。165センチという身長では840mmのシート高をどんなシチュエーションでも問題ないとは言い切れないものの「ちょっとこれは無理かな?」と感じさせるほどのイメージを断ち切るには十分であった。度が上がると30mm車高が上がることで(これが本来の車高であるから、戻ると表現するほうが正しいか)幅広いシチュエーションで快適な走行性能を確保する。
走行時にはイメージよりもライディングポジションはコンパクトに感じられ、スタンディング時のステップおよびハンドル位置も適切。アドベンチャーモデルらしい快適で自由度の高いものだ。
現地で実際にテストした仕様はシート高が標準で870mm→停車時に840mmであったが、写真は日本での主力となるであろうコンフォート仕様で停車時は820mm(走行時は850mm)。身長165cmライダーにとっては、840mmだと傾斜地等ではやや神経を使うが、820mmだとかなり安心感が高まる。
足回りは前後DSA(ダイナミック・サスペンション・アジャストメント)により、電子制御で減衰力とプリロードを調整。また、スポーツ以外は自動車高調整機構も備え、停車時には30mmローダウンされる。標準はスポーク仕様。
大迫力のアルミ製燃料タンクは30リットルの大容量。前部には小物収納スペースが設けられる。また純正タンクバッグを簡単に装着できるマウントも装備。大柄に見えるがタンク後端部はスリムとなり、ホールド性や足つき向上に貢献する。
エンジンガードを標準で装備。転倒時の引き起こしにも有効なグリップ部を備えた形状となる。なお、搭載されるエンジンはR1300GSと共通となるが、重さや足回りの違いによりフィーリングは若干異なる。
シートはアドベンチャー専用。メインシートは前後で20mmの高さ調整が可能。シートヒーターも装備。ローシートやハイシート等、オプションも充実。
X型のヘッドライトはR1300GSと共通だが、補助ヘッドライトや大型ラジエターシュラウド等の装備でフロント周りの印象は大きく異なる。大型のウィンドスクリーンは電動で無段階に調整可能。前走車との間隔を安全に保つアクティブクルーズコントロールも装備。
ハンドガードと一体化したウィンカー。なお、オフロードシーンでの走行をよりフィーチャーしたスポーツは転倒時の破損を考慮して別体式ウィンカーをヘッドライト脇に装備。
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