間違いなく「買い」! サイズアップで歴代初の3ナンバー車も魅力は変わらず! 3代目ミニ海外試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2014】

間違いなく「買い」! サイズアップで歴代初の3ナンバー車も魅力は変わらず! 3代目ミニ海外試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2014】

 ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は歴代初の3ナンバー車となった3代目MINIの海外試乗の様子をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2014年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)

文:石川真禧照

【画像ギャラリー】クーパーは直3&1.5Lターボエンジン搭載!さらに向上した“ゴーカートフィール”をギャラリーでチェック!(19枚)画像ギャラリー

■プエルトリコでUS仕様のクーパーとクーパーSに試乗!

ミニ特有のスタイリング、プロポーション、ボディ構造は維持しながらエクステリアデザインは一段と進化を遂げた!
ミニ特有のスタイリング、プロポーション、ボディ構造は維持しながらエクステリアデザインは一段と進化を遂げた!

 BMWが新世代のミニを日本で発売したのは2002年のこと。オールドミニのイメージを残しつつ、洗練されたデザインは多くのファンの心をつかみ、たちまちヒット車ランキングの上位に名を連ねた。

 2代目は2006年にデビュー。先代と見分けがつかないぐらいのスタイリングだが、中身は大幅にブラッシュアップされていた。さらにクーペやカブリオレ、ワゴン(クラブマン)や、ボディサイズの大きなクロスオーバーなども加わり、ミニファミリーは完成した。

 そして、昨年(2013年)秋、東京モーターショーで、3代目ミニがワールドプレミアされた。日本での発売は今年春ということだったが、そのニューミニのワールドプレミア試乗会が、日本デビューを前にカリブ海に浮かぶプエルトリコで行われた。

 2月だというのにプールサイドでも日光浴ができるほどの気候で、新型ミニを充分に味わってきた。

 試乗会場に用意されていたのは、クーパーとクーパーS。いずれもUS仕様だった。

 新型は初代、2代目と同じように一見、スタイリングは変わっていないように見える。しかし、実はボディサイズから一新したフルチェンジなのだ

 その全長は110mmも長くなり、ホイールベースも30mm長い。全幅も42mm広くなった。全高だけは16mm低くなっている(いずれも日本仕様との比較)。デザインもよく見ると、ヘッドライトとテールランプが大きくなった。ヘッドライトにはデイ・ランニングライトが標準装備、LEDのコーナリングライトとフォグライトも用意された。ラジエターグリルも六角形の大きなグリルになった。

現行モデルに比べて全長で110mm、全幅で42mm、ホイールベースで30mm延長されて大型化した新型ミニ。現行型と同じように見えるが実はフロントヘッドライトのデザインも一新されており、ウインカー内蔵のデイライトなどを追加している
現行モデルに比べて全長で110mm、全幅で42mm、ホイールベースで30mm延長されて大型化した新型ミニ。現行型と同じように見えるが実はフロントヘッドライトのデザインも一新されており、ウインカー内蔵のデイライトなどを追加している
サイドビュー
サイドビュー
リアビュー
リアビュー

 室内もインパネ中央に大径メーターを配するレイアウトは以前からのものだが、ここはナビゲーション画面などが入る。スピードメーターとエンジン回転計は運転席の前に置かれた。

 エンジン回転計は、スピードメーターの左横にタテ長に位置している。これは瞬時に確認することが難しかった。

ステアリングコラム上に配置されたメーターパネルは丸形メーターを少しずらして横に並べて配置されていて、現行ミニのインテリアから大きく変更されたポイントとなる
ステアリングコラム上に配置されたメーターパネルは丸形メーターを少しずらして横に並べて配置されていて、現行ミニのインテリアから大きく変更されたポイントとなる

 試乗したクーパーは1.5Lターボ+6速MT、クーパーSは2Lターボ+6速ATの組み合わせ。1.5Lターボは3気筒の新開発エンジン。

 BMWの最近の考え方では、ガソリンエンジンは1気筒あたり500ccという排気量が理想的ということで、1.5Lエンジンを開発するにあたり、3気筒を採用した。このエンジンの136ps、22.4kgmの数値は、現行MINIクーパーの1.6L NAよりも14‌ps、6.1kgmの大幅アップとなっている。

クーパーには136ps/22.4kgmを発揮する直3DOHCターボエンジンを搭載している
クーパーには136ps/22.4kgmを発揮する直3DOHCターボエンジンを搭載している
クーパーSの搭載する直4、2LDOHCターボは192ps/28.5kgmのパワー&トルクを誇る
クーパーSの搭載する直4、2LDOHCターボは192ps/28.5kgmのパワー&トルクを誇る

 ゲトラグ社製の6速MTはクラッチも重くなく、シフト感覚も軽快な動きだ。1速にシフトして走り出す。3気筒エンジンは一気に6000回転あたりまで上昇し、シフトアップを促す。実に軽い。不快な振動もない。ターボトルクの急激な盛り上がりもなく、トルクフルなエンジン、という印象。

 ここで気がついたのが、シフトレバーの基部のリング状のロータリースイッチ。これが新装備のミニドライビングモードのスイッチだった。

 モードは標準装備のMIDと、SPORT、GREENの3種類。モードに応じてアクセルとハンドルの特性アップ。AT車ではシフト時間やDSC(ダイナミックダンパーコントロール)の設定が切り替わる。

