クルマ界のあらゆる不思議に迫ることで一部でカルト的な人気を誇ったかもしれないベストカー本誌企画「不思議でたまらない」。今回は本企画からクルマの色、ボディカラーにまつわる「フシギ」を深掘り!(本稿は「ベストカー」2014年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
■なぜ茶色のクルマは売れないのか?
今回の「不思議でたまらない」のテーマは、「なぜ茶色のクルマは売れないのか?」。
昔っから、ブラウン系のクルマは売れないといわれているが、その理由ってなんだろう? 日本で茶色のクルマが普及しない理由をいろいろ調べてみます!
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まずは、優れた色彩のクルマを表彰している「オートカラーアウォード」の実施団体、一般社団法人日本流行色協会に理由を聞いてみた。
「うーん、そうですねぇ。茶色のクルマといえば、2003年に日産マーチからショコラが出て、第6回 オートカラーアウォードのファッションカラー賞を受賞しています。
今、クルマに求められているものって“未来”、“エコ”、“新しいエネルギー”といった先進性のあるものですよね。でも、ブラウンはそうしたイメージと対極にある色味。茶色は、土を連想させるカラーですから、色味の調整いかんで田園や田舎といった印象が生まれます。
ブラウンに先進性を加え、都会的にするためには、黒に近づけてクールな印象を作るか、光の効果でゴールドを加える、あるいはチョコレートを思わせる色と質感を持たせるという方法があります。
茶色のクルマがあまり売れない2つめの理由としては、ブラウンは日本人にとって着こなしにくい色だということがあげられるかと思います。
白人の肌の色は、ブラウンと相性がいいのですが、私たちの肌色は黄みよりの茶色系ですので、着こなしには難しさがあるかと思います。ただ、本当にいいものを知っている人は、いい素材でできたブラウン系のものを着こなします。ブラウン系は素材感で見え方が大きく変わってしまうのです。
粋の文化が栄えた江戸時代には、といわれるくらい(編集部注:江戸時代後期、贅沢を禁じる禁止令が出され、庶民の着物の色味は「茶色」「鼠色」「藍色」のみと決められた。江戸の町人は、茶色や鼠色に微妙な変化を持たせてたくさんの茶色や鼠色を創り出した……ってなことから“四十八茶百鼠”という言葉ができたらしい)たくさんの茶色が創り出されました。
なかには、歌舞伎役の名前が付けられた茶色もあります。かぶく(傾く)ことがかっこいい時代が再びやってくれば、ブラウンが流行色となることでしょう。意外と近い将来かもしれませんよ」。
とのこと。ふむふむ。茶色は先進的なイメージから遠いところにあるカラーってわけか。ただし、案外変幻自在で奥が深そうな色でもあるんだなぁっと。
ところで、本当にブラウンカラーのクルマは売れてないのだろうか? メーカーさんに聞いてみた。
トヨタ「ポルテ、スペード、シエンタ、ハリヤー、ヴィッツ、アイシスなどにブラウン系のカラーを用意しております。比率としては、ポルテは全体の11%がダークブラウンマイカメタリックです。アイシスの同色の販売比率は1%です」。
ホンダ「ブラウン系といえば、N-BOXにプレミアムブロンズがあります。あと、N-ワゴンにも茶色系のカラーがあります。販売の割合としては、はっきりいってそれほど多くはありません。N-ワゴンのプレミアムディープモカパールで販売比率8%です」。
スバル「アウトバックにディープチェリーパールという茶色っぽい色味があるのですが、月に50~60台売れる程度。割合にして3%ほどです」。
三菱「RVRにクォーツブラウンメタリックがあります。正直、それほど出るカラーではないですね。このカラーの全体に占める割合は2.6%です」。
メーカーによると確かに茶色のクルマは売れてない。だが、しかし。軽自動車など女性ユーザーが多い車種はちょいと事情が異なるようなのだ……。
ダイハツ「うちでは茶色系は、けっこう人気カラーです。ほとんどの車種にブラウン系のカラーを設定していますし、ミラココアで一番人気のカラーは有料色のプラムブラウンクリスタルマイカです。28%の方がお選びになります。また、ミライースの一番人気の車体カラーも有料色のプラムブラウンクリスタルマイカです」。
スズキ「MRワゴンで一番売れているカラーは、アーバンブラウンパールメタリックという茶色系のものになります。だいたい25%の方がこの色をお選びになりますね。そのほか、アルトやアルトラパン、エスクードでも茶色系は人気があります。ブラウン系を設定しはじめたのは、数年前なのですが、ずっと茶色系は人気がありますよ」。
日産「キューブの場合は、ビターショコラという茶色が、販売比率24.8%で一番売れていますよ。モコも一番人気カラーはアーバンブラウンで、42.9%の方がこの色を選ばれます。その他、スカイライン、NV350キャラバン、エルグランド、セレナのほか、デイズルークスにも茶色系をご用意しています」。
マツダ「茶色系の中でもラディアントエボニーマイカは人気があり、プレマシーをお買いになる方の25%はこの色を選ばれます。キャロルとキャロルエコの場合、20.8%がアーバンブラウンパールメタリックです。なお、フレアにも同じくアーバンブラウンパールメタリックがありますが、販売比率は4.1%となっています」。
某社の担当者いわく「軽自動車はセカンドカーという位置づけで購入される方が多いのでカラーで冒険されることが多いのかもしれません。また、女性はクルマを家具感覚で選ばれることがあり、茶色=家具の色といった感覚でブラウン系のクルマをお買い上げになるようです」。
というコメント通り、茶色のボディカラーは必ずしも不人気カラーで売れない、というわけではないようだ。
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下の表にあるとおり、茶色は、実はけっこう上位に入り込んでいる。白、シルバー、黒と違いどんなクルマにも設定される色でないことを考えるとこれは大健闘。
茶色のクルマが売れていないように映るのは日本では白、シルバーのボディカラーがあまりにも突出しているからにほかならない。













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