危ない!!　クルマと自転車事故が多い意外なワケは？　技術が進歩してもなくならないクルマの「死角」

　カメラやセンサーが日々進化し、クルマの周囲が手に取るように分かるようになってきていても、完全に無くならないのがクルマの「死角」。特に自転車の歩道走行が原則禁止になり、多くの自転車が車道を走るようになるとより深刻だ。

※本稿は2025年8月のものです
文：片岡英明、ベストカー編集部／写真：ベストカー編集部 ほか
初出：『ベストカー』2025年9月26日号

クルマは意外と死角だらけ!!

　クルマを運転していて、歩行者、自転車の存在に気付かずハッとした経験は誰にでもあるはず。

　どんなに注意して運転していてもクルマは物理的に死角を消すことが難しい。そう、クルマは見えない死角だらけなのだ。さらに厄介なのは、歩行者に比べて自転車は進行スピードが速いため、気が付かないうちにニアミスということも珍しくない。

　下の表は自転車の対車両（クルマ・二輪車・自転車）の事故要因を示したもの。双方の注意不足、違反運転などもあるが、すべてとは言わないまでも、クルマの死角、つまり自転車の存在を認識できていないがために事故を起こしたケースは少なくないのだ。

死角のないクルマなどない！

　仕事柄、多くのクルマに乗るが、最近は着座位置の高いミニバンやSUVが増えている。しかもピラーは太くなっているので、意外に視界を遮ることが多い。小さな交差点を右折する時に対向車線にいたクルマに気を取られ、その背後に隠れていた自転車を見落とし焦ったことがある。

　この時は逆光で眩しかったこともあるが、直前の死角が広く、自転車が思いのほか速かったために気がつくのが遅れた。

　また、左折する時に電動キックボードが横を駆け抜け、ヒヤッとしたこともある。自転車に加え、静かな電動バイクや電動キックボードも増えてきたので、これまで以上に慎重な運転を心がけなければ、と肝に銘じた。

　最近のクルマにはモニターが装備され、これに頼りがちだ。広い範囲を映し出してくれるから目視での確認をついつい怠ってしまう。

　オープンカーはバックするとき後方確認が大変だし、絞り込みも強いので車両感覚を掴みづらい。モニターは便利だが、背後の自転車や人は死角に入りやすいので目視での確認も必要だ。

　愛車のHonda eにはデジタルミラーが装備されているが、従来のミラーより後続車が大きく映し出され、見える範囲は広い。死角は減っているのだが、距離感や見え方が異なっているので慣れるまでは戸惑う。

　また、カメラ内蔵のサイドミラーも、後方から光を浴びる夜間や雨の日はモニター画面が見づらい。だから死角を気にしながらの慎重な運転を心がけている。（TEXT／片岡英明）

クルマの最新安全装備の自転車検知能力

　衝突被害軽減ブレーキは装着が義務化されていて、適用日は新型車が2024年7月1日、継続生産車が2026年7月1日なので装着車は激増。

　対自転車において、クルマが38km/hで走行中に、15km/hで真横から走ってくる自転車を検知して衝突しない、という条件があるため、多くの事故を回避できると思われる。

　そのほかの安全装備では、ブラインドスポットモニターがあり、斜め後方、ボディサイドを走行する車両などを検知するというもの。こちらの装着義務は今のところないが、進化が著しい。

　初期のブラインドスポットモニターはクルマのみ検知するというものが主流だったが、今では自転車も検知するのが当たり前になってきているので、ドライバーにとっては心強い装備のひとつだ。

　特筆は各種カメラの進化＆普及でノーズ先端に装着されたカメラ、リアカメラ、デジタルアウターミラーなどなどあり、死角を減らす安全装備が大きく進化。

　とはいえ、どれも万全ではないため、ドライバーも自転車も油断は禁物だ。