11月下旬からいよいよ忘年会シーズンに突入するが、この時期にこそ気をつけたいのが“飲酒運転”である。「飲んだら乗るな」……これはドライバーとして当然の常識だが、残念ながら飲酒運転の摘発件数は今なおゼロにはなっていない。一瞬の油断が、人の人生も、自分の人生も一瞬で壊してしまう。改めて考えてほしい、ハンドルを握る前の“その一杯”の重さを。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真:kai@Adobe Stock)
飲酒運転の厳罰化は進んでも、減少は頭打ち
1999年の「東名高速飲酒運転事故」や、2006年の「福岡・海の中道大橋飲酒運転事故」など、痛ましい事故をきっかけに、飲酒運転の罰則は年々強化されてきた。
警察庁のまとめた資料によると、2007年に厳罰化が進んだことで飲酒運転による交通事故件数は大幅に減少したが、2008年以降は減少ペースが鈍化。近年は下げ止まりの傾向が見られる。
2024年(令和6年)には、日本国内で飲酒運転による事故が2346件発生し、そのうち死亡事故は140件にも及んだ。つまり「まだ終わっていない問題」なのだ。
“少しだけなら大丈夫”は最悪の思い込み
アルコールが体内に入ると、判断力・注意力が低下し、動体視力や視野が狭まるなど、運転に必要な能力が著しく落ちる。
たとえばビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎0.6合を飲むだけで、事故の可能性が約2倍に上がるという調査もある。
「自分は酒に強いから平気」……そんな過信が命取りになる。“少しだけ”が、一瞬で“取り返しのつかない”に変わることを、忘れてはならない。
翌朝の運転も要注意! アルコールは残っているかもしれない

意外と多いのが、「翌朝の飲酒運転」である。
医師によると、体重60kgの人が1時間で分解できるアルコール量は約5g。アサヒビールのデータによれば、アルコール5gとは日本酒1合の約4分の1杯、ビール中瓶の約4分の1本、ウイスキーダブルの約4分の1杯に相当する。
つまり、次のようなアルコール量(約20g)を摂取した場合、体内で分解しきるにはおよそ4時間が必要だ。
・ビール(5%)中瓶1本(500ml)
・日本酒(15%)1合(180ml)
・ウイスキー(43%)ダブル1杯(60ml)
・焼酎(25%)0.6合(110ml)
・ワイン(14%)1/4本(180ml)
ただし、人によって分解能力には個人差があり、1時間に2gしか分解できない人もいれば、20gを処理できる人もいるという。体調や体質、飲んだ量や時間帯によっても変わるため、「安全圏」は存在しないのだ。
深夜まで宴会をしてからの翌朝の出勤・送迎など、まだアルコールが体に残っている状態で運転するケースもある。これはプロドライバーだけでなく、営業職や家族を乗せて運転する人にも関係する話である。
もし身近に“飲んだまま運転しそうな人”がいたら、止める勇気を持ってほしい。「自分だけなら」「ちょっとだけ」という判断が、他人の人生をも巻き込むことになるのだ。











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