【試乗】トリシティ155がスタイリングを一新! 4.2インチTFTディスプレイで利便性もさらに充実!!

【試乗】トリシティ155がスタイリングを一新! 4.2インチTFTディスプレイで利便性もさらに充実!!

 ヤマハのLMW(Leaning Multi Wheel=リーニング・マルチ・ホイール)シリーズとして、2017年に国内発売された「トリシティ155」が、外観デザインを一新して登場。スマホとの連携に対応した4.2インチTFTディスプレイ、USB Type-Cソケット、トラクションコントロールシステムなど装備面も充実している。

文:小川浩康 写真:関野 温

 

安定感と旋回性を両立したトリシティシリーズらしい新スタイリング

 ヤマハは、車輪および車体全体がリーン(傾斜)して旋回する3輪以上のモビリティをLMWと呼んでいる。そのLMWシリーズ第一弾として開発されたトリシティ125は、「二輪車に興味がない人」「小回りのきくコミューターを求める四輪ユーザー」を想定して、2014年に国内販売をスタート。そのトリシティ125は従来のバイクユーザーからも支持され、高速道路走行に対応したモデルも開発。2017年にトリシティ155、2020年にトリシティ300を追加した。「トリシティシリーズ」は、コミューターやスポーツスクーターとして幅広い層に人気のモデルとなっている。

 LMWシリーズ第二弾として国内発売されたトリシティ155は、2023年に新排ガス規制に対応した新型「BLUE COREエンジン」を新型フレームに搭載してモデルチェンジ。スマホとの連携機能、シート下収納にLED照明などを装備した。

 そして2025年9月にスタイリングを一新。フロントフェイスはトリシティ300譲りの「Yモチーフ」を採用。車体デザインもトリシティ300の特徴となっている「逆台形シルエット」とし、新形状タンデムグリップ、穴開け加工なしで純正トップケースの装着に対応したリヤキャリアなど、「SUVエッセンス」をモチーフとしているという。

新たに装備した4.2インチTFTディスプレイは、スマホアプリ「Y-Connect 」をインストールしたスマホと接続することで、アプリのナビ機能と連携。進行方向を矢印アイコンや距離などで示す「Turn by Turn表示」が可能となった。充電ソケットはUSB Type-Cを標準装備。車両が急ブレーキ操作を検知すると前後ウインカーを点滅させる「ESS=エマージェンシーストップシグナル」、後輪スピンの兆候を検知すると燃料供給量を補正する「TCS=トラクションコントロールシステム」も新たに搭載。利便性と安全性を向上しているのが特徴だ。



「水平基調」を織り込み、トリシティイメージを強調した新スタイリングとなった。画像のホワイトに加え、マットライトグリーン、マットグレーの全3色をラインナップ。



「Yモチーフ」を取り入れ、トリシティシリーズらしさを深めたフロントフェイス。ヘッドランプはハイ・ロー別灯で、ポジションランプ、ウインカーもすべてLED化。



テールランプは「NMAX」と同形状だが、リヤカウルはオリジナルデザインを採用することでトリシティらしいリヤまわりとなっている。視認性も良好。



新装備の4.2インチTFTディスプレイ。アナログ風タコメーター、残量計、ハイビームなどのインジケーターが見やすく配置されている。



タコメーターをバー状に表示するモードも選べる。ディスプレイ背景は、画像のホワイト(日中)と、ブラック(夜間)の2パターンに変更可能。



「Y-Connect」をインストールしたスマホと連携し、着信やメールの文字表示をディスプレイで確認できる。スマホ側では車両情報や最終駐車位置などを表示できる。



アプリのナビ機能(Google Map)と連携し、交差点などで進行方向を矢印アイコンでディスプレイに示す「Turn by Turn表示」機能も新たに搭載した。



フロントまわりを引き締まったイメージとするために、スクリーンは旧モデルのブルースモークからブラックスモークに変更された。



前後長に余裕があり、着座位置を変更しやすいシート。クッション性もよく、長時間のライディングでも尻が痛くなりにくく、ツーリングでの快適性向上に貢献。



シート下収納はLED照明を装備。容量は約23.5Lで今回着用したフルフェイスヘルメットを収納でき、小物が入る余裕もあった。



SUVのルーフレールをイメージしたタンデムグリップは、より握りやすい形状に変更されている。リヤキャリアは穴開け加工せずに純正トップケース装着に対応している。



インナーパネル右側のポケットは耐荷重0.15kgだが、旧モデルから容量を拡大している。コンビニフックは耐荷重1.0kg。



DCソケットに代わり、USB Type-Cを新たに装備。ハンドルロックとシートロックはフロントパネル上のスイッチで操作。エンジン始動はスマートキーに対応している。

 
 
 

