雨天時(のクルマの運転中)にクルマが制御不能となる「ハイドロプレーニング現象」。回転しているタイヤと路面との間に雨水の膜が形成されることで、タイヤが浮きあがってグリップを失ってしまうことで生じる、雨天時の運転においてもっとも恐ろしいトラブルです。
タイヤの残り溝が少ないから起こるわけではなく、状況によっては新品のタイヤであっても発生する可能性があるハイドロプレーニング現象。これからの季節は、台風や秋雨前線による降雨が多くなる季節です。ハイドロプレーニング現象を発生させない運転のポイントをご紹介しながら、万が一発生してしまった場合の正しい対処法についてもご紹介します。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_Apisit/写真:Adobe Stock、写真AC、首都高速道路株式会社
【画像ギャラリー】台風・秋雨期の決定版!「ハイドロ“させない”運転&“起きたとき”の正しい対処」+空気圧の正解(6枚)画像ギャラリーとにかく「速度を落とす」ことが重要
ハイドロプレーニング現象(以下ハイドロ)を発生させないため、まず心がけたいのは、スピードを出しすぎないことです。冒頭でも触れたように、ハイドロはタイヤと路面との間に水膜が形成されることで発生する現象ですが、車速が高くなればなるほど、トレッド面の溝による排水が追い付かなくなるため、水膜が形成されてしまいやすくなるからです。雨天時の走行中に、不意にステアリングが軽くなった、クルマが左右に流される挙動を感じたなど、タイヤのグリップが無くなる予兆を感じたら、速度を出し過ぎている可能性があります。
また、水たまりを避けて走ることも重要です。事前に確認できれば、車線変更をするなどで、回避するようにしてください。回避が難しい場合は、アクセルペダルから足を浮かし、ステアリングを真っすぐに持って、惰性で走り抜けましょう。そうすることで、万が一ハイドロが起きても最小限の影響で済ませることができます。
速度を抑え、危険な路面を避け、避けられない場面では「予防運転」をする。これが最悪の事態を引き起こさないための鉄則です。

万が一ハイドロが発生したら「ステアリングを向かうべき方向に切ったうえで、アクセルペダルを戻してじっと待つ」
それでもステアリングが突然軽くなった、突如クルマが横へ流れたなど、「ハイドロが発生してしまった」と感じたら、まっすぐの道ならばステアリングをまっすぐに、カーブしている道であればその方向にステアリングを切ったうえで、アクセルペダルを戻して安全な車速に落とし、タイヤグリップの復帰を待ちましょう。
こうすることで、クルマの各種センサーが急激なスリップの状態を検知し、ドライバーが向かおうとしている方向へ安全に進むよう、自動的に4輪のブレーキ圧やエンジン出力を調整し、横滑りを軽減してくれます。
焦って急ブレーキをかけたり、乱れた挙動を戻そうとカウンターステアをあてたりなど、悪あがきをするよりも、(もちろんそれがうまくいく場合もあるかと思いますが)綿密に設計されたクルマのセーフティシステムを信じて、クルマに任せたほうが、安全に切り抜けられる確率は高いはずです。







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