車両盗難が多発する日本 GPS追跡は意味がない? 本当に有効な防犯策とは

車両盗難が多発する日本 GPS追跡は意味がない? 本当に有効な防犯策とは

 後をたたない自動車盗難。いつまで経ってもイタチごっこなのだが、盗難された人の話を聞いてみるとちょっと足りなかったというケースが多い。いったいどうすればいいのよ、ということで盗難されやすい車両に乗っていた編集部員が語っちゃいます。

文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真=Nakarin)

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物理的なロックはあくまでも時間稼ぎにしかならない

ハンドルロック、ホイールロックも完全な防犯にはならない(Mickis Fotowelt@Adobe Stock)
ハンドルロック、ホイールロックも完全な防犯にはならない(Mickis Fotowelt@Adobe Stock)

 自動車盗難を防ぐためにいろいろと対策をしている人も多いだろう。ハンドルロックにホイールロックなど、クルマのキー以外にもロックをつけているという人も多い。

 しかし近年の自動車窃盗団はいとも簡単にその手の「物理的ロック」を簡単に破ってしまう。ハンドルロックは大型の機材であっという間に切断できるし、ホイールロックもランドクルーザーなどの大型車であればそのまま走り去るくらいはできてしまう。

 もちろんなかには堅牢な作りの物理ロックもあるのだが、時間稼ぎにはなってもそれ単体ではやはり限界があるというのは事実なのだ。

GPSは「盗難防止」には役立たない

 GPSでの追跡も過信しすぎてはいけない(ifeelstock@Adobe Stock)
 GPSでの追跡も過信しすぎてはいけない(ifeelstock@Adobe Stock)

 そして最近はAirTagやGPSなどの追跡装置を仕込むユーザーも多い。しかしこれは「盗難防止」にはならない。なぜかというとあくまでも位置情報を追跡するのは「盗難された後」だ。

 しかも窃盗団はプロだからどこにそれらの装置を隠しがちかなどは熟知していて、犯行現場の近くにGPSなどが投げ捨てられているなんてケースもある。さらにはあえてコインパーキングなどに盗難した車両を放置して、被害者の動向を伺うなどをするケースもある。

 つまり盗難防止というにはあまり役立たず、盗難後の車両捜索などで若干の期待ができる程度なのだ。この辺りは警察や専門家なども真っ先に「GPSを備えよう」と言いがちだが、実は二の次だったりする。

真っ先にやるべきは社外セキュリティ

複数のイモビライザー設定で多重ガケするくらいがちょうどいい!?(Vladimir Zhupanenko@Adobe Stock)
複数のイモビライザー設定で多重ガケするくらいがちょうどいい!?(Vladimir Zhupanenko@Adobe Stock)

 じゃあ真っ先になにをすべきかと言えば社外セキュリティだ。国内外のイモビライザー介入型のセキュリティは数多あるが、どれを取り付けるべきかはショップなどに相談してほしい。

 複数のイモビライザーを設定したモデルであれば、車両のエンジンをスタートすることは実質的に不可能に近いほど困難になり、車両が忽然と姿を消したという事件は起きにくい。

 しっかりとした技術を持つショップでの施工なら間違いないし、Googleの口コミなど総合的に判断してじっくりと選びたい。

意外な落とし穴もあるセキュリティ

クルマのガードマンでも配置しない限り100%の盗難防止はない。どこまでも油断してはいけない(Jay@Adobe Stock)
クルマのガードマンでも配置しない限り100%の盗難防止はない。どこまでも油断してはいけない(Jay@Adobe Stock)

 注意点としては4点。まず最初に費用面だ。セキュリティの設置については内装をばらすなど工数も多くかかり、それに加えて各業者ごとのインストール技術も要することから工賃も高い。装置本体と込みで概ね40万円程度は見積もっておくのが安心だ。

 次に車両は盗難されなくても、車上荒らしやパーツ盗難には効果がない可能性もある。もちろん窓ガラスを割ったり、車両をジャッキアップするなどでセキュリティのアラームは鳴る。しかしそれを覚悟でパーツを盗む窃盗犯もいるので抑止力にはなれど、完全に防止することは難しい。

 3つ目は納期問題。カーセキュリティは職人技であり、誰もが作業できるというものではない。しかし高級車などの窃盗が増えたことで業者によっては1年待ちなんてことも珍しくない。さらに新車の納期も読めないなんて話もあるわけで、こればかりはかなり難しいところ。

 最後に100%はないということ。自動車窃盗は減少傾向とはいえそれはあくまで全体の話。狙われる車種は確実に狙われるという覚悟が必要だ。

 もちろん社外セキュリティでかなりの防犯にはなるが、それでも窃盗団が盗むことにリスクが伴うだけで、盗めないわけではない。あくまでも窃盗をされないようにしっかりとリスクを減らしていくことに専念して、難しく考えすぎず楽しいカーライフを送っていきたい。

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