炎天下に停めたクルマのドアを開けた瞬間、モワッとした熱気に思わず後ずさり――。実はその“熱気”が、あなたのスマホやモバイルバッテリーにとって、引火の火種になっているかもしれない……。
文/藤原鉄二、写真/写真AC
【画像ギャラリー】夏の車内は“爆発寸前”!? (9枚)画像ギャラリー真夏の車内は“オーブン状態”
スマートフォンやワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリーなど、身のまわりにある多くの製品には、リチウム電池が使われている。
この電池、実は高温に非常に弱いという特性がある。そのため、夏の車内に放置すると最悪の場合発火や爆発につながるリスクがあるのだ。
では、炎天下における車内はどれほどの高温になるのだろうか。
JAF(日本自動車連盟)の実験によると、外気温が35℃の日に日向に駐車したクルマの車内温度は、30分で55℃前後、1時間で60℃を超えることもある。特にダッシュボードの表面は、70℃以上に達するケースもあるという。
このような過酷な環境下に、熱に弱いリチウム電池を搭載した製品を置きっぱなしにしてしまうと、やがてリチウム電池の「熱暴走」という危険な現象が発生するおそれがある。
なぜリチウム電池は暴走するのか?
では、そのリチウム電池の「熱暴走」とは、いったいどのような現象なのだろうか。
熱暴走とは、電池の内部温度が上がることで激しい化学反応が起こり、その反応によってさらに熱が発生して、加熱と反応の連鎖が止まらなくなる現象。
いわば、電池が自分で自分を加熱し続ける“暴走モード”に入ってしまう状態で、いったん暴走が始まると自然には冷めず、発煙・発火、最悪の場合は爆発に至ることもある。
これは大型機器だけの話ではない。スマートフォンやモバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホンなどの小型電池でも同じことが起こりうる。小さくてもエネルギー密度が高いため、一度暴走すれば、周囲に重大な被害を与えることになる。
ちなみに、正確にはリチウム電池には、リチウムイオン電池とリチウムポリマー電池があるが、基本的な動作原理は同じなので、どちらも熱暴走は発生する。
車内でのリチウム電池搭載製品の正しい扱い方とは?
夏場でも安全にリチウム電池を搭載した製品を使うには、以下のポイントを押さえておこう。
●車内に置きっぱなしにしないが原則
必ず持ち出す習慣をつけることが重要。特に注意したい主なリチウム電池を搭載した製品は以下のとおり。
スマートフォン
モバイルバッテリー
タブレット・ノートPC
ワイヤレスイヤホン
電子タバコやVAPE
モバイルWi-Fiルーター
携帯型ゲーム機
ポータブル扇風機・ハンディファン
コードレス掃除機
スマートウォッチ
電動工具バッテリーパック
上記の製品以外にも、「充電式である」「小型でも高出力」といった特徴を持つ製品にはリチウム電池が搭載されている可能性が高いと考え、車内には安易に放置しないようにしよう。
●充電は目の届くところで
高温環境下では充電中の発熱と高い外気温が重なり、電池内部の温度が急上昇して熱暴走や発火のリスクが高まる。スマホなどの充電は、運転中など目の届く場面でのみ行おう。
●保冷効果のあるケースに入れる
断熱・遮熱素材を使ったポーチや専用ケースを使うとより安心だ。










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