トリシティ155の足着き性をチェック



ライダーの身長は172cm。シート高は770mm。足裏をしっかりと着ける。シューズのサイズは26.5cmだが、フロア部は狭く、足を置く位置はほぼ固定される。



フロア部の幅が広すぎず、両足の足裏までべったり着く。足の位置はほぼ固定されるが、シート前後長に余裕があり、着座位置の変更は可能だ。

 
 

コーナリングが楽しめる軽快かつ安心な操舵感



左右の前輪の軌道が同心円を描くように、左右輪で異なる傾斜角を実現するヤマハ独自の「LMWアッカーマン・ジオメトリー」を採用。左右の前輪と車体の傾きを同調させる「パラレログラムリンク」を装備し、自然でスムーズな旋回性を体感できる。

 2025年モデルはスタイリング変更と、TFTディスプレイやトラクションコントロールの採用など装備面の充実が図られたが、フレームとサスペンションは基本的に変更はない。前2輪には左右それぞれ独立した「片持ちテレスコピックサスペンション」を装備し、左右輪が独自にストロークすることで段差などの衝撃もしっかり吸収できるのが特徴。ただし、「LMWアッカーマン・ジオメトリー」を実現するための「パラレログラムリンク」「タイロッド」「片持ちテレスコピックサスペンション」といった機構のため、フロントまわりは同排気量の一般的なコミューターよりも重くなっている。その影響もあり、フロントサスは少し硬めの乗り心地に感じられた。

 それでもハンドリングに重さはなく、コーナリングのきっかけのハンドル操作にも違和感がない。そこからの車体の倒し込みも、前2輪のリーン(傾き)と車体のリーンが連動するので一体感がありスムーズに行なえる。さらに前2輪の接地感は一般的な2輪車以上のものとして感じられるので、コーナリング時に安定感も得られるのだ。トリシティ155のスタイリングはコミューター然としているが、そのハンドリングはコーナリングを楽しめるスポーツモデルのような特性になっている。

 トリシティ155の前2輪は高い直進安定性も発揮し、荒れた路面や滑りやすい路面でも安定感があってリラックスでき、ライディングがしやすく感じられた。こうした乗り味は、「フロント2輪のLMWはライディング中の精神的負担を軽減する」というヤマハの実証実験の結果としても得られていて、「LMWのライディングは疲れにくい」というメリットになっている。



片持ちテレスコピックサスペンションは、操舵軸と車輪のリーン軸をオフセットさせた「タイロッド」に装着される。「タイロッド」とその上部に設置された「パラレログラムリンク」は平行を保ち、コーナリング時に前左右輪の軌道が同心円を描くようになるという。







エキパイにはO2センサーを追加し、パイプ径を太くし触媒も大きくしている。インジェクションセッティングも最適化し、軽快かつパワフルな乗り味を損なわないようになっている。

LMWはコミューターで利便性とスポーティさを両立させる!



ブロックを敷いた路面のコーナリングでも接地感があり、安心してライディングができる。レスポンスがよくトルクの太いエンジンも、街中でのストレスのない走りに貢献している。

 走りの楽しさと燃費・環境性能を両立させる「BLUE COREエンジン」は、エキパイ形状を変更してフューエルインジェクションセッティングを最適化。カムチェーンの張り具合を調整するカムチェーンテンショナーを油圧式に変更しフリクションを低減。最高出力15PS/8000rpm、最大トルク1.4kgf・m/6500rpmと、前モデルと変わらぬスペックを実現している。

 エンジンスターターモーターとジェネレーターを一体化した「SMG=スマートモータージェネレーターシステム」を搭載し、スタートボタンを押すとエンジンはスムーズかつ静かにかかる。アイドリングはおよそ1500rpmで、2500rpm付近でクラッチミートし、車体は前進し始める。実用的なトルクは4000rpm付近で立ち上がり、その回転域をキープすれば40km/h程度まで加速できる。その後スロットルを急開せず、ディスプレイに「ECO」の文字が表示されるように徐々に開けていっても、5000rpmで50km/h、6000rpmで60km/hまで加速でき、交通の流れに乗って走行できる。「ECO」表示があることから、好燃費も期待できそうだ。

 スロットルに対するエンジンレスポンスにダルさがなく、スロットルをスパッと開けると6000rpmまでスムーズに回り、ストレスのない加速力も発揮する。ブレーキは右レバーがフロント、左レバーがリヤとフロントが連動する「UBS=ユニファイドブレーキシステム」。制動力の立ち上がりはマイルドながら、レバーを握り込むほどにグッと効いてコントロールしやすい。今回は濡れた路面や未舗装路を走る機会はなく、トラクションコントロールを体感できなかったが、状態のよくない舗装路でも前2輪に直進性が感じられ、後輪も跳ねるような挙動がなく安定した走破力を発揮していた。

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