 AT車ではGREENモードの時に、ドライブトレインの接続を分離するコースティング機能も備えている。

 さっそく、MIDモードからSPORTモードに切り替える。

 1速のスタートからレスポンスが鋭い。吹け上がりの時間が短くなる。しかし、US仕様のMTはギア比がかなり高いようで、2速で100km/h近くまで伸びる。それはそれでプエルト.リコの山間部では、2速ギアに入れておけば、AT車のようにシフトフリーで、ガンガンコーナーを攻めることができた。日本仕様はおそらくクロスレシオギア比を採用するので、トルクフルで、キビキビとしたMTドライビングが楽しめるはずだ。

 いっぽう、街中での3気筒エンジンは、標準装備のアイドリングストップからのエンジン始動でも、不快な振動はなく、静か。新開発の3気筒1.5Lターボは、かなり完成度の高いエンジンといってよいだろう。

目にした瞬間にミニだとわかる3つのパートによるボディ構造を堅持。箱型のボディ、車両周囲をとり巻くウィンドウ配置、その上にルーフが乗るスタイルにより視覚的にはっきり区分されている
目にした瞬間にミニだとわかる3つのパートによるボディ構造を堅持。箱型のボディ、車両周囲をとり巻くウィンドウ配置、その上にルーフが乗るスタイルにより視覚的にはっきり区分されている

 続いてクーパーSは、6速ATとの組み合わせで試乗した。6速ATはアイシン製。今回からエンジンスターターは、プッシュボタン式ではなく、センターパネル中央のレバーを押し下げる方式に改められた。つけ加えると、ハザードランプのスイッチもダッシュ上からセンターパネル上部に移された。

 クーパー用のエンジンは直列4気筒2Lターボ。現行の1.6Lターボよりも8ps、4.0kgmの性能アップだ。なぜクーパーは3気筒、クーパーSは4気筒なのか。それを開発担当者に質問した。ハッキリとは明言しなかったが、どうやら、3気筒のハイパワー仕様が間に合わなかったようだ。いずれ、クーパーS用のハイパワー3気筒が出るかもしれない。

 しかし、ニューミニクーパーSに搭載されたパワーユニットもなかなかの実力を見せてくれた。6速ATとの相性もよく、6000回転までスムーズに吹け上がると同時に、低回転でのトルクも太い。マニュアルモードを使用して、6速1500回転からでもスムーズに加速する。

新開発の6ATは現行から効率性やシフト快適性を向上
新開発の6ATは現行から効率性やシフト快適性を向上

 クーパーSにも装備できるドライビングモードをMIDからSPORTに切り替える。瞬時に乗り心地も硬くなる。しかし、クーパーの時にもそうだったが、プエルトリコの荒れた舗路では硬すぎ。2名乗車でもハネ気味で、ワインディングでは接地感のあるドライビングができなかった。MIDモードがベストセッティングだった。ちなみにタイヤはクーパー、クーパーSともに205/45R17を装着していた。

 動力性能のチェックが終わったところで、じっくりとニューミニの居住性能を、現行モデルと比較してみた。

 フロントシートは、ウィンドウが前方にあり、圧迫感のないのは現行モデルと同じ。左右の空間は広くなった。身長180cm近いふたりでも迫ってくる感じはしない。

 フロントシートを倒し、リアシートに移動してみる。着座位置はやや低め。頭上は空間も広く、身長170cmクラスの人間が座ることができる。

 足元もつま先がフロントシート下に入るので、窮屈な感じは抑えられている。現行モデルよりも居住空間はわずかに広くなった。30mm延ばされたホイールベースの恩恵だろう。

インテリアでは4つのシートすべてが居住性を改善した
インテリアでは4つのシートすべてが居住性を改善した

 ラゲッジスペースだが、リアシートの背もたれは現行の左右2分割から6対4分割に変更された。床板が2段階の高さに調節できるようになり、高めにセットすると、背もたれを倒した荷室と一体になる。床板を低くすると、140mm下がる。

ラゲッジルーム容量は現行モデル比51L増の211Lを確保
ラゲッジルーム容量は現行モデル比51L増の211Lを確保
リアシートを倒すと広大なスペースを確保することができる<a href=" class="wp-image-1145748" srcset="https://img.bestcarweb.jp/wp-content/uploads/2025/03/09231339/20140326_P040-043_14.jpg 600w, https://img.bestcarweb.jp/wp-content/uploads/2025/03/09231339/20140326_P040-043_14.jpg 300w, https://img.bestcarweb.jp/wp-content/uploads/2025/03/09231339/20140326_P040-043_14.jpg 768w, https://img.bestcarweb.jp/wp-content/uploads/2025/03/09231339/20140326_P040-043_14.jpg 960w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" width="600px" height="400px"/>
リアシートを倒すと広大なスペースを確保することができる

 ニューミニは、ボディ剛性も向上し、質感が格段によくなった。フォードフィエスタやVWポロよりも作りのよさでは上回る。まして、ホンダフィットやトヨタアクアのような大衆車的な作りではない。使われている素材も吟味されている。

 今回はミニの原点である3ドアハッチバックモデルだけのデビューだったが、前出の開発担当者に今後のラインアップを聞いたところ、ニヤニヤとし、質問をはぐらかしていた。ということは現行と同じようなラインアップを用意していることを意味すると推察する。

 日本での発売は、消費税増税後の今年4月になりそうだが、車両本体価格は現行ミニよりも質感、性能ともに向上しているが、「据え置きに近い価格」(BMW関係者)で、登場する。

 ニューミニは、間違いなく買いの1台といえる。クーパーSもよいが、あえて新開発の3気筒エンジンを積むクーパーの6速AT車をお薦めしたい。

次ページは : ■歴代MINIの歩んできた道

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