日本にも登場したEVミニバン、フォルクスワーゲン ID.Buzz。EVとして蘇った現代版ワーゲンバスとも言われる同車だが、自動車評論家であり、筋金入りのエンスーである清水草一氏&渡辺敏史氏のお2人はどう感じているのだろうか!?
※本稿は2025年9月のものです
文:清水草一、渡辺敏史/写真:フォルクスワーゲン、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年10月10日号
サイズや値段は頑張ったが丸目で登場して欲しかった!?
清水「ナベちゃん、IDバズに乗った?」
渡辺「乗りました」
清水「まぁEVなんで、乗ってどうこうなクルマじゃないけど」
渡辺「ちゃんと走りますね」
清水「走りより、デカいってことが話題だよね」
渡辺「確かにデカいです」
清水「でも実物見ると、言われてるほどデカくないなって思ったけど」
渡辺「僕はロングしか乗ってないんでデカかったです」
清水「全幅は1985ミリあるけど、全長はロングでも4965ミリ。5メートルいってないじゃん」
渡辺「えっ、そうですか」
清水「2メートル×5メートルくらいのクルマって、今、いっぱいあるでしょ」
渡辺「ですね。意外だな」
清水「俺はショートしか乗ってないから、それこそそんなにデカく感じなかった」
渡辺「ショートは4715ミリと、全長だけならノア/ヴォクとあんまり変わらないですね」
清水「えーと、最小回転半径は……ロングで6.3メートル。これは確かにデカい」
渡辺「6メートル超えるとだいぶ取り回しがキツいです」
清水「でもさ、最近オレが買った先代マセラティ クアトロポルテ、全長5メートルオーバーで最小回転半径6.2メートルなんだよ」
渡辺「フロントにV8積んでますからね」
清水「意外に取り回しは苦労してないんだ。住宅街の4メートル幅道路で対向車が来たら、軽同士でもない限りどうせすれ違えないし」
渡辺「われわれ、デカいクルマに慣れちゃったのかもしれませんねぇ」
清水「IDバズのロングは、アルファードよりちょいデカいくらいの感じじゃ?」
渡辺「幅だけってことですね。ショートなら、サイズの問題はあんまりないでしょう」
清水「問題は値段だよね」
渡辺「高い高いって言われてますけど、本国価格がショートで5万ユーロからなんで、今のレートだと860万円なんですよ。日本仕様は装備がいろいろ乗ってますから、888万9000円……かなり頑張った価格だと思います」
清水「そうだよね……。輸入車高騰の最大の原因は円安なんだよな」
渡辺「1ユーロ100円っていう時期もあったけど、いま170円ですから」
清水「つまり値段もしょうがない。でも、ヘッドライトが丸くないのは問題じゃない?」
渡辺「そこは、フォルクスワーゲンのプライドじゃないですか」
清水「確かに丸目だったら、ウケ狙いだと思われるか」
渡辺「ファンシー好きな人が反応しちゃいます」
清水「でも、オリジナルのワーゲンバスが丸目だったんだから、丸目でいってほしかった。あの目だと、後継感があんまりないよ」
渡辺「そこはツートーンカラーが補ってるんじゃないですか」
清水「そっか」
渡辺「僕、昔、ワーゲンバスを共同所有してたことがあるんです」
清水「えっ! 元オーナーなの!? さすがエンスー! ワーゲンバスのデザインは今でも大人気だよね。あの遺産を生かすには、丸目が必要だったと思うんだけど」
渡辺「でもニュービートルは、ファンシー商品で終わった感があるでしょう」
清水「言われてみれば」
渡辺「遺産を活かすのは意外と難しいんだと思います」
清水「だね。思えば国産車のリバイバルカーって、Zくらいしかないな」
渡辺「次のスカイラインはだいぶ昔っぽくなるって噂ですけど」
清水「そうなんだ。ナベちゃんはどの年代に寄せてもらいたい?」
渡辺「ん~……ジャパンは割と好きでした。ハコスカやケンメリじゃモロすぎるけど、ジャパンだったら嬉しいかもです」
清水「ジャパンいいね! シブいよね!『西部警察』にも出てたし」
渡辺「でも、ジャパンのリバイバルに反応するファンって、どれくらい残ってますかね」
清水「俺たちくらい……」


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