K4-GP 2025 軽耐久の夏祭り! 由良拓也“違いのわかる男”とムーンクラフト50周年マシンが挑んだ波乱の舞台裏

K4-GP 2025 軽耐久の夏祭り! 由良拓也“違いのわかる男”とムーンクラフト50周年マシンが挑んだ波乱の舞台裏

 夏の富士スピードウェイの風物詩といえば、クルマ好きにとってお馴染みの“軽自動車耐久祭り”。そう、毎年恒例の「K4-GP」である。参加車両は軽自動車をベースにした多種多様なマシンで、参加チームの工夫や情熱が詰め込まれた“走る実験室”とも言える舞台だ。そんな中、今年ひときわ注目を浴びたのが、創立50周年を迎えたムーンクラフトが挑んだ特別な一台だった。

文/写真:ベストカーWeb編集部

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創立50周年! ムーンクラフトが富士に挑む

チーム「ゆらたく屋」の面々。左から3番目が違いのわかるレーシングカーデザイナー・由良拓也さん。レース解説などでも活躍中だ
チーム「ゆらたく屋」の面々。左から3番目が違いのわかるレーシングカーデザイナー・由良拓也さん。レース解説などでも活躍中だ

 8月13~14日に開催された「K4-GP」は、富士スピードウェイを舞台に繰り広げられる軽自動車の祭典である。13日は5時間耐久、14日は10時間耐久という構成で、真夏の富士でマシンもドライバーも極限まで試される過酷な戦いとなる。

 毎年、ユニークかつ個性的なマシンが並ぶこのイベントのなかでも、ひときわ注目を集めてきたのが由良拓也さん率いる「ムーンクラフト」だ。

 ムーンクラフトは1975年に由良さんが設立したレーシングカー製作会社で、これまでに数々のレーシングマシンを世に送り出してきた名門である。そして2025年、ついに創立50周年という大きな節目を迎えた。

 由良さんにとっても、K4-GPは自らの技術と情熱をぶつける格好の舞台。50年の集大成を見せるべく、今年も新たな挑戦を仕掛けたのである。

節目のマシン「カルボナーラ」デビュー2年目の挑戦

カルボナーラのパワーユニットは、ダイハツ ミラのNAエンジンを規定の範囲内で改造したものを搭載。K4-GPのなかでも屈指の速さをみせるマシンだ
カルボナーラのパワーユニットは、ダイハツ ミラのNAエンジンを規定の範囲内で改造したものを搭載。K4-GPのなかでも屈指の速さをみせるマシンだ

 50周年記念として投入されたのが、チームゆらたく屋のマシン「カルボナーラ」である。2024年にデビューしたこのマシンは、徹底した風洞実験によって生み出された美しい空力カウルをまとっている。

 ちなみに、「カルボナーラ」の正式名は「Carbonara MCS50」。「カーボンならムーンクラフト」というダブルミーニングとなっている。MCSは「Moon Craft Special」の略。

 その「カルボナーラ」のシャープなフォルムは、まさにレーシングカーそのもの。2024年のK4-GPのレースでオーバーヒートが原因でエンジンがブローしてしまったため、今年は新エンジンを搭載し信頼性とパフォーマンスの両立を狙った。

 もっとも、燃費や耐久性などのデータは未知数。そこで初日の5時間耐久は「燃費計測」と「セッティング出し」に専念する作戦を選択した。

前日テストにはレジェンド・服部尚貴選手(写真の一番右側)も参加。残念ながら、10時間耐久レースは体調不良で参加ができなかった
前日テストにはレジェンド・服部尚貴選手(写真の一番右側)も参加。残念ながら、10時間耐久レースは体調不良で参加ができなかった

 豪華なドライバー陣も見どころで、元スーパーGTGT500クラスなど参戦していたレジェンド・服部尚貴選手がチームに参加。経験豊富なメンバーの力を得て、細かなトラブルはあったものの大きな問題なく走り切り、いよいよ本命の10時間耐久レースへ挑むこととなった。

波乱のレース、そして無念の結末

スタート進行時、由良さんが公式LIVE出演のため不在に。残った吉田広樹選手、大城一選手、松原秀治選手(写真左から)がグリッドに登場
スタート進行時、由良さんが公式LIVE出演のため不在に。残った吉田広樹選手、大城一選手、松原秀治選手(写真左から)がグリッドに登場

 しかし本番当日、思わぬ波乱が待ち受けていた。スタートを担当する予定だった服部尚貴選手が体調不良で欠場となり、急きょ当日合流の予定だった、スーパーGT GT300クラスで活躍する吉田広樹選手がスタートドライバーを務めることとなった。経験豊富なドライバーとはいえ、この急展開はチームにとって大きな試練であった。

 さらにスタート直後からトラブルは続く。無線が通じないという想定外の問題が発生し、総合2位を走行していたわずか4周目で燃料ポンプが停止。マシンは緊急ピットインを余儀なくされる。由良さんとメカニック陣が懸命の作業で復帰させたものの、すでに上位争いからは大きく後退していた。

由良さんとメカ陣が燃料ポンプのトラブル原因を必死に調査した
由良さんとメカ陣が燃料ポンプのトラブル原因を必死に調査した
由良さんが担当したスティントの終盤、100Rで追突され万事休す。タイロッドが折れてしまい、戦線復帰はならなかった
由良さんが担当したスティントの終盤、100Rで追突され万事休す。タイロッドが折れてしまい、戦線復帰はならなかった

 それでもドライバーたちは「せっかくだから楽しもう!」と前向きに全力走行を続けた。しかし残り1時間半、由良さんから吉田選手へのドライバー交代直前にさらなる悲劇が訪れる。100Rで後続車に右リアをヒットされ、さらに横を走るマシンとも接触。その衝撃で右フロントのタイロッドが折れてしまい、マシンは走行不能となった。無念のリタイアである。

 レースの結果こそ残せなかったものの、創立50周年という節目の挑戦は強烈な印象を残した。最後にチームは笑顔でサーキットをあとにし、その姿は「次こそ雪辱を果たす」という強い意志を感じさせたのである。

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