日産に必要なのは「シーマ復活」!! 高級セダン需要は死なず 憧れのブランドを取り戻せ

日産に必要なのは「シーマ復活」!! 高級セダン需要は死なず 憧れのブランドを取り戻せ

 2024年12月23日、日産とホンダが経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結したと発表した。筆者はかねてより「栃木連合(ホンダの開発拠点は栃木県、日産も栃木県に実験部がある)で協力したらいいのに」と考えていたが、まさか(ホンダは「日産救済のためではない」としているが)ホンダに助けてもらうかたちになるとは思いもしなかった。

 ただ、ここから日産は、自らのブランドを再構築しなければならない。日産といえば、1990年代末の倒産危機の際、経営再建計画「日産リバイバルプラン」を発表しているが、今回、セカンドリバイバルを成功させるうえで、ぜひとも復活させてほしいのが、日産のフラグシップ「シーマ」だ。

文:吉川賢一/写真:NISSAN

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シーマは社員が憧れる一台だった

 ひとつ、筆者のシーマに関する思い出を紹介させてほしい。いまから20年ほど前、当時、日産の新入社員であった筆者の先輩社員が定年で退職される際、退職金の一部を使って新車のF50シーマを購入していた。筆者は、「退職金うらやましいなぁ」としか考えていなかったのだが、その方はシーマを購入することがひとつの目標だったそうだ。

 車両実験部のテストドライバーだったその先輩にとっては、F50シーマが普通のラグジュアリーセダンでなく、相当なスピードスター(駿足)マシンであったことも、購入の大きな動機だっただろうが、長く勤めた日産の最上級モデルを手に入れることで得られる、優越感と満足感を自分へのご褒美としたかったそうだ。

 シーマに限らず、フラグシップモデルは、気軽に買える価格ではないし、ボディも大きくて扱いにくい。燃費だってそこそこだ。しかしながら、細部まで丹精込められたつくりのよさや、そのクルマが持つオーラや雰囲気は、フラグシップならではのもの。筆者の先輩のように、開発に携わった人も憧れるようなモデルだったシーマは、日産のフラグシップとしてふさわしいクルマだったと思う。

4代目のF50型シーマは、「Dynamic & Modern」をコンセプトに、4.5リッターV8ガソリンエンジンや、7つの凸レンズをもつ個性的なマルチプロジェクターキセノンヘッドランプなどによって、オーラがあった
4代目のF50型シーマは、「Dynamic & Modern」をコンセプトに、4.5リッターV8ガソリンエンジンや、7つの凸レンズをもつ個性的なマルチプロジェクターキセノンヘッドランプなどによって、オーラがあった
最終モデルとなった5代目のHGY51型シーマ。サイズは5120×1845×1510(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース3050mm。Y51フーガよりもホイールベースを150mm延長、ロングボディ化されている
最終モデルとなった5代目のHGY51型シーマ。サイズは5120×1845×1510(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース3050mm。Y51フーガよりもホイールベースを150mm延長、ロングボディ化されている
HGY51シーマのインテリア。2012年から2022年まで基本的にはこのまま販売されていた。ほとんど手入れがなされなかったのは、非常に残念だった
HGY51シーマのインテリア。2012年から2022年まで基本的にはこのまま販売されていた。ほとんど手入れがなされなかったのは、非常に残念だった

セダンでなくともフラグシップには「シーマ」の名称を

 筆者が考えるセカンドリバイバルプランは、まず羅針盤として、3年後にフラグシップモデル「シーマ」を復活させることを名言したうえで、その登場を待つ間に、現ラインアップに不足している量販車(日本だとガソリン小型車、北米だとハイブリッド車)を追加して、ピラミッドをつくりあげる、というものだ。

 復活させるシーマは、イチから開発するのは難しいだろうから、たとえば、最終型シーマ(HGY51)をベースに、2014年のパリモーターショーでインフィニティが世界初公開した「Q80インスピレーション」のデザインを与えるのはどうだろう。独立した4シーターのパッケージングで、サイドドアは観音開きタイプを採用するなど、フラグシップとしてのオーラにあふれていた。使い勝手よりもインパクトを重視した構造だが、フラグシップならば許されるかもしれない。

 また昨今は、ベントレー「ベンテイガ」やロールスロイス「カリナン」、トヨタ「センチュリー」など、フラグシップにMPVタイプも登場していることから、たとえば、日産が2005年の北米国際オートショーに出展した「KURAZAコンセプト」のような姿もよいと思う。

 KURAZAコンセプトは、3列シート6人乗りのSUVタイプで、ミニバン&セダン&SUVをトリプル融合させたコンセプトカーで、ドアは6つあり、3列目のドアは観音開き式を採用するなど、当時はゲテモノ感が漂っていたが、いまならばよいかもしれない。

 これらはあくまで一例だが、セダンでなくても、フラグシップには「シーマ」の名称を与えることで、過去と未来を繋げ、日産復活を演出するのだ。

パリモーターショー2014で、北米インフィニティが世界初公開した「Q80インスピレーション」。独立した4シーターのパッケージングで、サイドドアは観音開きタイプを採用していた
パリモーターショー2014で、北米インフィニティが世界初公開した「Q80インスピレーション」。独立した4シーターのパッケージングで、サイドドアは観音開きタイプを採用していた
2005年の北米国際オートショーで初公開されたKURAZAもインパクトが大きい。3列シート6人乗りのSUVタイプで、ミニバン&セダン&SUVをトリプル融合させたコンセプトカーであった。ドアは6つあり、3列目ドアは観音開き式を採用していた
2005年の北米国際オートショーで初公開されたKURAZAもインパクトが大きい。3列シート6人乗りのSUVタイプで、ミニバン&セダン&SUVをトリプル融合させたコンセプトカーであった。ドアは6つあり、3列目ドアは観音開き式を採用していた

次ページは : 再起を図る日産の最高級車を「シーマ」として登場させることには、大きな意義がある

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