近年、スーパーカーなどで採用が増えているカーボンブレーキ。軽量で高温時の強度が高いという長所があるものの、実はかなり高額だ。
たとえば、NSXのオプションリストによれば、カーボンセラミックブレーキローターは113万4000円……。
車両本体が2370万円と超高額なので、感覚がマヒしてしまいそうだが、冷静に考えるとかなりの金額だ。このケタ違いに高いカーボンブレーキ、はたしてその価格に見合うだけの価値はあるのだろうか?
ベストカー2016年12月10日号
ノーマルブレーキよりもカーボンブレーキがいい理由
NSXでは113万4000円のカーボンセラミックブレーキローター。近年ではハイパフォーマンスカーの定番アイテムとなっているんだけど、オプション設定での価格は軒並み100万円オーバーだ。
以下、いくつか例を挙げてみよう。
- ・ポルシェ911GT3RSのPCCB(ポルシェ・カーボン・セラミック・ブレーキ)=166万8000円
- ・ポルシェ718ケイマンSのPCCB=132万9000円
- ・マクラーレン540Cの場合=124万3000円
- ・アウディS6の場合=139万円
- ・アウディR8=123万円
- ・BMW M3/M4=110万円
といった具合だ。
あの巨大なキャリパーのブレーキシステムは見た目の迫力もさることながら、価格もかなりの迫力なのである。
でも、NSXもポルシェもマクラーレンもアウディも、ノーマルブレーキだって充分すぎるほどの性能でしょ……と思わなくもない。
そこで、自動車評論家の鈴木直也氏に、訊ねてみた。
「一般道を普通に走っているかぎりはノーマルのブレーキでまったく不満が生じるはずもないですね。もともと凄いブレーキついてますから。
さらに、サーキットをかなりのペースで走り込んでもノーマルブレーキで不満を感じる場面はまずないでしょう。
カーボンセラミックローターは素材的に熱に強い特性を持っていて、しかも鋳鉄ローターよりも軽い。軽いからより大きくできるので、さらに耐熱性が高くなる。
先日BMWのMモデル試乗会があり、筑波サーキットで次々とドライバーが乗り替えて延々と走り続けていたんだよね。カーボンブレーキのM3やM4はこんな状況でもまったくブレーキがへこたれない。
鋳鉄ブレーキのM2でもダメってことはなかったけれど、ちょっとペダルタッチに変化が出てきたかな!? という場面でもセラミックブレーキのM3/M4はガッチリタッチに変化なし。この領域で使うのであれば“価値アリ”といえるだろうね」と語る。
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